下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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守り

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出ていってしばらく戻ってこないので、見に行こうとしたら秋彪に止められる。

「結構時間たってるけど……」

お待たせしましたー!

と、ラジカセを持った紫狐が入ってきたので、『鬼パン』だ!と構えていたら、リビングとダイニングの間に三匹が並び、音楽が流れ始める。

ズンチャッ、ズンチャッ!とかかった音楽はいつもと違い、腰に手を当ててリズムを刻み、始まったのは__

もーもたろさんももたろさん!
おこしにつけたー、きび『だんごぉ』
ひとつー、私にくださいなぁ。

あーげましょお、あげましょー。
今日はおにのー『しぇーばい』にぃ。
ついてー来るなら『あげまちょー』!

ズンチャッ!ズンチャッ!

鬼ぃーの『ぱんちゅ』はいいぱんつぅ。
強いぞー!強いぞー!

じゅうーねんたっても『洗わないー』
くさいぞー!『くっちゃいぞぉ』

はこうはこう鬼の『ぱんちゅ!』
はこうはこう鬼のパンツ。

フリフリフリフリフリフリフリフリー!

みんなではこう鬼の『ぱんちゅ』へいー!

拍手が沸き起こり、案の定漆が出てきていてまた涙ぐんで拍手を送っている。

「なんでフリフリダンスなんだろう」

「可愛いからいいんじゃない?俺は無理やりやらされ感たっぷりの煌輝君が可愛いと思ったけど、翡翠ちゃんも可愛よね」

などと呑気に言っているが、リビング組はどんちゃん騒ぎになっていて、もう手がつけれない感じとなっている。

「えーと、ポテトサラダもあるけど食べる?ご飯も炊いてあるけど……」

洋食が主だったが、ハンバーグもあるからと、ご飯は少しにしてもらって、チーズが中に入ったハンバーグも小さめのを取り、ご飯と一緒に食べて航平となくなったものから片付け始める。

「坊ちゃん、我々が……」

「いいの。これはお手伝いだから。明日からは和食が多いと思うから。いつもは和食が多いんだよ」

「そうなんですか?こちらでは洋食というものばかりかと思ってました」

「洋食ばっかじゃ太るよ?」

「確かに油が多かったような。ですが、我々はあの油はあまり知りませんが……」

「オリーブオイルのことかな?」

「おりーぶ?」

「うん、外国では毎日スプーンいっぱい朝に飲むんだって」

「胸焼けしそうです……」

つんつんと服を引っ張られるので横を見たら、まだカボチャパンツのような、鬼のパンツの恰好のままの煌輝が恥ずかしそうに下を向いていた。

「どうしたの?」

「那智様がこっちでご飯をもらいなさいって」

「そうなんだ。待ってね……栞さん、もう椅子とかってない?」

「これで全部なの。みんな小さいからお膝に乗せてあげてくれない?」

その言葉と同時に翡翠は航平の膝の上。紫狐はお姉さんだからいいと言いながら、栞に半分席を貸してもらい、煌輝は恥ずかしそうにモジモジとしている。

「僕の膝に乗る?」

パァっと明るい顔になり、コクコクと頷くので、膝に乗せるが、元々体が小さいのか膝に座ってもテーブルにやっと届く程度の大きさだ。

パンやラザニアなどをお皿に取り、もう熱くないからとフォークを渡すと、洋食になれているのか器用にフォークを使いパクパクと食べている。

隣では翡翠が甘えて航平に食べさせてもらっており、紫狐はやはり和食が好きなのかご飯をもらってハンバーグと一緒にお箸で食べていた。
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