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シーニと鏡の世界編
78色 鏡の中のわたし?
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「……う……ん……?」
少しデジャブの様な感覚を感じながら、わたしは眼を覚ます。 だけど、さっきみたいに、固くて冷たい感触ではなく、暖かくて柔らかい感触だった。 今回は床ではなくベッドで寝ていたようだ。
「……ッ!」
クラクラする頭を抑えながら、状況を確認しようと上半身を起こす。
「起きたか」
「!?」
突然声をかけられ、わたしは反射的にベッドから立ち上がる。 しかし、目覚めてすぐに立ち上がってしまったので、ふらついてベッドに手をついてしまう。
「そんな警戒するな。 まあ、気持ちはわからんでもない」
「…………!」
先程もみた顔と声のはずなのに、わたしは唖然として声が出ない。
わたしの今、目の前にいる『わたし』という現実を受け入れられない。
「まずは落ち着かないと話にならないな。 まあ、紅茶でも飲んで落ち着け」
そういうと、わたしはわたしに紅茶を淹れて渡してくれる。
「……ありがとう……いただきます」
一応お礼をいう。 しかし、紅茶を受け取ったのをみた、ミズキ、マコト、ピンコの三人はなぜか渋い顔をする。 それを気にしている暇がないほど、パニックになっていたわたしはそれをあまり気にせずに紅茶を一口飲む。
「!!!!!?」
すると、一口飲んだ瞬間にわたしの舌に衝撃が走った。 まるで、落ち葉を泥水で擦った様な感覚だ。
「マズヴゥゥゥ!!!!!!」
わたしはあまりのマズさに口に含んだモノを吐き出してしまう。
「オイーーー!!! なにやってんだよー!?」
それをみたわたしは驚き叫ぶ。
「ごめん!!! だけど、なんだよこれ!!? バチクソマズイじゃないか!!!」
「はあ!? 淹れておいてもらってなんだその言い草は!?」
謝ったけど、反射的にボロクソいったわたしにわたしは突っかかる。
「アオイ落ち着け、更に収集つかなくなってどうする!」
「まあ、正しい反応だと思うけどな」
「ジーニの薬草のエキスはまるで劇薬つまり毒」
マコトが止めに入ってくれるけど、二人はわたしの気持ちが分かったのか、わたしの気持ちを代弁してくれる。
「なんだとキサマたち! わたしの特製紅茶を罵るとは覚悟出来てるんだろうな!」
「わかったわかった、とにかくお前が一番落ち着け」
二人に飛びかかろうとしたわたしをマコトは抑える。
「……ったく、こんなマズイ紅茶を淹れるってどんな淹れ方したんだよ。 ちょっと、キッチン借りるよ」
「?」
わたしはわたしをみてどうしても耐えられなくなったので、自分で紅茶を淹れる。
「はい」
自分のを淹れたついでにみんなのも淹れてあげる。
「…………」
しかし、わたしが淹れたからか三人は渋い顔をした。
「いらないなら飲まなくてもいいよ」
わたしはそう一言いって自分だけくつろぐ。 それをみていた三人は恐る恐るわたしの紅茶を手に取り飲む。 すると、
「え!? うまい!!!」
「ホントだ! めちゃくちゃうめぇ!」
「古より伝わりし伝説のオアシス、極上の真水」
三人ともすごく称賛してくれた。 まあ、当然だけどね。
「…………」
わたしの紅茶を飲んだわたしはなにも言わなかった。 しかし、席から立ち上がりわたしの前の床に膝を付くと深々と土下座をする。
「おみそれいたしました! どうかわたくしめにこの極上のお紅茶の淹れ方を教えていただけないでしょうか!」
「よろしい伝授してしんぜよ」
「意外とノリいいな」
意外とノリのいいわたしにマコトはツッコム。
「まあ、とにかく落ち着いたようだなアオイ」
「まあね、完璧にとはいわないけど、さっきよりは落ち着いたよ」
「なにをいっている、わたしははじめから落ち着いてるぞ」
マコトの問いに二人同時に返す。
「ねえ、ねえにそろそろ聞いておきたいんだけどさ」
「なに?」
「なんだ?」
これもまた同時に返事してしまう。
「ややこしいな……」
「こりゃまいったな……」
わたしに質問したいのにわたしが二人にいることで話がなかなか進まなくて二人は苦笑いする。
「『ジーニ』」
「なんだ?」
ピンコの言葉にもう一人のわたしだけが反応する。
「『シーニ』」
「なに?」
そして、今度はわたしだけが反応する。
「これが最適解」
わたしともう一人のわたしの反応をみたピンコはいう。
「え、どういうことだ?」
マコトはまったく分かっていないようだった。
「恐らく、我が友『ジーニ』の異名と異世界の訪問者の『シーニ』酷似しているが、二つ名に差異あり」
「そういえばそうだね。 わたし『ジーニ』なんて呼ばれたことないよ。 なんで、その呼び名なの?」
わたしは素朴な質問をする。
「簡単なことだ。 わたしが『天才』だからだ」
「え?」
すごい堂々というものだからわたしは目が点になる。
「『天才』つまり『ジーニアス』、そこから取って『ジーニ』と呼ばれているんだ」
マコトが補完をしてくれた。
「キサマはどうなんだ ?わたし……シーニだっけか?」
「わたしは名前の『アオイ』の『青』って意味の『シーニー』から取って『シーニ』だよ」
わたしは名前の意味をいう。
「なるほど、そういうことか。 意味は違っても似たような異名になるなんてさすがは『鏡の向こうのわたし』だな」
「!?」
今、とてつもなく重要そうなことをさらっといったような。
「え!? ちょっとまって!? 『鏡の向こうのわたし』ってどういうこと!?」
わたしは反射的に立ち上がっていう。
「なんだ? 気付いてなかったのか?」
わたしもといジーニはなにをいっていると云わんばかりに首を傾げる。
「いや、気付いてたけど、いきなりさらっというもんだから驚いたよ!」
「ねえ……じゃなかったジーニの方のねえはなにかしってるのか?」
ミズキも気になったのか聞く。
「そうか、キサマらにはまだ説明してなかったな」
そういうと、ジーニは魔法陣に手を突っ込むとあるものを取り出す。 わたしはそれをみて驚愕した。
「その反応、身に覚えがあるみたいだな」
「あるもなにもそれのせいでこうなってるかもしれないからね!」
わたしはジーニの手に持っている『手鏡』に食い付く。
「おい、アオイ……ジーニ! それはなんだ!?」
マコトもそれをみて驚愕の表情を浮かべる。 驚愕するのは無理もない、その手鏡に付いている石の様なモノから禍々しい魔力を発していたからだ。
「それだよ! それ! その『呪魔道具』のせいでわたしはここに迷い込んだんだよ!」
わたしは興奮気味にいう。
「呪魔道具とは失礼な、わたしの『発明』だぞ」
「えっ!?」
これまたとんでもないことを言い出したジーニに一同驚愕する。
「キサマらにはこれの素晴らしさが分からんか。 なら、説明してやろう」
ジーニは意気揚々と説明をはじめる。
「そうだな、あれは数ヵ月前。とある洞窟に探検に出掛けたところその奥地でこの『魔石』を見つけたんだ」
「まてまてまて」
ジーニのさらっといった言葉にマコトが突っかかる。
「おい、今『魔石』っていったか?」
「いったが?」
「いったが? じゃないんだが?」
「なんだ? なにか問題でもあるのか」
「ありだ! 大ありだ!!」
マコトはジーニに詰め寄る。
「おいおい、なんだ? 急にそんなイケメンフェイスを近づけるとはキスでもしてほしいのか?」
「違うわ」
マコトはため息をつきながら、ジーニから離れて椅子に座る。
「とりあえず話を続けてくれ……もっとボロが出てきそうだ」
「ボロとはなんだボロとは、まあ、話を続けてやろう」
ジーニは話を続ける。
「その魔石をなにかに使えそうだと思い持ち帰り、そして、閃き造ったのが、この『時空転移ミラー』だ」
ジーニはめちゃくちゃ鼻を高くしながらいう。
「…………」
「どうした?」
わたしは静かにジーニの前に立つとジーニの肩に優しく手をおき、一度笑顔をむけ、すぐに真顔になって言い放つ。
「なんてことしてくれとんじぁああいぃ!!」
そして、激しくカラダを揺らす。
「うおおお!? な、なんだ!? あまりのわたしの天才ぶりに嫉妬か!?」
「違うわ!!」
「まあ、とりあえず紅茶でも飲んで落ち着け!」
「それ、わたしが淹れた紅茶ぁ!!」
「ま、まあまあ、シーニねえ、気持ちはわからなくもないけど、おちつこ」
必死にジーニを揺すり続けるわたしをミズキは抑える。
「やはり貴殿の行いであったか」
「え?」
動揺し続けるわたしたちとは違って、ピンコはさっきから微動だにしていなかった。
「やっぱりキサマは気付いてたか『ピーマン』」
「否、我が名はピーチマウンテンサク…」
「いいから質問に答えろピーマン」
「…………」
ジーニにあっさりはねのけられてピンコはめちゃくちゃ哀しそうな顔をする。
「…………貴殿がこの地に戻りし刻、凄まじい魔力を感知した故に貴殿が何か持ち去り帰還したのは明々白々」
「なら、なぜその時、俺に報告しなかった?」
ピンコの言葉にマコトは手を額に抑えながらに聞く。
「所詮は魔力の宿った只の石、故に報告の義務はないと判断」
「してくれよ、魔石だぞ! 魔石! 魔女の末裔ならその危険性も分かってるはずだろ? だから、こんなことが起こってると思うんだが?」
マコトは少し責める様にいう。
「まあ、黒崎さん、起こってしまったことは仕方ないですよ」
ミズキはフォローをいれる。
「そうだな……すまなかった、起きてしまったことは仕方ない」
マコトは責めてしまったことを頭を下げて謝る。
「今日、空間の魔力の乱れを感知し、その根元である訪問者を探し出し発見し、今に至る」
「なるほど、だから、ピンコはなんにも疑問に持ってなかったんだね」
「しかし、まさか『わたし』が時空を越えてくるとは思ってなかったぞ。 我ながら天才っぷりに笑いが止まらんな」
ジーニは反省の色がまったくなく高笑いをする。
それをみたわたしは静かにジーニの顔面を右手で掴む。
「へぇっ?」
突然のことにジーニは間の抜けた声を出す。
「キミは少しは反省したらどうだい?」
そして、わたしは満面の笑みを向けながら、右手の全指におもいっきりチカラを込める。
「イダダダダァァダダダァァァ!!?」
ジーニの悲痛の叫びが響く。
「まずは、わたしにいうことがあるんじゃないかな?」
「わるかった!! わるかった!!」
「わるかった?」
笑顔を絶やさずに聞き返す。
「いえぇ! この度はシーニ様に多大なるご迷惑をおかけしましたことをわたくし天海葵ことジーニは心の底より反省いたしますぅ!!!」
ジーニは必死にわたしに謝罪の言葉を送る。
それを聞いたわたしは手を放してあげる。
「で、どう落とし前をつけてくれるのかな?」
わたしは満面の笑顔でジーニに聞く。
「はい、わたくしジーニは天才でありますが、この度の行いはわたくしの想定外の出来事でございまして、解明には少し時間が必要であります」
「それってどのくらい?」
わたしの質問にジーニは敬礼しながら話を進める。
「多く見積もって1ヶ月、わたくしの命というなの時間を削れば2週間でいけると思われます」
「まあ、そのぐらいはかかるんだね」
「いや、それでも十分すごいな」
ジーニの推測にため息を吐きながらいうと、マコトは目を見開いて驚く。 そして、ジーニは敬礼しながら言葉を続ける。
「ですが、誠に勝手ではありますが、シーニ殿のお力添えがあれば恐らくですが、1週間程で解明可能と思われます」
「そんなに早くいけるのか!? ていうか、そのキャラなんだ」
ジーニの発言にマコトは驚きながらもツッコム。
「なにをいっているんだマコト、わたしを誰だと思ってる? 天才ジーニ様だぞ? それにその天才ジーニ様がもう一人いるとすれば当然だろう?」
ジーニは元の自信過剰な性格に戻り自信満々にいう。
「まあ、正直めんどくさいけどやるしかないよね……」
わたしはため息混じりにいう。
「でも、やるからにはしっかりやってもらうからね。 それと図々しいのは承知でいうけど、衣食住しっかりとつけてもらうから」
「それくらい当然だよ。 ジーニねえの責任はこっちの責任でもあるしね」
「そうだな、今回は俺の管理不足でもあるしな」
「時空を越えし訪問者、我が遊戯で持て成そう」
三人も協力してくれるみたいだ。
「じゃあ、頼んだよみんな」
わたしは改めてお願いをした。
少しデジャブの様な感覚を感じながら、わたしは眼を覚ます。 だけど、さっきみたいに、固くて冷たい感触ではなく、暖かくて柔らかい感触だった。 今回は床ではなくベッドで寝ていたようだ。
「……ッ!」
クラクラする頭を抑えながら、状況を確認しようと上半身を起こす。
「起きたか」
「!?」
突然声をかけられ、わたしは反射的にベッドから立ち上がる。 しかし、目覚めてすぐに立ち上がってしまったので、ふらついてベッドに手をついてしまう。
「そんな警戒するな。 まあ、気持ちはわからんでもない」
「…………!」
先程もみた顔と声のはずなのに、わたしは唖然として声が出ない。
わたしの今、目の前にいる『わたし』という現実を受け入れられない。
「まずは落ち着かないと話にならないな。 まあ、紅茶でも飲んで落ち着け」
そういうと、わたしはわたしに紅茶を淹れて渡してくれる。
「……ありがとう……いただきます」
一応お礼をいう。 しかし、紅茶を受け取ったのをみた、ミズキ、マコト、ピンコの三人はなぜか渋い顔をする。 それを気にしている暇がないほど、パニックになっていたわたしはそれをあまり気にせずに紅茶を一口飲む。
「!!!!!?」
すると、一口飲んだ瞬間にわたしの舌に衝撃が走った。 まるで、落ち葉を泥水で擦った様な感覚だ。
「マズヴゥゥゥ!!!!!!」
わたしはあまりのマズさに口に含んだモノを吐き出してしまう。
「オイーーー!!! なにやってんだよー!?」
それをみたわたしは驚き叫ぶ。
「ごめん!!! だけど、なんだよこれ!!? バチクソマズイじゃないか!!!」
「はあ!? 淹れておいてもらってなんだその言い草は!?」
謝ったけど、反射的にボロクソいったわたしにわたしは突っかかる。
「アオイ落ち着け、更に収集つかなくなってどうする!」
「まあ、正しい反応だと思うけどな」
「ジーニの薬草のエキスはまるで劇薬つまり毒」
マコトが止めに入ってくれるけど、二人はわたしの気持ちが分かったのか、わたしの気持ちを代弁してくれる。
「なんだとキサマたち! わたしの特製紅茶を罵るとは覚悟出来てるんだろうな!」
「わかったわかった、とにかくお前が一番落ち着け」
二人に飛びかかろうとしたわたしをマコトは抑える。
「……ったく、こんなマズイ紅茶を淹れるってどんな淹れ方したんだよ。 ちょっと、キッチン借りるよ」
「?」
わたしはわたしをみてどうしても耐えられなくなったので、自分で紅茶を淹れる。
「はい」
自分のを淹れたついでにみんなのも淹れてあげる。
「…………」
しかし、わたしが淹れたからか三人は渋い顔をした。
「いらないなら飲まなくてもいいよ」
わたしはそう一言いって自分だけくつろぐ。 それをみていた三人は恐る恐るわたしの紅茶を手に取り飲む。 すると、
「え!? うまい!!!」
「ホントだ! めちゃくちゃうめぇ!」
「古より伝わりし伝説のオアシス、極上の真水」
三人ともすごく称賛してくれた。 まあ、当然だけどね。
「…………」
わたしの紅茶を飲んだわたしはなにも言わなかった。 しかし、席から立ち上がりわたしの前の床に膝を付くと深々と土下座をする。
「おみそれいたしました! どうかわたくしめにこの極上のお紅茶の淹れ方を教えていただけないでしょうか!」
「よろしい伝授してしんぜよ」
「意外とノリいいな」
意外とノリのいいわたしにマコトはツッコム。
「まあ、とにかく落ち着いたようだなアオイ」
「まあね、完璧にとはいわないけど、さっきよりは落ち着いたよ」
「なにをいっている、わたしははじめから落ち着いてるぞ」
マコトの問いに二人同時に返す。
「ねえ、ねえにそろそろ聞いておきたいんだけどさ」
「なに?」
「なんだ?」
これもまた同時に返事してしまう。
「ややこしいな……」
「こりゃまいったな……」
わたしに質問したいのにわたしが二人にいることで話がなかなか進まなくて二人は苦笑いする。
「『ジーニ』」
「なんだ?」
ピンコの言葉にもう一人のわたしだけが反応する。
「『シーニ』」
「なに?」
そして、今度はわたしだけが反応する。
「これが最適解」
わたしともう一人のわたしの反応をみたピンコはいう。
「え、どういうことだ?」
マコトはまったく分かっていないようだった。
「恐らく、我が友『ジーニ』の異名と異世界の訪問者の『シーニ』酷似しているが、二つ名に差異あり」
「そういえばそうだね。 わたし『ジーニ』なんて呼ばれたことないよ。 なんで、その呼び名なの?」
わたしは素朴な質問をする。
「簡単なことだ。 わたしが『天才』だからだ」
「え?」
すごい堂々というものだからわたしは目が点になる。
「『天才』つまり『ジーニアス』、そこから取って『ジーニ』と呼ばれているんだ」
マコトが補完をしてくれた。
「キサマはどうなんだ ?わたし……シーニだっけか?」
「わたしは名前の『アオイ』の『青』って意味の『シーニー』から取って『シーニ』だよ」
わたしは名前の意味をいう。
「なるほど、そういうことか。 意味は違っても似たような異名になるなんてさすがは『鏡の向こうのわたし』だな」
「!?」
今、とてつもなく重要そうなことをさらっといったような。
「え!? ちょっとまって!? 『鏡の向こうのわたし』ってどういうこと!?」
わたしは反射的に立ち上がっていう。
「なんだ? 気付いてなかったのか?」
わたしもといジーニはなにをいっていると云わんばかりに首を傾げる。
「いや、気付いてたけど、いきなりさらっというもんだから驚いたよ!」
「ねえ……じゃなかったジーニの方のねえはなにかしってるのか?」
ミズキも気になったのか聞く。
「そうか、キサマらにはまだ説明してなかったな」
そういうと、ジーニは魔法陣に手を突っ込むとあるものを取り出す。 わたしはそれをみて驚愕した。
「その反応、身に覚えがあるみたいだな」
「あるもなにもそれのせいでこうなってるかもしれないからね!」
わたしはジーニの手に持っている『手鏡』に食い付く。
「おい、アオイ……ジーニ! それはなんだ!?」
マコトもそれをみて驚愕の表情を浮かべる。 驚愕するのは無理もない、その手鏡に付いている石の様なモノから禍々しい魔力を発していたからだ。
「それだよ! それ! その『呪魔道具』のせいでわたしはここに迷い込んだんだよ!」
わたしは興奮気味にいう。
「呪魔道具とは失礼な、わたしの『発明』だぞ」
「えっ!?」
これまたとんでもないことを言い出したジーニに一同驚愕する。
「キサマらにはこれの素晴らしさが分からんか。 なら、説明してやろう」
ジーニは意気揚々と説明をはじめる。
「そうだな、あれは数ヵ月前。とある洞窟に探検に出掛けたところその奥地でこの『魔石』を見つけたんだ」
「まてまてまて」
ジーニのさらっといった言葉にマコトが突っかかる。
「おい、今『魔石』っていったか?」
「いったが?」
「いったが? じゃないんだが?」
「なんだ? なにか問題でもあるのか」
「ありだ! 大ありだ!!」
マコトはジーニに詰め寄る。
「おいおい、なんだ? 急にそんなイケメンフェイスを近づけるとはキスでもしてほしいのか?」
「違うわ」
マコトはため息をつきながら、ジーニから離れて椅子に座る。
「とりあえず話を続けてくれ……もっとボロが出てきそうだ」
「ボロとはなんだボロとは、まあ、話を続けてやろう」
ジーニは話を続ける。
「その魔石をなにかに使えそうだと思い持ち帰り、そして、閃き造ったのが、この『時空転移ミラー』だ」
ジーニはめちゃくちゃ鼻を高くしながらいう。
「…………」
「どうした?」
わたしは静かにジーニの前に立つとジーニの肩に優しく手をおき、一度笑顔をむけ、すぐに真顔になって言い放つ。
「なんてことしてくれとんじぁああいぃ!!」
そして、激しくカラダを揺らす。
「うおおお!? な、なんだ!? あまりのわたしの天才ぶりに嫉妬か!?」
「違うわ!!」
「まあ、とりあえず紅茶でも飲んで落ち着け!」
「それ、わたしが淹れた紅茶ぁ!!」
「ま、まあまあ、シーニねえ、気持ちはわからなくもないけど、おちつこ」
必死にジーニを揺すり続けるわたしをミズキは抑える。
「やはり貴殿の行いであったか」
「え?」
動揺し続けるわたしたちとは違って、ピンコはさっきから微動だにしていなかった。
「やっぱりキサマは気付いてたか『ピーマン』」
「否、我が名はピーチマウンテンサク…」
「いいから質問に答えろピーマン」
「…………」
ジーニにあっさりはねのけられてピンコはめちゃくちゃ哀しそうな顔をする。
「…………貴殿がこの地に戻りし刻、凄まじい魔力を感知した故に貴殿が何か持ち去り帰還したのは明々白々」
「なら、なぜその時、俺に報告しなかった?」
ピンコの言葉にマコトは手を額に抑えながらに聞く。
「所詮は魔力の宿った只の石、故に報告の義務はないと判断」
「してくれよ、魔石だぞ! 魔石! 魔女の末裔ならその危険性も分かってるはずだろ? だから、こんなことが起こってると思うんだが?」
マコトは少し責める様にいう。
「まあ、黒崎さん、起こってしまったことは仕方ないですよ」
ミズキはフォローをいれる。
「そうだな……すまなかった、起きてしまったことは仕方ない」
マコトは責めてしまったことを頭を下げて謝る。
「今日、空間の魔力の乱れを感知し、その根元である訪問者を探し出し発見し、今に至る」
「なるほど、だから、ピンコはなんにも疑問に持ってなかったんだね」
「しかし、まさか『わたし』が時空を越えてくるとは思ってなかったぞ。 我ながら天才っぷりに笑いが止まらんな」
ジーニは反省の色がまったくなく高笑いをする。
それをみたわたしは静かにジーニの顔面を右手で掴む。
「へぇっ?」
突然のことにジーニは間の抜けた声を出す。
「キミは少しは反省したらどうだい?」
そして、わたしは満面の笑みを向けながら、右手の全指におもいっきりチカラを込める。
「イダダダダァァダダダァァァ!!?」
ジーニの悲痛の叫びが響く。
「まずは、わたしにいうことがあるんじゃないかな?」
「わるかった!! わるかった!!」
「わるかった?」
笑顔を絶やさずに聞き返す。
「いえぇ! この度はシーニ様に多大なるご迷惑をおかけしましたことをわたくし天海葵ことジーニは心の底より反省いたしますぅ!!!」
ジーニは必死にわたしに謝罪の言葉を送る。
それを聞いたわたしは手を放してあげる。
「で、どう落とし前をつけてくれるのかな?」
わたしは満面の笑顔でジーニに聞く。
「はい、わたくしジーニは天才でありますが、この度の行いはわたくしの想定外の出来事でございまして、解明には少し時間が必要であります」
「それってどのくらい?」
わたしの質問にジーニは敬礼しながら話を進める。
「多く見積もって1ヶ月、わたくしの命というなの時間を削れば2週間でいけると思われます」
「まあ、そのぐらいはかかるんだね」
「いや、それでも十分すごいな」
ジーニの推測にため息を吐きながらいうと、マコトは目を見開いて驚く。 そして、ジーニは敬礼しながら言葉を続ける。
「ですが、誠に勝手ではありますが、シーニ殿のお力添えがあれば恐らくですが、1週間程で解明可能と思われます」
「そんなに早くいけるのか!? ていうか、そのキャラなんだ」
ジーニの発言にマコトは驚きながらもツッコム。
「なにをいっているんだマコト、わたしを誰だと思ってる? 天才ジーニ様だぞ? それにその天才ジーニ様がもう一人いるとすれば当然だろう?」
ジーニは元の自信過剰な性格に戻り自信満々にいう。
「まあ、正直めんどくさいけどやるしかないよね……」
わたしはため息混じりにいう。
「でも、やるからにはしっかりやってもらうからね。 それと図々しいのは承知でいうけど、衣食住しっかりとつけてもらうから」
「それくらい当然だよ。 ジーニねえの責任はこっちの責任でもあるしね」
「そうだな、今回は俺の管理不足でもあるしな」
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「じゃあ、頼んだよみんな」
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合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
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