下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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守り

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「それは違う。俺の判断ミスだったんだ。あの式神ってやつ、本体と考え方が似てるみたいでさ、俺の嫌がることばっかするんだよ。キレた俺が悪い。それに、雪翔は何も悪くないぞ?その力でみんなに色々見せたって聞いた。凄いじゃないか」

「だけど、航平ちゃんは特に関係ないのに巻き込んだし、傷つかなくていいみんなが傷だらけになって、僕は怪我もしてなくて……」

「おいおい、拗ねんなって。誰もそんなこと思ってないって。な、爺さん!」

「そうじゃ。今回は突然のことじゃったから、次からはもっと気をつければいいんじゃ。ほれ、冷めぬうちに粥を食べてしまいなさい」

「うん……」

ご飯を食べて薬を飲んでから、京弥と一緒に本の解読をしていたら、那智たちが帰ってきた。

「おかえり」

「起きたか。熱とかは?」

「無いよ?」

「よし、じゃあこれを見ろ」

ジャジャーンとばかりに紙を見せられ、よく読んでみると、航平が養子になったことが書かれていた。

「今日から俺の息子だ。名前はそのまんまだけど、家の親の了承がいってな……判を貰ってから逃げてきた」

やっぱり逃げたんだ……と、なぜ逃げたか想像がつくのでつい笑ってしまったが、航平は横でブツブツとフリルが怖いとずっと言っていた。

「まさかだけど……」

「部屋を用意したからって見せられて、クローゼット開けたらさ、シャツがフリフリでさ。心が折れるってこういうことなのかな?着せ替え人形みたいに……」

「やられたんだ……」

「雪翔、そっとしておいてやってくれ。俺も止めたんだが、逃げるまで時間がかかってな……」

「う、うん。わかった」

「今夜はみんな泊まるんじゃろう?いつ帰るか予定を組まんとな」

「それなんですが、明日にはこちらを出ようかと思ってます。両親から逃げた……じゃなくて。あちらの社も気になりますし、各々の結界と同時に街にも結界を。あの男の事だから掻い潜ってくると思ってはいても、しないよりマシなので」

「そうか?なら、儂はこちらのことをするとしようかの。暫く三郎と四郎を連れていくといい」

「雪翔と航平にですか?」

「そうじゃ。三郎、四郎、冬弥と那智に分かれてつけ。孫達を頼む」

「御意」

朝から色々とみんなが準備をしている間に、鞄に本を入れて、京弥と読み解いて書き付けた紙などもしまっていると、幸が風呂敷包を持ってやってきた。

「あのね、この中にあの人が集めていた本が入ってるの。何だったかしら……星のマークの本よ?仕事に行っちゃったから私が持ってきたの」

「借りてもいいんですか?」

「勿論よ。そのために用意してたんだもの。休みの日によく古本屋とかに行ってたから、その時見つけたんだと思うわ」

「ありがとう……京弥さんにもお礼言いたかったけど」

「いいのいいの。それと、航平君」

「はい」

「今度来た時はもっとリラックスしてね?」

「すいません……」

「お義父様が気にしてるんじゃないかって……」

「なにをですか?」

「孫って言ったこと!」

「そんな……俺、嬉しかったです!」

「帰りに伝えてあげてね?お義父様、ああ見えて結構気にする人なのよ?」

「お爺ちゃんが?」

「見えないでしょう?さ、そろそろ支度も整うと思うから、玄関に移動しましょ」
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