カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

文字の大きさ
80 / 124
シーニと鏡の世界編

80色 鏡の中ではだれひとり

しおりを挟む
「あそこだよ」

 ミズキは案内した場所を指さす。 そこは、町はずれの空き地のようなところだった。

「本当にいくのか?」

 ミズキは心配そうにわたしに聞いてくる。

「なにかあったら俺がなんとかする」
「お、かっこいいことをいってくれるじゃないか、そのかっこいい顔にキスをしてやろうか?」
「いらんわ」
「我は朋友を守りし守護精霊」

 三人もわたしを心配して一緒にきてくれた。

「ありがたいけど、わざわざついてこなくてもキミたちはゆっくりしててもよかったよ?」
「バカいうな、わたしが歩き周ってなにかやらかしたらわたしの信頼に関わるからな、見張りをかねて付いてきて当然だろう」
 
 ジーニは別に心配してついてきた訳ではなさそうだ。

「ジーニ、それはお前の云えることではないぞ? まあ、俺としてはジーニもきてくれた方が安心してシーニの護衛ができるがな」

 マコトは本気で心配して、ついてきてくれたみたいだ。

「なんだ? そんなにわたしと離れたくなかったか?」
「お前は監視対象だからだ」
「空を切り裂く牙、荒れ地に住し野獣」

 三人の会話を後ろで聞きながら、わたしは空き地の入り口に近づき中を覗く。 すると、中には小さな小屋の様な建物が立っており。 近くに二段に重なった土管があった。 そして、その上にひとりの少年が座っていた。

 その少年、クウタくんは服がボロボロで顔とカラダもボロボロだった。 クウタくんは空を見上げていたけど、目には一切光がなくてどこを見ているのか、本当に空を見ているのかわからなかった。

「…………」

 わたしは改めてその姿を確認すると、言葉を失ってしまう。

 わたしの知っているクウタくんは誰よりも純粋で優しくていつも笑っていたからだ。 しかし、わたしの今、眼に映る彼は笑顔ひとつなかった。 まるで、世界に『絶望』しているようだった。

「シーニねえ、やっぱりやめとこうよ」

 ミズキはクウタくんをみるだけで動かないわたしにいってくる。

「おい、なんのようだ?」
「!?」

 突然、声を向けられわたしたちは身構える。 しかし、クウタくんは空を見つめたままだった。

「気づいてたんだね……」

 わたしは空き地の入り口から彼の前に姿をみせて、それに続きみんなも姿をみせる。

「……あんたは……あん時の」

 クウタくんはわたしの姿を確認すると、隣にいるジーニを目でみる。

「やっぱり『別人』だったか」
「え?」

 クウタくんの言葉にわたしは驚く。

「どうゆう理屈かしらんが、あん時感じたあんたの気配はおれのしってるミズキの姉貴じゃないと思った」

 気配?

 わたしがその言葉を疑問に思って考えていると、ジーニが口を開く。

「ほう、なかなか鋭いじゃないか、シーニいわく会ったのはほんの一瞬だといっていたが? それに久しいな、数年ぶりか? クウタ、いや今は『クウガ』って呼ばれているんだったか?」
「あんたもそれで呼ぶのか、まあいい、おれのしってるあんたはムカつくぐらい自信家でいちいち鼻に触る喋り方をしてなにかと勘に触ったからな」

 一瞬、クウタくんは哀しそうな顔をした気がしたけど、すぐに無表情に戻りいう。

「いってくれるじゃないか、わたしの知っているキサマは泣き虫でいつも母親にくっついてるマンモーニだったはずだが?」
「!?」

 その言葉を聞いた瞬間、無表情のままだけどクウタくんの眼の奥がさらに深く暗くなるのを感じた。

「……おまえらはなにしにきたんだ? おれをバカにしにきたのか? それともおれの……『死んだかーさん』をバカにしにきたのか?」

 周りの空気がドッと重くなり、クウタくんは静かな怒りをとても重くてドス黒い魔力を放出する。

 その魔力を感じたわたしたちはカラダが震えて寒気がし、顔から血の気が引くのを感じた。
 
 ジーニも自分が失言したことに気が付き冷や汗を流しながら苦笑いしていた。

「魔導警察を連れてきたってことはそういうことだよな?」
「ち、ちが……!?」

 わたしが弁解しようとするけど、もう遅かった。

 クウタくんはわたしたちに向けて凄まじい風をぶつけてきた。

「……くぅっ!?」

 わたしはカラダが浮いてしまい背後に飛ばされる。 それをマコトが受け止めてくれるけど、後ろに飛ばされて地面に転がる。

念動力空間転移サイコキネシステレポーテーション!!」

 ピンコの呪文の詠唱が聞こえると同時にわたしの視界が別の場所へと切り替わった。 最後にみえた彼の哀しい眼を瞳に焼き付けながら……




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢と入れ替えられた村娘の崖っぷち領地再生記

逢神天景
ファンタジー
とある村の平凡な娘に転生した主人公。 「あれ、これって『ダンシング・プリンス』の世界じゃない」 ある意味好きだった乙女ゲームの世界に転生していたと悟るが、特に重要人物でも無かったため平凡にのんびりと過ごしていた。 しかしそんなある日、とある小娘チート魔法使いのせいで日常が一変する。なんと全てのルートで破滅し、死亡する運命にある中ボス悪役令嬢と魂を入れ替えられてしまった! そして小娘チート魔法使いから手渡されたのはでかでかと真っ赤な字で、八桁の数字が並んでいるこの領地収支報告書……! 「さあ、一緒にこの崖っぷちの領地をどうにかしましょう!」 「ふざっけんなぁあああああああ!!!!」 これは豊富とはいえない金融知識と、とんでもチートな能力を活かし、ゲーム本編を成立させれる程度には領地を再生させる、ドSで百合な少女の物語である!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

処理中です...