17 / 124
アカリとフシギなタマゴ編
17色 ヴェルデの森と試練の塔
しおりを挟む
「何だか不思議な場所ですね」
しばらく、森の中を歩いているとマルが周りを見回しながらいう。
「フシギ?」
「はい、この森に入ってからというか、この島に着いてから少し《魔素が濃い》ですね」
「そうだね、周りに浮かぶ魔法卵から少し濃い魔力を感じるね」
そういうと、シーニは近くの魔法卵を手に取り割ると腰にかけていた杖の先端に魔力を集中させる。
「へえー、ここの魔素はカーミンの約1・3倍の濃さみたいだね」
「え? シーニはそこまで解るのですか?」
「まあ、なんとなくだけど、わたしは《モノに魔力を与える魔法》が得意だからそういったことを知っているってだけだけどね」
「ほう、噂に聞くあの珍しい魔法ですか」
マルはシーニの魔法に興味があるのか、話に食い付く。
「そうだね、もう少し分かりやすくいうとね。 えーっと、アレなんかいいかな」
シーニは近くに落ちていた少し大きめの石に杖をむけて、先端に集めた魔力をぶつけた。
すると、その石は浮きだしてシーニのもとにくる、そして、それに腰をかけると説明をしてくれる。
「わたしの魔法はこういう風に魔力を与えた《モノ》を自由に動かすことが出来るんだけど、例えば、本来わたしの魔力量では人10人分の重さが限界だとして13人分まで運べるようになったって感じかな」
「それは、かなりのパワーアップですね」
「でも、いつもの感覚で魔法を使うのは気をつけないといけないね」
「そうなの?」
「アカリ、試しに軽く【フレイム】使ってみてよ」
「うん、わかった、よし、【フレイム】!」
わたしはシーニにいわれたとおりに学校で習う初級魔法の【フレイム】をつかってみるとわたしの指の先から火の玉がでた。
「あれ?なんかいつもより火が大きいね」
指先にでた火の玉がいつもより大きかった。
「なるほど、初級魔法でも変化がしっかり分かるんですね」
「そう、もし、いまこの場所で本気の【ブレイズ】なんて撃ったらどうなると思う?」
「それは……」
「辺りが火の海に成りかねないですね」
それを想像してゾクッっとして急いでフレイムでだした火を消した。
「ごめんごめん、話が極端だったね。 そんなに怖がらなくてもいいよ」
「いえ、意識から変えるのは大切なことです」
「そ、そうだね、わたしも気をつけないと」
わたしたちは魔法を使う時はしっかりと注意をはらおうということになった。
そのまま探索を続けているとすこし身に覚えがありそうな場所についた。
「あれ? ここって」
小走りでさらに奥にすすむ。
「やっぱり……ここって」
草木の生い茂る森の中、風景はなんの変哲もない森の中のはずだけど、来たことのある『感覚』がした。
「どうしました? アカリ」
「もしかして《ココ》?」
「うん」
感のいい二人は気が付いてくれたみたい。
「ここで《クーのタマゴを拾った》んだ」
よく覚えているこの場所。
わたしとクーが出会った場所。
あのときはよくわからなかったけど、たしかにわたしは『この場所』にいた。
「早速ですが、辺りを調べてみますか?」
「そうだね、最善の注意をはらってね」
二人はさっそく準備に取りかかろうとする。
わたしも周囲を見回してみると二人の顔がみえなくなっているのに気が付いた。
「あれ!? マル、シーニどうしたの!? 二人がみえなくなっちゃったよ!?」
「!!」
わたしの叫びに二人も異変に気がついた。
「こ、これは!? 《霧》ですか!?」
「二人とも落ちついて! その場所から動いちゃダメだよ!」
シーニは冷静に指示をだす。
しばらくすると、霧が晴れて周りがみえるようになった。
「へぇーこんなことがあるんだね」
「これは驚きですね……空いた口が閉じませんよ……」
「……う、うん」
わたしたちは目の前の光景に唖然とする。
そこには、さっきまであきらかになにもなかった場所に大きな塔がそびえたっていたのだ。
「私達が飛ばされたのかはたまたあるべきものが姿を現したのか……」
マルは突然現れた大きな塔を唖然と見つめる。
「とにかく目の前に現れたってことは歓迎されてるんじゃないかな」
「よ、よし、じゃあさっそくいってみよう!」
塔に近づいてみると入口のような場所に着いた。
「わたしやっぱりこの塔みたことあるよ」
前にクーがみせてくれた景色を思い出す。
「なら、もう間違いありませんね」
「ここが《試練の塔》だね」
わたしの言葉に二人は真剣な顔で互いをみる。
「クーここがキミの家なの?」
「ピュルーン?」
問いかけにクーは首をかしげる。
「クーが生まれた時もそうですが、急な展開で頭が付いて行けませんね」
マルは苦笑いを浮かべる。
「まあ、冒険してる感じがあって楽しいけどね」
シーニが楽しそうにいうとマルも「そうですね」と笑う。
「さて、まずはこの扉もとい門をどうやって開けるかですね」
マルは門を押してみるが、ビクともしないようだ、そして、すぐに切り替えて門の描かれている絵に目をやる。
「やはりこれを解かないと中に入れない仕組みなんでしょうか?」
「これはなんだろうね」
二人を悩ませている絵をわたしもみる。 そこには、アーチ状になっている長い枠が上から下に数えて七つあった。 そして、左の門に丸いナニかを置く台みたいなのが枠のひとつひとつにあった。
「どこかでみたことあるような?」
なんだかみたことあるような絵に首を傾げる。
「そうなんですよ。 何処かで見覚えがある形なんですよ」
「七つ、枠、線?」
わたしたちは大きく唸る。ふと、ナニかに気付いたのかマルがクーを眺める。
「色です!」
「!?」
「謎が解けました。 この絵が現すことは七つのアーチ状の色! つまりは《虹》です!」
「ああ! たしかに虹の形にみえるね!」
「なるほど!」
シーニは手をポンッと叩いた。
「つまり、枠の先にあるこの台に魔力を通してみます」
マルは上から二番目の台に魔力を通すと上から二番目の枠のアーチが橙色に染まった。
「私の魔力の色は《橙》ということは虹の一色として使えます」
「ということは、わたしとアカリの魔力も使えるね」
そういうとシーニは下から二番目の台に魔力を通すと下から二番目の枠が青に染まった。
「え、えっと、虹の赤ってどこだっけ?」
「一番上です」
「ありがとう」
マルにわたしの場所を教えてもらってわたしも試してみると一番上の枠が赤色に染まっていった。
「さて、三色は埋めることが出来ましたが問題発生ですね」
「どうしたの?」
「私達三人では三色が限界です」
「あっそういえばそうだね」
「私達の《複色魔力》では虹の色がありません。どうしたものか」
マルは手を顎にあてて考える。わたしたちには魔力の『色』っていうのが、あるんだけど、それとは別に人によって数は違うんだけど、『複色魔力』っていうのがあるんだ。 例える、なら、赤の魔力が7割で青が3割で持ってるみたいな感じだね。
「これって使えるかな?」
シーニは魔空間から色のついたハネを何枚か取り出した。
「それは、カーミンで帰りを待つ人々の魔力を籠めたハネですね」
「そう、ミズキたちが魔力を流して色が変わったハネだよ」
シーニが取り出したハネはみんながクーのハネを使って遊んでいた時に出来たモノだった。
「ナニか役に立つかもと思ってなんとなく持ってきてたんだ」
「ナイスですシーニ。 原理は解りませんが、魔力を流す事によって色が変わるクーのハネの性質なら恐らく《魔力が残っている》かもしれませんね」
「じゃあ、さっそくためしてみよう!」
二人は頷きさっそく台の上にハネを置く。
試しに一番下の台に《柴色のハネ》を置くと一番下の枠が柴色に染まった。
「ビンゴですね」
「よし、じゃあ、他のも試してみようか」
続けて《水色のハネ》、《緑色のハネ》を置いていき、最後の台に《黄色のハネ》を置くためにシーニがハネを取り出すとマルが静止する。
「少し待って貰ってもいいですか?」
突然、静止してきたマルにシーニは首を傾げる。
「どうしたの? マル」
「いえ、このままそれを置いても問題はないと思うのですが、その《黄色のハネ》だけ《違う方法で作った》ので少し気になってまして」
「あ、たしかにそうだったね」
わたしたちがクーのハネを使って色を変えていった時は黄色の魔力の人はわたしたちの中に《いなかった》んだ。
そこで、魔女のおねえさんが試しにわたしの赤のハネにクロロンの魔力を流すように言ったんだ。
すると、赤のハネが黄色のハネに《色を変えた》んだ。
「アカリとテンパ少年の魔力を《混ぜた》ことによる色の変化、恐らく、絵の具の原理と同じだとは思いますが、そんなことの出来るのがどうしても不思議で気になっていたんです」
「そうだね、わたしも引っかかってたんだ」
「でも、考えられる可能性をいうのであれば……《既に試練は始まっていた》ということでしょうか……」
「え?」
「そうかもね、わたしたちはここに来る前から《試されていた》のかもね」
「どういうこと!? わたしはバカだからよくわからないよ!」
話に着いていけないわたしはあたふたしながら聞く。
「あくまで可能性ですが、よく考えてみてください。 アカリがクーのタマゴを授けられて私達が今ここにいる現状、恐らくですが、運命づけられた気がしていまして」
「そして、この《ハネ》、これがなければこのトビラのナゾは解けていなかった……つまりナニかに引き寄せられているかもしれないってことだね」
マルとシーニの顔がすこし曇る。
自分たちのやっていることは本当に偶然か? それとも必然か? 二人は不安になっていた。
でも、なんとなくだけどわたしは不安が一切なかった。 なぜなら……
「それでもいいんじゃないかな」
「!?」
二人はすこし驚いた表情を浮かべるとわたしをみる。
「わたしはバカで二人よりは全然ダメダメだけど、クーと出会ったこと、この場所にいることが、ナニか決められていたことだとしてもわたしはそれでもいいかな」
「………」
わたしの言葉を二人は静かに聞く。
「だって、つまりは、その……えーっと、そのおかげでクーに出会えて、そして、みんなと楽しく笑いあえたし、いろいろなことをしれた、なによりわたしの今まで生きてきた人生がなにか決まられた運命だったとしても、マルやシーニ、それに今まで出会ってきたたくさんの人たちとめぐりあわせてくれたそれってつまりは《今を生きてる》そして、いろいろな思い出 《カラーメモリー》ってことじゃないかな!」
思っていることを伝えると、二人はしばらくわたしの顔をみていた。
すると、
「……フフ」
「え?」
「アハハハハハハ!!」
「ええ!?」
なぜか二人に大笑いされてしまった。
やっぱり変だったかな!?
「すみません。 別に馬鹿にした笑いではありません。 むしろ、感謝をしたいくらいです」
マルは訂正するようにいうとシーニもそれに言葉を続ける。
「さすがアカリだね、わたしたちじゃ気付かない……いや、あたり前過ぎて気付けかったことをいってくれるね」
「私とシーニは深く考え過ぎていましたね」
マルとシーニはもう一度、互いを見てわたしをみると
「私達も信じてみるとします。 いろいろな思い出 《カラーメモリー》を」
二人は満面の笑みで返してくれた。
そして、黄色のハネをわたしに渡してきた。
「これを置くのはアカリにやってほしいな」
「わたしでいいの?」
「はい、やっぱりクーを授けられたアカリこそが適任だと思います」
「うん、わかった」
シーニからハネを受けとるとわたしは台の前に立つ。
「じゃあ、おくね」
深呼吸をしてすこし心を落ち着かせると上から三番目の場所にハネを置く。
最後の枠が黄色に染まっていってすべての枠に色が付いて虹の絵が完成した。
トビラが音を立てて開いていった。だけど、トビラの先は光輝いていて中がまったくみえなかった。
「中に入らないと状況がわからないみたいだね」
わたしたち三人はトビラの先をしばらく眺めていた。
「はいってみようか」
わたしが二人にいう。
「そうですね。 ここまで来たらどんとこいですね」
「なにかキケンがあるかもしれないから気をつけないといけないね」
「よーし、いこう!」
わたしたちはトビラの先に歩みを進めた。
しばらく、森の中を歩いているとマルが周りを見回しながらいう。
「フシギ?」
「はい、この森に入ってからというか、この島に着いてから少し《魔素が濃い》ですね」
「そうだね、周りに浮かぶ魔法卵から少し濃い魔力を感じるね」
そういうと、シーニは近くの魔法卵を手に取り割ると腰にかけていた杖の先端に魔力を集中させる。
「へえー、ここの魔素はカーミンの約1・3倍の濃さみたいだね」
「え? シーニはそこまで解るのですか?」
「まあ、なんとなくだけど、わたしは《モノに魔力を与える魔法》が得意だからそういったことを知っているってだけだけどね」
「ほう、噂に聞くあの珍しい魔法ですか」
マルはシーニの魔法に興味があるのか、話に食い付く。
「そうだね、もう少し分かりやすくいうとね。 えーっと、アレなんかいいかな」
シーニは近くに落ちていた少し大きめの石に杖をむけて、先端に集めた魔力をぶつけた。
すると、その石は浮きだしてシーニのもとにくる、そして、それに腰をかけると説明をしてくれる。
「わたしの魔法はこういう風に魔力を与えた《モノ》を自由に動かすことが出来るんだけど、例えば、本来わたしの魔力量では人10人分の重さが限界だとして13人分まで運べるようになったって感じかな」
「それは、かなりのパワーアップですね」
「でも、いつもの感覚で魔法を使うのは気をつけないといけないね」
「そうなの?」
「アカリ、試しに軽く【フレイム】使ってみてよ」
「うん、わかった、よし、【フレイム】!」
わたしはシーニにいわれたとおりに学校で習う初級魔法の【フレイム】をつかってみるとわたしの指の先から火の玉がでた。
「あれ?なんかいつもより火が大きいね」
指先にでた火の玉がいつもより大きかった。
「なるほど、初級魔法でも変化がしっかり分かるんですね」
「そう、もし、いまこの場所で本気の【ブレイズ】なんて撃ったらどうなると思う?」
「それは……」
「辺りが火の海に成りかねないですね」
それを想像してゾクッっとして急いでフレイムでだした火を消した。
「ごめんごめん、話が極端だったね。 そんなに怖がらなくてもいいよ」
「いえ、意識から変えるのは大切なことです」
「そ、そうだね、わたしも気をつけないと」
わたしたちは魔法を使う時はしっかりと注意をはらおうということになった。
そのまま探索を続けているとすこし身に覚えがありそうな場所についた。
「あれ? ここって」
小走りでさらに奥にすすむ。
「やっぱり……ここって」
草木の生い茂る森の中、風景はなんの変哲もない森の中のはずだけど、来たことのある『感覚』がした。
「どうしました? アカリ」
「もしかして《ココ》?」
「うん」
感のいい二人は気が付いてくれたみたい。
「ここで《クーのタマゴを拾った》んだ」
よく覚えているこの場所。
わたしとクーが出会った場所。
あのときはよくわからなかったけど、たしかにわたしは『この場所』にいた。
「早速ですが、辺りを調べてみますか?」
「そうだね、最善の注意をはらってね」
二人はさっそく準備に取りかかろうとする。
わたしも周囲を見回してみると二人の顔がみえなくなっているのに気が付いた。
「あれ!? マル、シーニどうしたの!? 二人がみえなくなっちゃったよ!?」
「!!」
わたしの叫びに二人も異変に気がついた。
「こ、これは!? 《霧》ですか!?」
「二人とも落ちついて! その場所から動いちゃダメだよ!」
シーニは冷静に指示をだす。
しばらくすると、霧が晴れて周りがみえるようになった。
「へぇーこんなことがあるんだね」
「これは驚きですね……空いた口が閉じませんよ……」
「……う、うん」
わたしたちは目の前の光景に唖然とする。
そこには、さっきまであきらかになにもなかった場所に大きな塔がそびえたっていたのだ。
「私達が飛ばされたのかはたまたあるべきものが姿を現したのか……」
マルは突然現れた大きな塔を唖然と見つめる。
「とにかく目の前に現れたってことは歓迎されてるんじゃないかな」
「よ、よし、じゃあさっそくいってみよう!」
塔に近づいてみると入口のような場所に着いた。
「わたしやっぱりこの塔みたことあるよ」
前にクーがみせてくれた景色を思い出す。
「なら、もう間違いありませんね」
「ここが《試練の塔》だね」
わたしの言葉に二人は真剣な顔で互いをみる。
「クーここがキミの家なの?」
「ピュルーン?」
問いかけにクーは首をかしげる。
「クーが生まれた時もそうですが、急な展開で頭が付いて行けませんね」
マルは苦笑いを浮かべる。
「まあ、冒険してる感じがあって楽しいけどね」
シーニが楽しそうにいうとマルも「そうですね」と笑う。
「さて、まずはこの扉もとい門をどうやって開けるかですね」
マルは門を押してみるが、ビクともしないようだ、そして、すぐに切り替えて門の描かれている絵に目をやる。
「やはりこれを解かないと中に入れない仕組みなんでしょうか?」
「これはなんだろうね」
二人を悩ませている絵をわたしもみる。 そこには、アーチ状になっている長い枠が上から下に数えて七つあった。 そして、左の門に丸いナニかを置く台みたいなのが枠のひとつひとつにあった。
「どこかでみたことあるような?」
なんだかみたことあるような絵に首を傾げる。
「そうなんですよ。 何処かで見覚えがある形なんですよ」
「七つ、枠、線?」
わたしたちは大きく唸る。ふと、ナニかに気付いたのかマルがクーを眺める。
「色です!」
「!?」
「謎が解けました。 この絵が現すことは七つのアーチ状の色! つまりは《虹》です!」
「ああ! たしかに虹の形にみえるね!」
「なるほど!」
シーニは手をポンッと叩いた。
「つまり、枠の先にあるこの台に魔力を通してみます」
マルは上から二番目の台に魔力を通すと上から二番目の枠のアーチが橙色に染まった。
「私の魔力の色は《橙》ということは虹の一色として使えます」
「ということは、わたしとアカリの魔力も使えるね」
そういうとシーニは下から二番目の台に魔力を通すと下から二番目の枠が青に染まった。
「え、えっと、虹の赤ってどこだっけ?」
「一番上です」
「ありがとう」
マルにわたしの場所を教えてもらってわたしも試してみると一番上の枠が赤色に染まっていった。
「さて、三色は埋めることが出来ましたが問題発生ですね」
「どうしたの?」
「私達三人では三色が限界です」
「あっそういえばそうだね」
「私達の《複色魔力》では虹の色がありません。どうしたものか」
マルは手を顎にあてて考える。わたしたちには魔力の『色』っていうのが、あるんだけど、それとは別に人によって数は違うんだけど、『複色魔力』っていうのがあるんだ。 例える、なら、赤の魔力が7割で青が3割で持ってるみたいな感じだね。
「これって使えるかな?」
シーニは魔空間から色のついたハネを何枚か取り出した。
「それは、カーミンで帰りを待つ人々の魔力を籠めたハネですね」
「そう、ミズキたちが魔力を流して色が変わったハネだよ」
シーニが取り出したハネはみんながクーのハネを使って遊んでいた時に出来たモノだった。
「ナニか役に立つかもと思ってなんとなく持ってきてたんだ」
「ナイスですシーニ。 原理は解りませんが、魔力を流す事によって色が変わるクーのハネの性質なら恐らく《魔力が残っている》かもしれませんね」
「じゃあ、さっそくためしてみよう!」
二人は頷きさっそく台の上にハネを置く。
試しに一番下の台に《柴色のハネ》を置くと一番下の枠が柴色に染まった。
「ビンゴですね」
「よし、じゃあ、他のも試してみようか」
続けて《水色のハネ》、《緑色のハネ》を置いていき、最後の台に《黄色のハネ》を置くためにシーニがハネを取り出すとマルが静止する。
「少し待って貰ってもいいですか?」
突然、静止してきたマルにシーニは首を傾げる。
「どうしたの? マル」
「いえ、このままそれを置いても問題はないと思うのですが、その《黄色のハネ》だけ《違う方法で作った》ので少し気になってまして」
「あ、たしかにそうだったね」
わたしたちがクーのハネを使って色を変えていった時は黄色の魔力の人はわたしたちの中に《いなかった》んだ。
そこで、魔女のおねえさんが試しにわたしの赤のハネにクロロンの魔力を流すように言ったんだ。
すると、赤のハネが黄色のハネに《色を変えた》んだ。
「アカリとテンパ少年の魔力を《混ぜた》ことによる色の変化、恐らく、絵の具の原理と同じだとは思いますが、そんなことの出来るのがどうしても不思議で気になっていたんです」
「そうだね、わたしも引っかかってたんだ」
「でも、考えられる可能性をいうのであれば……《既に試練は始まっていた》ということでしょうか……」
「え?」
「そうかもね、わたしたちはここに来る前から《試されていた》のかもね」
「どういうこと!? わたしはバカだからよくわからないよ!」
話に着いていけないわたしはあたふたしながら聞く。
「あくまで可能性ですが、よく考えてみてください。 アカリがクーのタマゴを授けられて私達が今ここにいる現状、恐らくですが、運命づけられた気がしていまして」
「そして、この《ハネ》、これがなければこのトビラのナゾは解けていなかった……つまりナニかに引き寄せられているかもしれないってことだね」
マルとシーニの顔がすこし曇る。
自分たちのやっていることは本当に偶然か? それとも必然か? 二人は不安になっていた。
でも、なんとなくだけどわたしは不安が一切なかった。 なぜなら……
「それでもいいんじゃないかな」
「!?」
二人はすこし驚いた表情を浮かべるとわたしをみる。
「わたしはバカで二人よりは全然ダメダメだけど、クーと出会ったこと、この場所にいることが、ナニか決められていたことだとしてもわたしはそれでもいいかな」
「………」
わたしの言葉を二人は静かに聞く。
「だって、つまりは、その……えーっと、そのおかげでクーに出会えて、そして、みんなと楽しく笑いあえたし、いろいろなことをしれた、なによりわたしの今まで生きてきた人生がなにか決まられた運命だったとしても、マルやシーニ、それに今まで出会ってきたたくさんの人たちとめぐりあわせてくれたそれってつまりは《今を生きてる》そして、いろいろな思い出 《カラーメモリー》ってことじゃないかな!」
思っていることを伝えると、二人はしばらくわたしの顔をみていた。
すると、
「……フフ」
「え?」
「アハハハハハハ!!」
「ええ!?」
なぜか二人に大笑いされてしまった。
やっぱり変だったかな!?
「すみません。 別に馬鹿にした笑いではありません。 むしろ、感謝をしたいくらいです」
マルは訂正するようにいうとシーニもそれに言葉を続ける。
「さすがアカリだね、わたしたちじゃ気付かない……いや、あたり前過ぎて気付けかったことをいってくれるね」
「私とシーニは深く考え過ぎていましたね」
マルとシーニはもう一度、互いを見てわたしをみると
「私達も信じてみるとします。 いろいろな思い出 《カラーメモリー》を」
二人は満面の笑みで返してくれた。
そして、黄色のハネをわたしに渡してきた。
「これを置くのはアカリにやってほしいな」
「わたしでいいの?」
「はい、やっぱりクーを授けられたアカリこそが適任だと思います」
「うん、わかった」
シーニからハネを受けとるとわたしは台の前に立つ。
「じゃあ、おくね」
深呼吸をしてすこし心を落ち着かせると上から三番目の場所にハネを置く。
最後の枠が黄色に染まっていってすべての枠に色が付いて虹の絵が完成した。
トビラが音を立てて開いていった。だけど、トビラの先は光輝いていて中がまったくみえなかった。
「中に入らないと状況がわからないみたいだね」
わたしたち三人はトビラの先をしばらく眺めていた。
「はいってみようか」
わたしが二人にいう。
「そうですね。 ここまで来たらどんとこいですね」
「なにかキケンがあるかもしれないから気をつけないといけないね」
「よーし、いこう!」
わたしたちはトビラの先に歩みを進めた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と入れ替えられた村娘の崖っぷち領地再生記
逢神天景
ファンタジー
とある村の平凡な娘に転生した主人公。
「あれ、これって『ダンシング・プリンス』の世界じゃない」
ある意味好きだった乙女ゲームの世界に転生していたと悟るが、特に重要人物でも無かったため平凡にのんびりと過ごしていた。
しかしそんなある日、とある小娘チート魔法使いのせいで日常が一変する。なんと全てのルートで破滅し、死亡する運命にある中ボス悪役令嬢と魂を入れ替えられてしまった!
そして小娘チート魔法使いから手渡されたのはでかでかと真っ赤な字で、八桁の数字が並んでいるこの領地収支報告書……!
「さあ、一緒にこの崖っぷちの領地をどうにかしましょう!」
「ふざっけんなぁあああああああ!!!!」
これは豊富とはいえない金融知識と、とんでもチートな能力を活かし、ゲーム本編を成立させれる程度には領地を再生させる、ドSで百合な少女の物語である!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる