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天からの使い
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「ここに居たんですか。みんなもうどんちゃん騒ぎでしてねぇ。ご近所からの祝も届き始めました。私はその対応を母上とするのですけど、栞さんの実家にも荷物が来てるようなので、お義父さんが一旦帰られました」
「そんなに早く伝わるんですか?」
「うちの近所は産声が聞こえたと。なので、普通に男の子が生まれたと言っておくことにしました。で、その大きいのが天の?」
いつの間にか出てきていた檪が「檪と申す」と冬弥に挨拶をしている。
「雪翔を頼みます」
「承知した。だが主の名に従うにしても、今の言葉が分からぬので、気楽にとはなかなかできぬが」
「慣れてください。天に居たのであれば、今の人間界は驚くことばかりと思いますよ?」
「我らは見るしかできぬでな……」
冬弥と檪が話している間、航平も赤ちゃんを抱っこし、満更でもない顔で見ていた。
「みんなのアイドルになりそうだよね」
「隆弘さんとか子供好きそうだもんな」
「みんなが子育てしてくれるなら楽でいいわ」
「栞さん、今後なんですけど、里帰りということにして、一月こちらにいませんか?」
「え?でも……」
「急なお産でしたし、いきなり帰ると下宿の子達も疑います。あちらの手続きはしておくので、少し時間を開けてください」
「そうですよね……普通なら後一ヶ月は後ですものね……」
「はい。私も時間を作って会いに来ますので」
「どっちに?」
「雪翔、そんないじわる言わないでください」
「ねー?ちゃんと言わないお父さんは嫌だよねー」と侑弥に言うと、まだ言葉もわからないだろうに、キャッキャッと手足をばたつかせている。
「まだ一日しかたってないのに……それにお父さんじゃなくてパパです!パパ!」
「栞さんがママって言うのはわかるんだけどなぁ」
「いいじゃないかパパで。俺なんてダディって呼ばないと拗ねられるんだぞ?」
「那智さん拗ねるの?」
「もう面倒で面倒で……」
「呼んであげたらいいのに」
「だったら雪翔もパパだろ?」
「それは……小さい時だけでいいんじゃない?それよりしーちゃんは?」
「そろそろ出しましょうか。檪にも合わせておいた方がいいと思いますし」
すぐに紫狐が呼ばれ、その第一声が「ふわぁぁぁ、可愛いですー」だった。
「し、しーちゃん……」
「あ、失礼しました。天の使い様。紫狐と言います」
と、ペコペコとお辞儀をしており、それでも気になるのか侑弥を見てはほっぺに手を当てて可愛いを連呼している。
「ゆ、雪翔よ。いつもこんな感じで……」
「うん、戸惑うと思うけど、いつも楽しくしてるよ。後で翡翠や金達にも会わせるね」
「そうしてくれると有難い。全員はついていくのが大変そうだ……にしても、航平殿の周りの小さいもの……」
「航平でいいです。これは妖精?なのかな?いつも周りにいますけど、悪さはしません」
「触っても?」
「触れるんですか?」
「触ったことがないのか?」
手を伸ばし、少し触れると手の先に止まったので、みんなでまじまじと見るが、黄色い丸にしか見えず、みんなにはどう見えているのかと聞く。
「えっと、黄色の服きた羽の生えてる小さい人?」
「そうですか?黄色い花のようにも見えますが」
「ふむ、小さき人というのが当たっておる。これは我らとは異なるものとはわかるが見たことが無い」
その後航平が説明をし、檪は珍しいのかふむふむと幾つかの光に触れながら話を聞いていた。
「そんなに早く伝わるんですか?」
「うちの近所は産声が聞こえたと。なので、普通に男の子が生まれたと言っておくことにしました。で、その大きいのが天の?」
いつの間にか出てきていた檪が「檪と申す」と冬弥に挨拶をしている。
「雪翔を頼みます」
「承知した。だが主の名に従うにしても、今の言葉が分からぬので、気楽にとはなかなかできぬが」
「慣れてください。天に居たのであれば、今の人間界は驚くことばかりと思いますよ?」
「我らは見るしかできぬでな……」
冬弥と檪が話している間、航平も赤ちゃんを抱っこし、満更でもない顔で見ていた。
「みんなのアイドルになりそうだよね」
「隆弘さんとか子供好きそうだもんな」
「みんなが子育てしてくれるなら楽でいいわ」
「栞さん、今後なんですけど、里帰りということにして、一月こちらにいませんか?」
「え?でも……」
「急なお産でしたし、いきなり帰ると下宿の子達も疑います。あちらの手続きはしておくので、少し時間を開けてください」
「そうですよね……普通なら後一ヶ月は後ですものね……」
「はい。私も時間を作って会いに来ますので」
「どっちに?」
「雪翔、そんないじわる言わないでください」
「ねー?ちゃんと言わないお父さんは嫌だよねー」と侑弥に言うと、まだ言葉もわからないだろうに、キャッキャッと手足をばたつかせている。
「まだ一日しかたってないのに……それにお父さんじゃなくてパパです!パパ!」
「栞さんがママって言うのはわかるんだけどなぁ」
「いいじゃないかパパで。俺なんてダディって呼ばないと拗ねられるんだぞ?」
「那智さん拗ねるの?」
「もう面倒で面倒で……」
「呼んであげたらいいのに」
「だったら雪翔もパパだろ?」
「それは……小さい時だけでいいんじゃない?それよりしーちゃんは?」
「そろそろ出しましょうか。檪にも合わせておいた方がいいと思いますし」
すぐに紫狐が呼ばれ、その第一声が「ふわぁぁぁ、可愛いですー」だった。
「し、しーちゃん……」
「あ、失礼しました。天の使い様。紫狐と言います」
と、ペコペコとお辞儀をしており、それでも気になるのか侑弥を見てはほっぺに手を当てて可愛いを連呼している。
「ゆ、雪翔よ。いつもこんな感じで……」
「うん、戸惑うと思うけど、いつも楽しくしてるよ。後で翡翠や金達にも会わせるね」
「そうしてくれると有難い。全員はついていくのが大変そうだ……にしても、航平殿の周りの小さいもの……」
「航平でいいです。これは妖精?なのかな?いつも周りにいますけど、悪さはしません」
「触っても?」
「触れるんですか?」
「触ったことがないのか?」
手を伸ばし、少し触れると手の先に止まったので、みんなでまじまじと見るが、黄色い丸にしか見えず、みんなにはどう見えているのかと聞く。
「えっと、黄色の服きた羽の生えてる小さい人?」
「そうですか?黄色い花のようにも見えますが」
「ふむ、小さき人というのが当たっておる。これは我らとは異なるものとはわかるが見たことが無い」
その後航平が説明をし、檪は珍しいのかふむふむと幾つかの光に触れながら話を聞いていた。
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