黄泉津役所

浅井 ことは

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相棒

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「迷子……だと?」

「すいません。最初の時も地図間違えてたし、今日も……匂いが嫌で空気のいいところに寄って行ったら道分からなくなったとか?」

「ま、まあ、そうとも言う」

素直じゃないなぁと思いつつ、今度は帰る時に自分の家まで迷子にならないかと心配になる。

あれ?
神様って、家あるのかな……?

「あのー」

「なんだ?」

「神様たちって、家あるんですか?」

「あるにはあるが、このような建物ではなくて神社に住んでいる」

「役所の人たちもですか?」

「それなりの祀られている神は帰る場所もあるだろうが、それ以外は……知らんな」

「なんかめっちゃくちゃ冷たいこと言ってません?」

「そうか?」

話している間に着いたので、とりあえず食堂に来てもらい、「風太と遊んでてください」と渡す。

「おい!」

「荷物取ってきまーす」

ロッカーからリュックを出し、乾いた服を詰めてから背負い、風太用の巾着も持って食堂に行くと、何故か怒られている闇龗さん。

「準備出来ましたけど……」

「ほら、ちゃんと丈史に謝りなさいって」

「だがな、風太が……」

「子犬のせいにするんじゃないよ」

今日、何回何ですか?と聞いた事やら。

しかも風太は明らかにグズグズと涙目で大宜都さんにしがみつき、ちょこっとプルプルと震えている。

「はぁ、今度は何ですか?」

「いや、すまん。風太を落とした」

「はい?」

まずは落とした経緯を話せ馬鹿神!

睨んでいると「その、高い高いとしていたら、風太が喜んだから……ちょっと上に放り投げて捕まえてとしていたんだが、捕まえ損ねて……落ちた」

「アホかぁぁぁ!俺より背の高い人がさらに上に放り投げるとかなんの遊びだよ!まだ赤ちゃんなんだよ?風太、怪我してないか?」

「ここ痛い」

下ろすと前足が痛いと言っていて、「病院連れてった方が良いのかな?」と心配になる。

「湿布貰ってくるわ」

「犬の湿布なんてあるの?」

「うちのうさぎ達に出来ない薬はないわよ!」

大宜都さんも骨は大丈夫みたいだよと言うので、闇龗さんを睨みながら風太をよしよしとする。

「睨んでも何も出んぞ」

「要らんわぁぁぁ!これから迷子神って呼ぶぞ!」

「ほらほら、そんなに怒らない。気が乱れちゃうからね」

「でも大宜都さん!」

「大丈夫だよ。うさぎ達の薬はよーく効くから」

とりあえず、「風太の仇!」と腹パン!

「お前……同じところをまた……」

「ちょうどいい高さだから」

「はい、そこまでよ。風太、足出して」

緑色のスライムのようなものを前足にぺたりと貼り、またまた小さな包帯をクルクル。

子犬の小さな足に包帯はかなりの重症のように見える。

「すぅーってするよ」

「いくつか貰ってきたから、今夜はこのままで、明日の朝にまた貼り直せばいいわ」

「ふ、風太……すまん」

「いいよ」

いいよって、そんなにすぐ許すのかお前は!

「あそんでくれたもん」

「風太ぁぁぁ」と抱きつきに来るのを阻止し、荷物を持ってバスへ。

しばらく遊ばせてやるもんか!



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