17 / 87
天からの使い
.
しおりを挟む
その後宴会の続く部屋を通り越し、玄関へと向かうと、広い玄関にはたくさんの祝の品が届いており、厨房でまだジュースが残っているか聞いて、一缶ずつもらって庭に出る。
「雪翔、おかえり」
そう言われて乾杯し、昔と同じようにぼーっと二人でしながらジュースを飲んで日向ぼっこをしてウトウトとする。
「こりゃ、お前達何をしておる」
「ん?あれ?お爺ちゃん?」
「若いのにぼーっとして、悩み事か?」
「違うよ?遊んでたの」
「何もしておらんかったではないか」
「昔から航平ちゃんとぼーっとしてるのが好きだったんだ」
「それだけか?」
「そうだよ?」
「全く、のんびりしておるのぅ。それより、昴がそろそろ帰るそうじゃ」
「じゃあお見送りしなきゃ」
「もうそろそろ玄関に来るからそこから回ってきなさい」
「はーい」
玄関で、「またな」と言われたので、また来ますと言って手を振る。
「お爺ちゃん、みんなまだ料理運んでるけど……」
「あぁ、秋彪と玲がよう食べる。それに珍しく那智も食うておるからの、すぐに無くなるんじゃ」
「やっぱり心配させちゃったからだよね」
「それは否定はせんが、無事だったんじゃからいいではないか。それに侑弥も生まれた。みんな緊張の糸が解けたのじゃろう。暫くはこのままで良い良い」
「うん」
「それよりお前達遊んでおったと言っておったが、『てすと』はいいのか?」
「あぁぁぁ、こ、航平ちゃーん」
「はいはい。すいません、少し勉強見てきます」
「すまんの。航平も疲れたらみんなの所で飲むといい」
「だから未成年なの!」
プンプンとしながら部屋に行き、封筒の中身を見ると休んでいた分のコピーが入っていた。
それと教科書などを照らし合わせて、習っていないところを集中的にやる。
「雪翔は三年までのテキスト終わってるんだろ?」
「うん」
「だったらある程度わかるんじゃないのか?」
「理屈はね?でも教えて貰った方が頭に入りやすいの。覚えなきゃいけないのは何とかなるんだけど、数式見ると慌てちゃうんだ……」
「大学決めたのか?」
「学部のこと?」
「そう」
「もう迷ってる暇ないんだけどね、まだ僕歩けないし、あと四年で歩けるかもわからないから、法学部にしようと思うんだ。えっとね、社会福祉主事ってのが取れるみたいで、証明書とかないみたいなんだけど、福祉のこととか障害のこととか勉強できるし、今の僕なら役に立てないかなって思って」
「あれ、34科目中3科目取ればいいんだっけ?」
「そんなようなことは書いてあったけど、医学から看護や経済まで幅広く勉強できるから」
「そっか。雪翔がそう決めたんなら頑張れ!俺は応援する」
「ありがと!航平ちゃん」
「あと一年ないぞ?偏差値も高い……あ、お前推薦じゃないか?」
「わかんないよ。定時からだから……普通に受けなきゃいけないならもっと頑張らないといけないし」
「帰ったら資料もらってこいよ。隆弘さんと見てやるから」
「うん」
夕方まで勉強してから、宴会場まで行くと、みんなの狐も出てきて、お酌したり踊ったりとお祭り騒ぎがまだ続いていた。
「ねえ、寝てるの?」
近くにいた玲に聞くと、みんな適当に飲んで寝てると返ってきたが、起きたらまた飲むんだ!と匂いがすごいので障子を開けて空気の入れ替えをする。
「ゆ・き・と・くぅーん」と聞きなれた声がしたので避け、ジイジ飲み過ぎ!と言うと、バアバも酔って寝てるという。
「いいのかな?」
「俺、ここにいちゃいけない気がするんだけど」
「僕もそう思う……」
とにかくお腹がすいたからと、結局台所まで行って、お膳で用意してもらうことにした。
「坊ちゃん方お揃いで。祝には行かれないのですか?」と女中頭に聞かれるが、あの雰囲気とお酒の匂いで酔いそうだからと言って、ご飯を食べ、さっさとお風呂に入る。
「こうへーーーー!なんで戻ってこねーんだ!」
「那智さん!だってあの部屋くさいですって!那智さんも酒くっさ!」
「祝だからいいんだよ!ほら、お前達こい」
せっかくお風呂に入ったのにと宴会場まで連れていかれ、なぜだかみんなのお酌をさせられる。
かなり遅い時間に、冬弥が「薬飲んでます?」と言いに来たので、航平と後ろに隠れて「もう部屋に戻りたいよ……」とおねだりすると、撫で撫でとされこっそりと部屋に戻してくれた。
「雪翔、おかえり」
そう言われて乾杯し、昔と同じようにぼーっと二人でしながらジュースを飲んで日向ぼっこをしてウトウトとする。
「こりゃ、お前達何をしておる」
「ん?あれ?お爺ちゃん?」
「若いのにぼーっとして、悩み事か?」
「違うよ?遊んでたの」
「何もしておらんかったではないか」
「昔から航平ちゃんとぼーっとしてるのが好きだったんだ」
「それだけか?」
「そうだよ?」
「全く、のんびりしておるのぅ。それより、昴がそろそろ帰るそうじゃ」
「じゃあお見送りしなきゃ」
「もうそろそろ玄関に来るからそこから回ってきなさい」
「はーい」
玄関で、「またな」と言われたので、また来ますと言って手を振る。
「お爺ちゃん、みんなまだ料理運んでるけど……」
「あぁ、秋彪と玲がよう食べる。それに珍しく那智も食うておるからの、すぐに無くなるんじゃ」
「やっぱり心配させちゃったからだよね」
「それは否定はせんが、無事だったんじゃからいいではないか。それに侑弥も生まれた。みんな緊張の糸が解けたのじゃろう。暫くはこのままで良い良い」
「うん」
「それよりお前達遊んでおったと言っておったが、『てすと』はいいのか?」
「あぁぁぁ、こ、航平ちゃーん」
「はいはい。すいません、少し勉強見てきます」
「すまんの。航平も疲れたらみんなの所で飲むといい」
「だから未成年なの!」
プンプンとしながら部屋に行き、封筒の中身を見ると休んでいた分のコピーが入っていた。
それと教科書などを照らし合わせて、習っていないところを集中的にやる。
「雪翔は三年までのテキスト終わってるんだろ?」
「うん」
「だったらある程度わかるんじゃないのか?」
「理屈はね?でも教えて貰った方が頭に入りやすいの。覚えなきゃいけないのは何とかなるんだけど、数式見ると慌てちゃうんだ……」
「大学決めたのか?」
「学部のこと?」
「そう」
「もう迷ってる暇ないんだけどね、まだ僕歩けないし、あと四年で歩けるかもわからないから、法学部にしようと思うんだ。えっとね、社会福祉主事ってのが取れるみたいで、証明書とかないみたいなんだけど、福祉のこととか障害のこととか勉強できるし、今の僕なら役に立てないかなって思って」
「あれ、34科目中3科目取ればいいんだっけ?」
「そんなようなことは書いてあったけど、医学から看護や経済まで幅広く勉強できるから」
「そっか。雪翔がそう決めたんなら頑張れ!俺は応援する」
「ありがと!航平ちゃん」
「あと一年ないぞ?偏差値も高い……あ、お前推薦じゃないか?」
「わかんないよ。定時からだから……普通に受けなきゃいけないならもっと頑張らないといけないし」
「帰ったら資料もらってこいよ。隆弘さんと見てやるから」
「うん」
夕方まで勉強してから、宴会場まで行くと、みんなの狐も出てきて、お酌したり踊ったりとお祭り騒ぎがまだ続いていた。
「ねえ、寝てるの?」
近くにいた玲に聞くと、みんな適当に飲んで寝てると返ってきたが、起きたらまた飲むんだ!と匂いがすごいので障子を開けて空気の入れ替えをする。
「ゆ・き・と・くぅーん」と聞きなれた声がしたので避け、ジイジ飲み過ぎ!と言うと、バアバも酔って寝てるという。
「いいのかな?」
「俺、ここにいちゃいけない気がするんだけど」
「僕もそう思う……」
とにかくお腹がすいたからと、結局台所まで行って、お膳で用意してもらうことにした。
「坊ちゃん方お揃いで。祝には行かれないのですか?」と女中頭に聞かれるが、あの雰囲気とお酒の匂いで酔いそうだからと言って、ご飯を食べ、さっさとお風呂に入る。
「こうへーーーー!なんで戻ってこねーんだ!」
「那智さん!だってあの部屋くさいですって!那智さんも酒くっさ!」
「祝だからいいんだよ!ほら、お前達こい」
せっかくお風呂に入ったのにと宴会場まで連れていかれ、なぜだかみんなのお酌をさせられる。
かなり遅い時間に、冬弥が「薬飲んでます?」と言いに来たので、航平と後ろに隠れて「もう部屋に戻りたいよ……」とおねだりすると、撫で撫でとされこっそりと部屋に戻してくれた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
【完結】あやかし団地 管理人見習い日誌
双月ねむる
キャラ文芸
就活全滅で「自分には社会性がない」と思い込む凛は、遠縁の親戚に紹介され、昭和レトロな巨大団地・さくらヶ丘第一団地の『管理人見習い』として住み込みで働くことに。しかしその団地には、中庭の「靴鳴らし」、エレベーター表示盤に棲む狐など、団地限定あやかし達が当たり前のように暮らしていた。
最初は逃げ腰の凛だったが、すねた空き部屋や、ベランダの風鈴が告げるSOSなど、人とあやかしのトラブルに巻き込まれながら、少しずつ『共同体』に関わる勇気を取り戻していく。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を
花籠しずく
キャラ文芸
――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。
月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。
帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。
「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」
これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。
※R-15っぽいゆるい性描写があります。
借りてきたカレ
しじましろ
恋愛
都合の良い存在であるはずのレンタル彼氏に振り回されて……
あらすじ
システムエンジニアの萩野みさをは、仕事中毒でゾンビのような見た目になるほど働いている。
人の良さにつけ込まれ、面倒な仕事を押しつけられたり、必要のない物を買わされたり、損ばかりしているが、本人は好きでやっていることとあまり気にしていない。
人並みに結婚願望はあるものの、三十歳過ぎても男性経験はゼロ。
しかし、レンタル彼氏・キキとの出会いが、そんな色の無いみさをの日常を大きく変えていく。
基本的にはカラッと明るいラブコメですが、生き馬の目を抜くIT企業のお仕事ものでもあるので、癖のあるサブキャラや意外な展開もお楽しみください!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる