黄泉津役所

相棒

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お茶も入れてくれ、正座をしてキョロキョロと見回すと、部屋に置いてあるのは茶箪笥と机位のもので、寝室は別にあるのだろうが思ったより殺風景。

「月読様、呼んでいただけたら役所まで出向いたのに」

「最初は丈史君のいつも行くという神社へ行ったんですが、猿田彦さんがいらっしゃらなかったのでこちらに。丈史君に神気の話をしたのですが、本人は気のせいだと思っているようで、私にも八上さんにも説明が出来ず……」

「そうであったか。そんなもの……分かるわけないわなぁ坊主」

「ぼ、坊主？」

豪快に笑っているが、二人はキョトンとしていて、どう反応していいか分からない。

「丈史だったかな？そなたが気付かずとも近くの神社に儂の名が書いてあったのだろう。だが、どちらかと言えば儂がこの当たりの管轄と言うだけで、その神社は地域のものを守る産土神うぶすながみじゃ。その土地の霊力でその土地に産まれたものを守ってくださる」

「えーと、ご利益？」

「そう思えば良い。家に神棚はあるかね？」

「ないと思います。雨の日以外の朝と夕方の散歩で婆ちゃんは毎日参拝してくるとは聞いてますけど」

「成程。よいかね？育ってきた環境や信仰心、色々なものが関係しては来るが、お婆さんは家族をお守りくださるようにいつも願っていたのだろう。その気持ちが届いていると今は思うだけで良いし、丈史も家族に感謝することを忘れないようにして居ればなーんにも問題は無い。ということで良いかの？」

「それは神気ということに対してですか？」

「まずは。儂が思うに、役所でのバイトも普通のものには見つけられなかったはずじゃ。見つけて月読様や八上様と話が出来るほどには、霊力も高いと言えよう」

「分かりました。本当に神様と思うことにします」

「神様なのよぉぉぉ！」

「して、他にも何かあるのじゃろ？」