下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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守り

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目が覚めると、祖父の家に作ってもらった自分の部屋だと言うことがわかり、体を起こす。

「ぼ、坊ちゃん!」

「周太郎さん……僕、どのくらい寝てたの?」

「三日です。もう心配で心配で……すぐに御館様たちに知らせてきます」

バタバタと周太郎が出ていき、横にあった桶の水とタオルで軽く顔を洗う。

「雪翔!良かった……」

「京弥さん!冬弥さん達は?」

「今あんまり社は離れない方がいいから戻ってもらった。代わりに秋彪君が来てるよ」

「秋彪さんは怪我は?」

「彼もボロボロでね、合う着物がなかったから、今栞さんの御両親の家に見繕いに行ってる。元気なものだよ」

「そっか……みんな戻っちゃったのか……」

「あ、那智は航平君と南の家に行ってるよ。親子手続きの事もあるから。今夜にでも戻ってくると思うけど、雪翔はもう少しここで休んでいった方がいい」

「でも……」

「昴さんの治療は終わってるけど、まだ動くのは早いと思うんだ。花ちゃんが毎日治しに来てくれるから、せめてあと一日だけでも大人しく寝ててくれたら嬉しいんだけど」

そう言われてしまうと、「はい」としか返事ができず、横になろうとした時に祖父母が入ってきた。

「雪翔。どこか痛まんか?何かおかしなところはないか?」

「な、無いと思う」

両腕をがっしりと握られブンブンと前後に振られるので、その手を離してほしいと思いながら、祖母に目をやると、ちゃんと分かってくれていたのか、祖父を退けてくれる。

「あのね、金ちゃんと銀ちゃんは広間でまだ寝てるの。疲れたんでしょうねぇ。お布団に入れても全く起きなかったのよ?それと、白龍と黒龍だったかしら?戻ってきて話を聞いたのよ。私達は見てないけど、ちゃんと岩戸の中に入ったそうよ。今は岩戸も冬弥が術で塞いでいるから、誰にも開けることは出来ないわ。だから安心して寝てなさい」

「うん、でも、どうやって帰ればいいの?」

「城から帰れる。昴が迎えに来てくれるで、それまで雪翔はゆっくりとしておればいい」

「あ、京弥さんの影に入ったしーちゃんは?」

「今、あのチビちゃんたちを見てるよ。翡翠も出てきてしまってね、呼んでこようか?」

「僕、見に行きたい」

「じゃが、車椅子もないしのう。こっちにも一つ置いておかねばいかんの。周太郎、連れて行ってやってくれんか。儂等も一緒に行くとしよう」

「じゃあ私はお茶の用意でもしてきますね」

ほほほほほっ!と出ていく祖母に、呑気にした祖父に見えるが何か隠しているように、少し雰囲気がピリピリとしている。

部屋の中では金も銀も気持ちよさそうに寝ており、隅には白龍と黒龍が姿を現して座っていた。

「白!黒!怪我は無い?」

「雪翔の事ずっと待っておったみたいじゃ。儂等が戻っても良いと言っておったんじゃが、主の命しか聞かんと言うての……」

「白も黒も、そう言う時はお爺ちゃん達の言う事聞いてよ……」

「申し訳なかった。だが報告ができていない」

「そんなの後で良かったのに。疲れて無いの?」

「我等は大きな怪我がない限りこれで十分です。主の体は……」

「主ってやつやめてよ。みんなと同じように呼んで欲しいんだけど……」

「それは御命令か?」

「う、うん」

「承知した」

黒の方が話がわかるなと思いながら、祖父から聞いた話をして、それがちゃんと冬弥達に見えていたのかと聞く。

「この二人は、今は二人で一人分の力が出るが、まさか主……雪がそこまで力を使えるとは思っていなかった」

「我らの姿はちゃんと見えていたと聞くし、あの光の中、岩戸の戸が少し開いて中に入ったのは確認しました。その後、あとをつけようかとも思いましたが、我らもこれ以上離れない方が良いと判断し、暫く見張った後黒が冬弥様を呼びに行き、封をしてもらいました。この後、金と銀が眠りにつき、翡翠は二人の治療で今縁側で眠っております」

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