下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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四社巡り

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暫く風に当たりながらのんびりと散策をし、冬風神社へと向かう。

新しく建て直したと聞いていて、奥には古墳があると聞いていたので、見れるのかどうかわからなかったが、参拝をして裏に回る。

立て札に、古墳・遺跡と書かれ、調査中となっていた。

「よう!」

「玲さん、出てきていいの?」

「裏だしな。にしてもこれ古墳に見えるか?」

「見えない……」

「だけど、古墳なんだ!」

「どっちなの?」

「中に確かに棺はあるな。誰のか分からんが……」

「それ聞いたら怖いんだけど」

「まぁ、古墳て墓だからな!良く観光で古墳の周り歩くだろ?その周りの下も墓なのには変わらない。盛り上がりのない平坦なところを歩けばいいのに、その前に紐がかけてあるから、みんな墓登りしてるみたいなものだ」

「その古墳の中は空っぽなんじゃないの?よく博物館とかで展示されてるし」

「そうでもない。墓を見つけてなんで墓の周りを掘り返さない?今は機械があるからすぐだろう?誰かの墓の周りにはいくつかの棺もあるってことだ」

「テレビで見たことあるよ?外国だけど、小さな子を周りに埋めるとか、侍女を埋めて死んでからも世話させるとか」

「それだそれ!昔からつきものの話だな。今日は冬弥はどうした?」

「僕1人だよ?四社巡りしてるの。ここが最後なんだ。地図見てきたんだけど、秋彪さんとかに道教えて貰って、こうきたの!」と地図を見せる。

暫く地図を見ていた玲が、口元に手をやり「ほう……」と意味深に何かを呟いている。

「これ、お前が考えたのか?」

「うん、でもここからこっちのが近いからって先に那智さんのところ行って此処に来たんだ。そしたらお土産通り抜けて家に帰れるから」

「帰ったら、地図に行った順に線を引いてみろ。いいものが見れるかもな」

鯉に餌でもやってくれと餌をもらったので、池に行って餌をあげる。

立て札には「恋が叶う」と書かれていたが、目の前には集まってくる鯉。「恋じゃないじゃん!」とパラパラと餌を撒いて、お土産通りに行き、ジュースを買う。

隅っこで飲んで、通りを見るとかなりの人がいる。

お土産物屋さんで色々見て、気に入ったのが伸び縮みする背中を掻く棒。
ちゃんと五本指になっていて、たたむと小さくなって便利だと一つ買い、後は見て回るだけで、カスタードと餡の人形焼きを買っていくつかのお店を見て回る。

日も暮れ出してきたのでもう帰らないとと思い、お土産通りを抜けて大通りまで行く。

横断歩道を渡れば家は近い。こんなにみんなのところが近かったんだと思い、前に転んだ坂道と別の道から帰る。

「ただいまー!」

「お帰りなさい、何も無かった?」

「うん、楽しかったよ!あ、これ人形焼のお土産」

「あら?猫型?」

「僕も猫と思ったんだけど、狐って書いてあった……餡子とカスタード買ってきたからみんなでたべよう」

「その前に手洗ってね。それとお風呂も入って」

「うん」

さっぱりしてからリビングに行き、ペンで行った順に線を引くと星型になった。
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