天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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「奥様はどちらに?」

「家内はあちらのテーブルで食事を。女性同士話に花が咲いているようで」

「そうでしたか。お嬢さまもなにかお召し上がりになられては?ここの食事は私も食べましたが美味しかったですよ?」

「要らないわ。それより、奏太さんと話したいのだけど」

「申し訳ございません。副社長はこの後もいくつか回る所がありまして」

「そこでボーッと立ってるだけじゃないの」

「あれは、私を待って居るだけです。副社長の知らない方も見えますから、案内をしないとと思いまして」

「私の見合い相手なんでしょう?食事の日取りは決まったの?お父様!」

「いや、まだだが……」

「その事なのですが、先程副社長がお嬢様とお話された際、まだ高校生と言うことで、学園生活を優先にとお断りを入れて欲しいとおっしゃいまして。私共も残念ではありますが、お嬢様も副社長もまだ10代ですので急がなくてもと……」

「それもそうですな」

「上手く言ってくれてるね」

「これなら大丈夫でしょう」



「……嫌」

「はい?」

「私はあの人に決めたのよ。お父様いつも何とかしてくれるじゃない。子供扱いなんて酷いわ」

「そうは言っても、あちらのお考えもあるんだから今回は……」

「諦めないわ」

そう言って広間から出ていってしまった。

その後帰ってきたルーカスが、「本当に何もしてないのか?」と聞いてくるのでしてないと答え、なんだあの娘はと怒っていた。

その後いくつか回って挨拶を済まし、ムーを連れて控え室に帰り、冷たいコーヒーをもらって一息つく。

「ルーカスさん、何か感じた?」

「ああ、ヒシヒシと執着心て言うのを感じたよ」

「そっちじゃなくて」

「俺にもわからんな……単にモデル奏太のファンなら問題は無いが、魔力も何も感じなかったし、匂いも人間そのもの。薬を使えば多少は俺でもわかると思ったが、怒っても瞳の色も変わらないし、ただの人間なんじゃないか?」

「でも、人間の匂いじゃなかったもん!」とムーが噛まずにルーカスに意見する。

「俺、噛まれなかったの初めてかも……」

「ルーカス様、そこは感激するところではありませんが……」

「だからスフィ君に会わせたらいいんだよっ!」

「ムーはなんでそこまで思うの?」

「んー?匂い!」

「奏太、偶然会いましたって言うのはどうだ?普段は散歩なんてしないだろうけどさ、犬の散歩装っていったらバレないし、スフィにも匂いを嗅いでもらえるだろう?」

「そうするしかないかなぁ?スフィにも一度聞いてみないと」

ノアにも人じゃなかったとまだ言い張っているムーに、もう帰る?と聞くと、今度はヤダ!と言われ、さっさと会場に戻ってしまった。

会場には結月が居るから、気配で追ってはくれるだろうが、こういう時に、ユーリとニコルが居ないのが残念でならない。
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