八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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奈良へ__

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今は何も出来ないんだと、石長さんの無事を願いながら、道真さんが書物を読んでいる間にでもと持ってきていた勉強道具を出して、少しでもと進める。

迦具土はその間に大国さんに、他にも情報がないかと聞きに行ってくれると言うので、お昼に戻ってきてもらうことにした。

「ダメだぁ、やっぱり捗らない!道真さん、何かわかりました?」

「いくつか読んだが、やはり私の知っていることくらいしか書いてないが、面白い記述はあった。この盆の時期に出る妖を用いて、術士が救世観音から聖徳太子の怨霊を呼び出すと言う話なのだが、聞いたこともない。それに、そんな術士がおれば、私などとっくに滅されておろう」

「可能性は?その人達が石長さんを連れていった可能性」

「本当におれば、もしかしてとも考えられるが、聞いた話によると、姿は消していたそうじゃし、力のあるものとて早々神の力を持つものは見えはすまい」

「でも居なくなった……」

「そこなんじゃが……翔平よ。やはり奈良に行ってみぬか?」

「道真さん……」

「黒い影、飲み込む、奈良。これしか分からんと言われたが、実際に見に行くほうが良いだろう」

「分かりました。気をつけることはありますか?」

「迦具土とは離れてはいかん。彼は優秀だ。すぐに偵察に行きたがるだろうが、必ず行動を共にした方が良い。さてと、照れて隠れておるようじゃから、昼を全部頂こうとしようかな?」

「ず、狡いぞ!」

「迦具土、いたなら入ってこればいいじゃん」

顔を真っ赤にしながらも、情報はなく、前に大国さんが言っていたコースを回ってから、夕方に法隆寺でみんなと合流する。

これだけの伝言だったようで、行くのは明日。
兄の応援はどうなるのか分からないそうだが、現地へ直接大国さん、八意さん、迦具土と俺と行く予定だと迦具土が話してる横で、鮭のおにぎりを頬張りながら、「私も行く」と言い出した道真さん。

「あの、危ないかもしれないんですよ?」

「何、平安の時代も魑魅魍魎いたが、人であった時も平気だったのだから、今では反対に力になれるだろう」

「勝手に雷落とすなよ?」

「あ、そう言えば昔燃えた時には、雷がどうのこうのと聞いたことがあるな……」

そのまま、おにぎりを持ちながら本を漁ろうとするのを止め、重箱のおかずをつつきながら、必要最低限の聖徳太子について話してもらう。

道真さんの話はわかりやすく、歴史の先生ならば俺の成績もきっとよかったに違いないなどと馬鹿なことを考えられたのはこの日の夕方までだった。

ご飯を食べたあとに家に帰り、荷物の見直しをしてから祖父に宿を取って欲しいと頼む。


「ご飯は着いてなくていいから。もしかしたら食べてる時間無いかもしれないし。急だからホテルとか無いかな?」

「いくつか掛けてみるが……せっかく行くのだからご当地のものも楽しんで……」

「爺ちゃん!俺、遊びに行くんじゃないんだよ?」

「それはそうなんだが、高校生最後の夏休みだろう?」

「そうだけど、それならみんなで近くでいいから行きたいよ。今回は大国さんに言われたことをちゃんとやってくる。だからとりあえず一泊ずつとって欲しいんだ。えーと、東大寺の方が先で、法隆寺が後」

「行きは良いとしても、移動はどうするんだ?」

「迦具土でひとっ飛び」

「俺かよ!」

「神社とかじゃないから無理?」

「無理じゃあないが、ちょっと考えさせてくれ」

「任せるよ。婆ちゃんも心配しないでね?すぐに石長さん見つけて連絡するから」

「帰ってきたら、石長さんの好きな物沢山作っておかないとねぇ」

「そうしてあげて」
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