下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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七泊八日

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お客さんを送り出してる使用人の人が気付き、祖父が表に迎えに来てくれる。

「遅かったな?」

「うん、みんな遊ばせてたんだよ」

「そうか、周太郎もいるなら丁度いい。ほらこっちから上がりなさい」

奥に通されて畳の上に周太郎に支えられ立つと、綺麗な薄い緑色の着物を肩からかけられる。

「うーん、丈がまだ長いな……。次はこっちを着てみて……」

羽織もかけられ、使用人の人がまち針をさしていく。

「お爺ちゃん……」

「んー?」

「まだ?」

「もうちょっと待ってくれんか……」

帯を合わせるのにいくつか持ってきて、長さを決めてからいくつかの色を合わせられる。畳の上には高そうな反物などが散らばり、見ているだけで高価なものなのにとドキドキしてしまう。

「お、お爺ちゃん……もう限界……」

「おお、すまんすまん!周太郎座らせてやってくれ。昔からこだわるとつい集中してしまってな。思っていたより丈が長かった程度だが、雪翔は細いからのう。帯の色でそれを隠せないかと思って……じゃが、座るのにら柔らかいほうがいいだろうし、解けにくいものでなければ……」

「何ですかこれは!!!」との祖母の一喝にしゅんとしながらも、丈を合わせていただけでと言っているので、気にしないで欲しいと言い、着物の色も羽織の色も綺麗だと伝えた。

「お昼って何?」

「チャーハンと言うものを作ったの。『でぱちか』で買ったのよ沢山。栞にも教えてもらったから、間違ってないと思うけど」

周太郎も一緒にと言われ断っていたが、小さい頃から知っているとの話を聞いて、良いんじゃないか?と一緒に食べ、中庭で三匹を出して遊ばせる。

「雪翔、翡翠ちゃんのお洋服少し貸してくれないかしら?」

「今の服?」

「そう。すぐに済むから」

良いよと翡翠の服を脱がして渡すと、本当にすぐに戻ってきた。

「次は金ちゃんと銀ちゃんね。こっちでおやつ食べましょうか」とうまく誘い連れて行く。

「何してるの?」

「お楽しみじゃよ。翡翠が震えておる。着せてあげなさい」

「あ!ごめんね……」

「ところで雪翔はここに来てからはどこに行ったんじゃ?」

「前に来た時は時間もなかったし、街まで行っただけだよ?」

「そうか。この東の地域でも少し外れになるんだが、温泉施設があるんじゃ。中には休憩所や軽い飲食店もあって、中々綺麗な所なんじゃがな……冬弥達が帰ってきたら行ってみんか?」

「年末でもやってるの?」

「やっておるよ?」

「分かった。帰ってきたら誘ってみるね」

それだけ言って、ご馳走様でしたと家を出て帰路につく。

「あ……夕飯の支度って何時から?」

「そろそろ始まりますが、なにか?」

「早く帰ろう?僕、台所行かなくちゃ!」

急ぎ帰ると、やはりカレーのルーを見てみんな箱を手に取り何箱入れようか迷っているところだった。

「まって!お願い……あの、もうルー入れた?」

「るーとはこれですか?」

「そう」

「まだです。今ほかの野菜を切っていましたので」

良かったと思い、火に掛けられている鍋を見ると二つ分。それもいつも使う鍋と同じ型だったので、お肉を出してと言うと、うさぎの肉が冷蔵庫から出てきたので、豚肉が絶対あると思って開ける。
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