カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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本のマモノ編

47色 コロコロクロロン

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 突然、キリッとした声と表情から、急にのほほーんとした声と表情に変わりわたしたちは驚く。

「なっ!? お前どうやって出てきた!?」

 しかし、またキリッとした声と顔になる。

「あれ? どうやってだろう? わかんないや」

 そして、またのほほーんとした顔と声になり「あはは」と頬をかく。

「わかんないって、そんなわけないだろう! お前の意識がなんで覚醒している! しかも、ナゼ、ワタシの支配下にあるはずなのに自由な意識があるんだ! ……なんでだろうね? まあ、細かいことは気にしなくていいんじゃないかな? ……全然細かくないぞ!」
 
 突然、目の前で行われている一人会話にわたしたちはポカーンとする。

「……もしかして、クウタくん?」 

 シーニが恐る恐る聞く。

「はい、クウタです」

 クロロンは元気よく答える。

「なに何事もなかったように会話しようとしてるんだ! ワタシの話はまだ終ってな……ごめん、ちょっとうるさいよ」

 クロロンは笑顔でいいすこし静かになった。

「え~~~と…………なにがどうなってるのかな?」

 シーニはかなり動揺しながら聞く。

「今は心の中で彼を押さえつけてます」
「お前それ冗談で言ってるのか? マジで言ってるのか?」
「もしかして、今冗談をいうところでしたか?」

 クロロンは「空気が読めなくてすみません」と頭を下げると、カレシーニさんの顔が引きつっているようにみえた。

「…………とりあえず、状況を整理するぞ……頭痛がする」

 カレシーニさんは右手で頭を押さえながらいう。

「大丈夫ですか!? 仕事疲れですか!? ムリしないでくださいね」

 それをみたクロロンは本気でカレシーニさんを心配する。

「……大丈夫だ……仕事からきてるやつじゃない」
「とにかく、今にいたるまでの経緯を詳しく教えてもらってもいいかな?」

 おでこに手を当て眉をしかめるカレシーニさんをシーニはフォローする感じでクロロンに聞く。

「詳しくですか……うーん、あれはたしか、ぼくが生まれてからの記憶で一番古いのは、みっくんの家のソファーで飛び跳ねていて、そのままジャンプしたら腕から落ちて腕を骨折したところからがぼくの記憶のはじまりだったと思います」
「そこまで遡らなくていいかな。 でも、懐かしいね! 覚えてるよ! 昔のクウタくんって結構やんちゃだったもんね」
「お恥ずかしいです。 昔のぼくはかなりのクソガキでしたもんね」
「その話詳しく聞かせていただけないでしょうか?」
「わたしもきになるよ!」

 クロロンの昔の話と聞いて、フラウムとわたしは食い付く。

「おい、お前等、話がズレすぎだ」

 思いっきり、話がズレそうになったところでカレシーニがツッコム。

「なんだよマコト、思い出に浸るぐらいいいじゃないか」
「そうですわよ。 レディーの会話を切るとは失礼ですわ」
「そーだ!さいだー!」

 わたしたちは、ブーブーとブーイングをいれる。

「なんだ? 俺がおかしいのか?」
「大丈夫です。 たぶん正常です」
「今のお前にいわれると逆に心配になるからやめてくれ」

 クロロンはフォローをいれるけど、カレシーニさんはさらに頭を抱える。
 
「じゃあ、話を戻そうか」

 カレシーニさんに茶々をいれたわたしたちはクロロンの話の続きを聞く。

「カラダを乗っ取られてっていうのかな? 意識ははっきりとはしてなかったんですけど、かすかにありました。 それで、しばらくして、すこしずつ意識が戻ってきてだけど、現実の世界じゃないようなところにいる感覚でした」
「現実世界じゃないところ?」
「はい、例えるなら『心の世界』? 『精神世界』?って感じです」
「まあ、似たような意味だな」
「それで、いろのさんが魔法を使ったらなぜか意識の交代ができるようになりました」
「なに!?」
「え? わたし?」

 突然、わたしの名前が出てきて間の抜けた声をだしてしまった。

「ということはアカリのチカラが関係しているってこと?」
「そうなの?」

 みんながわたしをみるけど、わたしは頭の上にハテナを浮かべる。

「正しくは『きっかけ』をつくっただけだな」
「!?」

 また、クロロンの人格が変わり、わたしたちは身構える。

「ありゃ? でてきちゃった?」

 だけど、またすぐに元に戻る。 それをみて、みんなずっこける。

「こいつの精神の中を視させてもらったが……チェンジザマイウェイ……かなり強い精神力を持っているな。 だから……ソウルシフト……恐らくだが、貴様が干渉しなくてもこうなってい……カモンバディ……お前、遊んでるな……」

 気にせず話を進めていたけど本人がツッコム。

「思ったよりも楽しくてつい」
「マモノで遊ぶとかいい度胸してるな……」

 カレシーニさんは呆れていた。

「まあまあ、ここは仲良くやりましょうや『あいぼう』……誰があいぼうだ!」

 クロロンにいたっては、もうノリノリである。

「……まあ、話の全容は掴めないけど、今もこうして会話してくれるってことは本当に争う気はないみたいだね」

 シーニは頬を掻きながら苦笑いでいう。

「いや、まだ信頼するに値したわけじゃない」

 しかし、カレシーニさんは警戒を解かない。

「では、ワタシから提案をだそうか」
「提案だと?」

 まだ、信じないカレシーニさんに提案をだすという。

「ああ、そこの我が半身の呪いを解いてやろう。 それと、貴様らの怪我の治癒もしてやろう」
「じゃあ、お願いするよ」
「おい! アオイなにをいっている!?」

 即答するシーニにカレシーニさんは止めにはいる。

「ミズキをこれ以上苦しませたくないのもあるけど、クウタくんがいうなら大丈夫かなって」
「そんな楽観的に考えていいのか?」

 カレシーニさんは怪訝な顔をしていう。

「大丈夫だよ。 ね、クウタくん?」
「はい、大丈夫です」

 シーニがやさしい笑顔をむけるとクロロンもかわいい笑顔で返す。

「……はあ……わかったよ……お前がいうなら信じてやろう」

 シーニの言葉に納得がいかない様子だったが、しぶしぶ納得したみたいだ。

「なら決まりだな」

 マモノの人格の方のクロロンは、一人ずつ触れていって怪我の治癒をしてくれた。

「悪かったな」
「いえ、お気になさらずワタクシの力不足ってだけですわ」

 フラウムの足に触れながら、クロロンはいうとフラウムは笑顔で返す。

「いや、お前は強いよ」
「え?」

 クロロンにそういわれフラウムは驚く。

「こいつがそういっていた」
「そう……ですの?」

 フラウムの問いになにもいわずにシアンの元にむかう。

「さて……」

 クロロンはシアンに触れると、黒と赤いオーラみたいなのをシアンのカラダから吸い上げていく。

「まあ、こんなもんだろう」

 シアンのカラダから手を放す。

「これで呪いは解けたの?」

 シーニが心配そうに聞く。

「解いたというより『抑えた』が正しいかもな」
「抑えた?」
「さっきもいったが、こいつは我が半身でワタシが復活したことによりチカラが暴走していた状態だ。 だから、ワタシがこいつのカラダに入らない限り暴走することは基本ないだろうな」

 クロロンは説明してくれるけど、わたしはさっぱりわからなかった。

「正直、キミのいっているミズキとの関係もあまり理解出来てないんだよね。 説明してくれたりしないかな?」

 シーニもわかっていなかったらしくクロロンに聞く。

「まあ、面倒だが、勘繰られるよりはましだな」

 クロロンはそう答えると説明を続ける。

「ワタシがこいつを半身と呼んでいるのは、こいつがワタシの『生まれ変わり』だからだな」
「え!?」

 突然の言葉にわたしたちは驚く。

「え? え!? 唐突過ぎて理解できないよ!」

 シーニは動揺を隠せずにクロロンにいう。

「それは本当なのか!?」

 カレシーニさんも驚いている。

「ああ、今は魂だけになってしまったが、幸か不幸か封印が解けて、我が半身も近くにあったということだ」
「だけど、なんで急にシアンのカラダを乗っ取るのをやめたの?」

 わたしは疑問に思い聞く。

「それは、このままでも不便はないと思ったからだな」
「どういうことだ?」
「もしかして、このままクウタくんのカラダにはいってるつもり」

 シーニはすこし不安そうにいうけど、クロロンは首を横に振る。

「いや、こいつのカラダにいると、いろんな意味で調子が狂う。 だから、元の本に戻ることにする」
「つまりそのまま大人しくしているから見逃せってことか?」
「マコト言い方」

 ドストレートに聞くカレシーニさんをシーニが咎める。

「まあ、そういうことになるな」

 それをクロロンは気にせずに答えると言葉を続ける。

「ワタシも別に世界を征服したいなんて面倒臭いことは考えていない、寧ろ、そういう奴に付き合わされてうんざりしていたからな。 平和にのんびりと生きていたいと思っている」
「わかった、完全に信用した訳ではないがお前の意見をのもうか。 だが、上には報告させてもらう」
「好きにしろ」

 カレシーニさんの問いに、一言だけ返すと、わたしのほうをみる。

「おい、アホ面女」
「はい?」

 また、急に話かけられたから、マヌケな声をだしてしまう。

「名は?」
「え? 名前」

 突然、名前を聞かれてわたしは首を傾げるけどふとあることを思った。

「あ! そういうことね! 自己紹介まだしてなかったもんね! わたしはね、『いろのあかり』だよ!」

 わたしはゲンキよく答える。

「……アカリか……覚えておこう」
「アナタの名前は?」
「ワタシか?」

 クロロンもといマモノさんにも名前を聞く。

「今はないな」
「え?」

 思い出すような仕草をしたけど、きっぱりという。
 
「名という名はワタシにはない。 だが、ワタシに名を付けて呼ぶモノもいたな」
「じゃあ、その時の名前は?」
「遥か昔のことだ……忘れた……」
「じゃあ、わたしがつけてもいいかな?」
「好きにしろ」

 マモノさんは興味なさそうにいうけど、わたしは真剣に考える。

「よーし! じゃあ、すこしまっててね」

 わたしは腕組みをして考えて、すぐにいい名前を思いついた。

「きめた! キミの名前は『マモ』だよ」
「!?」
「マモノだからマモ!」
「超絶安直ですわね」

 安直過ぎたのかフラウムにツッコまれる。 だけど、クロロンは驚いた顔をしていた。

「やっぱりダメだったかな?」

 心配になり聞くと、マモノさんは顔を反らしながら答える。

「いや……気に入った」
「ホントに!」
「そう呼びたければ呼べばいいさ…………うれしいって思ってるみたいだから安心していいと思うよ」

 クールに決めていたけど、本物のクロロンが出てきて教えてくれた。 

「お前……もうナチュラルに出てくるな……」

 カレシーニさんはもう呆れたようにいう。

「まあ、さすがクウタくんって感じだね。 いい意味で緊張感がなくなって場が和むよ」

 それをシーニがフォローをいれる。

「……悪いが、そろそろこのカラダから出て行くことにする……このままでは逆にワタシが乗っ取られそうだからな……」

 そういうとクロロンのカラダから赤い魂のようなものが抜けて床で縛られて倒れているレータの鞄の中へと入っていった。

「あびゃ? いっちゃったね」

 マモが抜けて、今度こそクロロンに戻ったみたいだ。

「クウタくんカラダは大丈夫?」

 シーニが心配そうに聞く。

「はい、大丈夫です。 強いていうなら『大切な相棒を失った』感じがしますね」
「わりかし重症じゃない?」
「いえ、ぼくと彼は離れていたって心で繋がっています」
「めちゃくちゃ友情芽生えてますわね」
「なんだこいつ能天気なのか、ただの天然なのかいろんな意味ですごい奴だな」 

 みんなクロロンに感服している様子だった。

「あ、そうだ。 みっくんとれいたくんは無事かな?」

 クロロンの言葉にわたしはハッとなって思いだした。

「そうだ! 二人も大丈夫かな?」

 慌ててベットのシアンの元へとかけよる。

「じゃあ、ぼくはれいたくんのほうにいくよ」
「まあ、正直メガネがどうなろうがどうでもいいですが、ワタクシも御一緒しますわ」

 クロロンとフラウムはレータの元へとかけよった。

「アオイもう解いても大丈夫だろう」
「おーけい」

 カレシーニさんにいわれ、シーニはリモコンのボタンを押すと魔空間が消えて元の研究室に戻った。

「……うーん」
「シアン!」

 唸り声をだしたシアンにわたしは声をかけるとシアンは目を擦りながら、ゆっくりと上半身を起こして眠たそうな眼でこっちをみる。

「……おはよ」

 そう一言いうとあくびをする。

「もう夕方だよ」

 今が夕方であることを教えてあげると、シアンは「そうか」と一言返して、もう一度ベットに寝転ぶ。

「おやすみ」
「うん、おやすみ……って、ええ!? おきたばっかりなのにもう寝ちゃうの!?」
「なんかつかれたから」
「こいつもこいつでマイペースだな」

 あまりのシアンのマイペースさにカレシーニさんは呆れている様子だった。 

「なんだい!? これは!?」

 後ろから叫び声が聞こえてきて、わたしたちはそちらに顔をむけるとロープで縛られたレータが暴れていた。

「これは一体なんのマネだい? まさかキミにこんな趣味があったとはね。 このち……グボホッ!!」

 騒いでいたレータの頭をフラウムが踏みつけて、レータの顔がキレイに地面に埋まった。

「きのせさん?」

 クロロンはフシギそうに首を傾げて、なぜレータが踏みつけられたのか、わかっていない様子だった。

「安心してください。 あまりにご乱心の様子でしたので、すこし頭を冷やしてもらうだけですわ」

 フラウムは笑顔でいうとクロロンは納得したみたいだ。

「そうなんだ。 だったらぼくお水と氷をもってくるよ。 アオイさん水道と桶をお借りしてもいいですか? それと氷もいただけませんか?」
「うん、いいよ」
「ありがとうございます」

 クロロンは律儀に頭をさげると洗い場に走っていった。

「あっちも大丈夫そうだな」

 一通りみていたカレシーニさんは、そういうと、シーニにむきなおる。

「アオイ」
「ん? なに?」

 突然、話かけられたシーニは首を傾げながら返事をする。

「その……なんだ……」

 カレシーニさんはなんだか、いいずらそうにしている。

「え? なに? いいたいことがあるならさっさといいなよ」

 シーニはフシギそうにそれをみていた。

「さっきはわるかった」
「え?」

 カレシーニさんの言葉にシーニは驚いた。

「軽率な言葉だった……だが、お前を見殺しにするなんて絶対ないからそれだけは信じてほしい」

 カレシーニさんはまっすぐにシーニをみつめる。

「いや、わたしのほうこそごめんね。 キミは肝心な時はしっかりしてるってわかってるつもりだからさ」

 シーニは笑顔で返すと、カレシーニさんの胸に拳をあてる。

「たよりにしてるよ、町の平和を守る勇者さん」
「ああ」

 シーニの言葉にカレシーニさんも笑顔で返す。

 すると、寝ていたシアンが起きた。

「あれ? おはようシアンどうしたの?」

 わたしはシアンに聞く。

「……ラブコメの波動を感じた」
「ちょ、ミズキ!? 違うからね!?」

 シアンの言葉にシーニは慌てて止めにはいった。


 
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