天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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「そんなに高く持ってないからみんなには見えないわよ。それに私、犬って嫌いなのよね」

さらにギュッと首元を指で圧迫され、苦しくなり、大きな声で「ギャインギャイン」と鳴き、さらに暴れる。

苦しいよ……痛いよ……でもこの匂いは……あそこの………

意識がだんだんと薄れていく中、「お前何してんだ!」と奏太くんの声がし、そのまま意識を手放す。

※※※※※


「ムー!おい!」

冷たい水を顔にかけられ目を覚ますと、結月ちゃんの膝の上に寝ていた。

「ごめん、僕……」

「いい。喋るな。あ、頭で話せ」

「あの子人じゃないよ?」

「あぁ、人だとしても首を圧迫させるような持ち方、あれは慣れてるな」

「後ろ持たれたけど、首がしまってく感じで、苦しくなって……でも、匂いわかったんだよ僕!」

「その話はあとだ。ちゃんと覚えておけよ?お前はここから動くな。ノアと居ろ」

「う、うん」

結月が近付いていき、うちの犬がなにか失礼を?と言いながら相手を探っているのがわかる。
後ろを振り返ると、椅子の上にグッタリとして寝ているムーに、ノアが水を飲ませて落ち着かせているのを見て安心してから、結月と嵯峨野の話に耳を傾ける。

「社長さんですわね?初めまして。お見合いのお話ですか?」

「お見合いの話は、社長代理のルーカスが断ったはずです。先程、副社長の声が聞こえましたので、なにか失礼があったのではとこちらに来ましたが」

「何も?あの犬がしつこかったから、ちょっと……。ちゃんと躾してもらわないと困りますわ」

「ふむ。それは失礼しました。改めてお詫びに伺います」

「結構です。父と母は知らないことなので」

「見えないようにやったんだろ?ムーは誰彼構わず噛んだりしないし、ちゃんということ聞くイイコなんだ!何であんな持ち方するんだよ!」

「邪魔だったからよ?私犬は嫌いって言ったでしょ?」

「奏太!行くぞ」

待ってよと結月の後に続き、控え室まで戻る。

「そろそろ終わりだ。最後の挨拶は全員出る予定だったが、先に帰っていろ。奏太、おまえとルーカスがムーを連れて帰れ。代わりにノアは借りるぞ」


「いいけど、やっぱりあの子へんだよ!俺にはわからなかったけど……」

「ムーが何か気づいたらしい。お前とルーカスがいればムーは守れる。私の護衛は今いないからノアを借りるだけだ。無茶はしない」

「分かった」

「あ!首が腫れるようなら作業場にある湿布を……こら!ムー!何処に行くんだ」

よろよろしながらも走って出ていき、人が多いので捕まえて連れ帰ろうにも出来ない。みんな終わりの挨拶の時間だからかステージに詰め寄っている状態だ。

しばらく待っていると、ボロボロになったムーが服の切れ端を持って帰ってきた。

「こ、これ、スフィ君に渡せばわかると思う……」

「お前……」

「絶対、違うんだもん……」

分かったからとキャリーにムーを入れて、ルーカスと急いで車に乗って家まで急ぐ。

「なんで無茶するんだよムーは!」

「ムーには何かわかったって言ってただろ?ムーの言うようにしてやるのが良いんじゃないか?」

「うん。傷薬も塗ってやらないと」

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