下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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白い空間

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「壁、あった?」

「あったけど、卵の殻みたいにザラっとしてた。俺たち三人の中では、ちーがこういったの得意なんだけど……」

「僕も何が何だか……初めて見るし。ただ、動いてる感じがするの。えーと、『エスカレーター』で運ばれていくみたいな感じ?」

「動いてるってことかな?」

「う、梅はあっちから人の声がしたような気がしてならなかったので、ずっと耳をつけてたんですが、はっきりとはわかりません」

梅がいた場所に、白と黒が行き、手をあてて周辺を探っている。

「雪、ここが一番薄い場所かも……一度攻撃してみても?」

「うん」

ボクシングをしているように、白と黒が壁を叩き続けていたが、それでも壁が崩れることはなく、そうしているうちに、『水と、食べ物を置いておきます。もちろん毒など入ってませんから安心してください』と聞こえ、後ろを振り替えると、1リットルのペットボトルの水と菓子パンが人数分置かれていた。

「ねえ、こっちの話聞いてるんなら出してよ!」

何を言っても反応がないことはわかっていたが、文句を言うことしか出来ない。

大体、みんなで出れると言う風な感じの事はいっていたが、どうやればいいのかさえ分からない。

「みんな、みんなは何が出来るの?」

「俺たち松竹梅は攻撃のメインが俺。竹は攻撃と守り、梅は防御的な事。三人で一人って感じでいつも出されるかな」

「そっか。金と銀は……」

「僕と兄ちゃんはどちらでも出来るけど、あんまり強くないし、すぐに疲れちゃう。翡翠は主に守ることと傷の手当が得意だよね」

「白と黒も分かれてるけど……」

「我らはそれぞれ特化してはおりますが、全く出来ないという訳では無いです」

「あ、僕の力がみんなにはいるんだよね?」

「力って言うか、気かな?」

「頭がごちゃごちゃになってきた!ちょっと、整理したいんだけど……」

「僕達は出ていてもいいんですか?」

「玲さんの影が僕の中に入れるの?」

「俺たちはそんなに大きな狐じゃないから入れるとおもう」

「じゃ、疲れたら入って。できれば誰かは出ててほしいな。こんなところに一人でいたら、本当におかしくなっちゃいそうだよ」

松竹梅に中に入ってもらい、翡翠もここの空気は嫌だというので、残ったのは金と銀に白と黒。

ペットボトルの水の匂いを嗅いで、「何も入ってないと思う」と金が持ってきてくれたので少し飲み、目を瞑る。

声はどこから聞こえているのかわからないような、全体的に響く感じで聞こえていたので宛にならない。ずっと入ってきた穴の、同じ方向を向いていたので、あの男は自由にここに出入りできると考えていい。だけどこちらからは出ることが出来ない。

動いている感じ、人の声が聞こえると言うことは、今、ここから出たとしても家の前ではないのかもしれないが、人を閉じ込めて移動するなんて聞いたこともなければ映画だけの話だ!と、目を開けて周囲をもう一度よく見ようと、床に入ってきた方向と今自分がいる位置が分かるように、ペットボトルの飲み口を矢印変わりに寝かせて置き、車椅子で移動して触りながら、耳を当ててなにか聞こえないかといくつかの場所で同じことをする。
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