下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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一日経って、冬弥が迎えに来たので航平とみんなで歩いて帰るのかと思ったら、全員が家に行くと言って、結局昴と冬弥の力で家まで一瞬で飛び到着してしまう。

「便利なんだけど、普通にバスとかで帰りたい……」

「落ち着くまでですから我慢してください。我儘なお兄ちゃんだと侑弥に笑われてしまいますよ?」

「だって……」

「さ、早く中に入りましょう」

玄関を開けると栞ではなく祖父が出迎えてくれ、栞はミルクをあげているとの事だった。

「ただいま」

「おかえり。ほれ、婆さんも心配しとる、元気な顔を見せてやりなさい」

「一日泊まっただけなのに。侑弥は?大丈夫なの?」

「元気なものじゃ。雪翔よお手柄じゃったのう」

と、頭を撫で撫でとされ、リビングに行くとご機嫌でミルクを飲んでる侑弥がいた。

「侑弥ただいまー。元気になってよかったね」

「雪翔君のお陰よ。昨日ご飯作れた?」

「うん。みんなで作ったよ。那智さんが手伝ってくれたから早くできたんだ」

「良かった。足りなかったらどうしようかと思って」

「なんとか足りたから大丈夫だよ。それより、昨日はあれからなにもなかったの?」

「家の方は何も。外は冬弥様と三郎さんが見ててくれたから」

その後色々と話し合い、二週間後の学校までは病院だけとなり、航平も那智の送り迎えでバイトの方に顔を出すことになり、家の周辺や街などはみんなが手分けして見回りすることになって、何も起こらずに週末、ついにお祭りの日がやってきた。

「冬弥さん、お祭り行ける?」と朝からそわそわして聞くと、みんなで行きますよと返ってきたので、カバンにお小遣いや薬、夜は寒くなるからと上着などを用意して、侑弥の荷物を詰めるのも手伝う。

「気が早いわねぇ」

「そういうお婆ちゃんも今日は着物がおしゃれだよ?」

「あら?バレちゃった?こちらの祭りは賑やかなんでしょう?雪翔と行くのは初めてだからねぇ。お婆ちゃんも綺麗にしないとね」

「お義母様はまだまだお若いですよ?私はもう動きやすい服でと思って探してたんですけど、いつもと変わらなくって……」

そう言いながら、お祭りで使ってねと栞からお小遣いが渡されたので、毎月もらってるお小遣いで足りるからと断ったが、お祭りではぐれた時などにあった方がいいからとカバンに入れておくように言われる。

「栞さん、儂の濃い緑の羽織はどこかね?」

「和室にかけてあります」

「栞さーん、髪紐知りません?いつもの朱色の新しいのがあったはずなんですが」

「箪笥の小引き出しの中に……」

「栞様、我々も洋服を着てみたんですが、これで宜しいのでしょうか?」

「とっても似合ってるわ」

栞がバタバタしていても質問がどこからともなく飛んでくるので、祖母が「自分のことは自分でなさい!」と言うと、たまたま入ってきた航平が「すいません」と謝る場面に遭遇してしまった。

「あらやだ!ごめんね航平ちゃん。あなたに怒ったんじゃないのよ?みんながあまりにも栞さんに甘えるものだからつい」

「いえ、チャイム鳴らして声掛けたのに誰も出てこなかったから、勝手に入りました。すいません」

「ほら、あなた達も見習いなさいな。これが普通なんです!窓から入ってきたりいきなり現れたりしないで、玄関から!特に那智!そこに隠れても無駄ですよ?」

「参ったな……」
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