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七泊八日
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「坊ちゃんすごいです!」など言われたが、調味料を入れただけだ……
女中頭がしっかりとメモをとっていて、お礼を言ってくる。
「あれ、後でみんなで食べて。じゃがいもや人参にウインナー入れたらね、ポトフって料理になるんだ。味を薄くして水分少なめにしてから、沢山トマト入れて煮込むとトマトスープできるし、色々使えるよ?」
「これなのですが」
一冊の本を渡され見ると、簡単クッキングと書かれた分厚い本だった。
「写真があるので普段の煮物などはわかるのですが、この摘みの所の小さじとか大さじとか……測るものがなくてですね……」
「さっきの匙すり切りいっぱいが小さじだと思うけど。そこから味見するしかないかも」
「分かりました。若奥様がいらしたら聞けたんですが」
「これこれ、雪翔でも全部は無理でしょう?カレーは出来たんだから、次はおつまみに取り掛かって頂戴な」
「お婆ちゃん、僕作ってもいい?」
「良いけど、みんなにやらせて欲しいのよ。見てるだけでは覚えないでしょう?」
「わかった。お手伝いだけ……」
「そうねぇ。私も知らない調味料もあるし、見ていきましょうかねぇ」
台所はほかのものも来ていてごった返していたが、周太郎に幾つかフライパン等も同じ種類で並べ替えてもらい、調味料の中からソースや白だし醤油を見つけ、納豆があると言うので、三パック出してボウルに入れ、付いている調味料を入れてから刻みネギと混ぜ、揚げを半分に切ったものの中に入れる。
爪楊枝で止めて、軽く表面に焼き色がつくまで焼いてから少し白だしをかけて完成だったので、半分に切って試食してもらう。
「中は大葉でもいいと思うけど」
「大奥様、坊ちゃんは料理の才能がおありです。とても美味しいです!」
「どれどれ?……あら、本当。これは美味しいわねぇ。みんな書付しておいてくださいよ?」
「はい」
「あ、兎の肉あったよね?」
「まだ残ってますけど……ももの部分ですよ?」
それを出してもらい、包丁で開いて平にしてから一口大に切り、塩コショウを軽くして生姜、ニンニク、醤油を混ぜたものにつける。
その間に、サラダになる葉とトマトを小皿に置いて、冷蔵庫にあったフレンチドレッシングを少しかけておく。
「これサラダに使うから。で、この肉を布に包んで叩いてもらったあられの粉にしっかりとまぶしてから、揚げてくれる?僕届かないから……」
表面がきつね色になった兎の肉の唐揚げを盛り付け、残りをみんなで分けて食べてもらう。
「あられが衣に……サクサクとしていて美味しいです!」
「周太郎さんどう?」
「肉好きなので、これは酒が進みます。それにほんのりとニンニクが聞いていて美味しいです」
その夜はカレーから始まり、おつまみも普段の和物などと一緒に、作った唐揚げやあげ納豆など出てきて、雪翔が作ったと祖母が言うとそれはそれでまた撫で撫でとされ褒められる。
「なんでも出来るんだな。雪翔は器用なんじゃないか?他にもなにか趣味を持てばいいのに」
「冬弥さん見てたから出来ただけだよ。毎日手伝ってるから覚えちゃっただけ。京弥さんは料理しないの?」
「米は炊いたことあるけど……」と下を向く。
「焦げて真っ黒になったんですよ?あの時は火事かと大騒ぎで……」
「幸、それはもう随分と昔の話だろう?」
「そうでしたか?」
「二人も仲いいよね」
「仲はいいですよ?でも最近口うるさく……もしかして……」
「ふふ、多分」
「孫か!!!」
「お爺さん、静かにしてくださいまし。今度は何事も無いようにとなるべくゆっくりしてもらってますからねぇ」
「赤ちゃんできたの?」
「まだ医者に見てもらってないんですけど……もうそろそろ四ヶ月に入るかと」
「なぜ言わなんだ?」
「申し訳ございません。また……駄目だったらと言い出せずに……」
女中頭がしっかりとメモをとっていて、お礼を言ってくる。
「あれ、後でみんなで食べて。じゃがいもや人参にウインナー入れたらね、ポトフって料理になるんだ。味を薄くして水分少なめにしてから、沢山トマト入れて煮込むとトマトスープできるし、色々使えるよ?」
「これなのですが」
一冊の本を渡され見ると、簡単クッキングと書かれた分厚い本だった。
「写真があるので普段の煮物などはわかるのですが、この摘みの所の小さじとか大さじとか……測るものがなくてですね……」
「さっきの匙すり切りいっぱいが小さじだと思うけど。そこから味見するしかないかも」
「分かりました。若奥様がいらしたら聞けたんですが」
「これこれ、雪翔でも全部は無理でしょう?カレーは出来たんだから、次はおつまみに取り掛かって頂戴な」
「お婆ちゃん、僕作ってもいい?」
「良いけど、みんなにやらせて欲しいのよ。見てるだけでは覚えないでしょう?」
「わかった。お手伝いだけ……」
「そうねぇ。私も知らない調味料もあるし、見ていきましょうかねぇ」
台所はほかのものも来ていてごった返していたが、周太郎に幾つかフライパン等も同じ種類で並べ替えてもらい、調味料の中からソースや白だし醤油を見つけ、納豆があると言うので、三パック出してボウルに入れ、付いている調味料を入れてから刻みネギと混ぜ、揚げを半分に切ったものの中に入れる。
爪楊枝で止めて、軽く表面に焼き色がつくまで焼いてから少し白だしをかけて完成だったので、半分に切って試食してもらう。
「中は大葉でもいいと思うけど」
「大奥様、坊ちゃんは料理の才能がおありです。とても美味しいです!」
「どれどれ?……あら、本当。これは美味しいわねぇ。みんな書付しておいてくださいよ?」
「はい」
「あ、兎の肉あったよね?」
「まだ残ってますけど……ももの部分ですよ?」
それを出してもらい、包丁で開いて平にしてから一口大に切り、塩コショウを軽くして生姜、ニンニク、醤油を混ぜたものにつける。
その間に、サラダになる葉とトマトを小皿に置いて、冷蔵庫にあったフレンチドレッシングを少しかけておく。
「これサラダに使うから。で、この肉を布に包んで叩いてもらったあられの粉にしっかりとまぶしてから、揚げてくれる?僕届かないから……」
表面がきつね色になった兎の肉の唐揚げを盛り付け、残りをみんなで分けて食べてもらう。
「あられが衣に……サクサクとしていて美味しいです!」
「周太郎さんどう?」
「肉好きなので、これは酒が進みます。それにほんのりとニンニクが聞いていて美味しいです」
その夜はカレーから始まり、おつまみも普段の和物などと一緒に、作った唐揚げやあげ納豆など出てきて、雪翔が作ったと祖母が言うとそれはそれでまた撫で撫でとされ褒められる。
「なんでも出来るんだな。雪翔は器用なんじゃないか?他にもなにか趣味を持てばいいのに」
「冬弥さん見てたから出来ただけだよ。毎日手伝ってるから覚えちゃっただけ。京弥さんは料理しないの?」
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「そうでしたか?」
「二人も仲いいよね」
「仲はいいですよ?でも最近口うるさく……もしかして……」
「ふふ、多分」
「孫か!!!」
「お爺さん、静かにしてくださいまし。今度は何事も無いようにとなるべくゆっくりしてもらってますからねぇ」
「赤ちゃんできたの?」
「まだ医者に見てもらってないんですけど……もうそろそろ四ヶ月に入るかと」
「なぜ言わなんだ?」
「申し訳ございません。また……駄目だったらと言い出せずに……」
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