新・八百万の学校

浅井 ことは

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力の欠片

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幸いにも屋台の骨組みはほぼ出来てはいたが、そこら中に工具やまだ組み立て中の屋台の骨組みなどが置いてあったので、逃げるようにそこまで走り、適当な大きさの棒を持って祖父の元へと駆け寄り渡す。

「逃げろと言ったのに」

「だって……」

「中々いい長さだな。それに鉄材でもある。良くやった。下がっていなさい」

剣道の時のように構えをとった爺ちゃんに言われるまま、その場から離れて木の陰に隠れて覗くと、「滅!」っと言う言葉と共に、面の男に向かって棒を振り下ろす。

その姿は八十を過ぎた人には全く見えず、男も軽やかにとは行かなかったが後ろに飛んで祖父の攻撃を避けた。

でも、『滅』? 面と胴は知っているが……


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