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奈良へ__
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祖母のお弁当でお昼を済ませ、片付けている祖母をさりげなく手伝っているテチ……手力雄。
やはり力が強いのか、そーっと重箱を重ねて風呂敷で包み、お茶だけ新しく配り直している。
「あらあらテチさん、私がするから座っててくださいな」
「いえ、食事のお礼に手伝いくらいさせて下さい」
「ちょっと聞いた?翔平も見習いなさいね?」
「俺かよ!」
「だって、最近は迦具土君ばかりがお手伝いだもの。受験だから仕方ないけど、お風呂掃除もサボったでしょう?」
「あー、ごめん。忘れてた」
「ね?もう、直ぐに忘れるんだから。ほほほ」
そのあと袋から煎餅やあられなどを出して、「お茶請けにと思って持ってきたんだけど不格好ねぇ」と言いながら袋を開けている姿はいつもと変わらない。
「あー、祖母殿。おやつは後で」
食うんだ!
「ちょっと状況が変わってな。祖父母殿にはここに今日はいてもらおうと思う。夕飯は俺のとこで頼んでおいたから、簡単なものは持ってこさせれるんだが」
「一日ここって、出たらダメなの?」
「今日一日だ。祖父母殿にはやってもらいたいことがある」
「婆ちゃん達歳なんだからこき使わないでって前にも言ったと思うんだけど」
「いやいや、ここにいれば安全だし、祖母殿は意外と動じないから、けが人の手当てをしてもらおうと思ってな」
「そうなの。もう隣の部屋で何人かの神様が寝てるのよ?ちょっと見てくるわね」
まてまてまて!
けが人とか何?
そんな話聞いてないんだけど……
祖母が出て行って襖が閉まってから、「でだ!」と話し始めるので、「ちょっと待って!」と話を遮る。
「俺達に興福寺とか東大寺とか色々見に行かせてたのとかなんなんですか!?ここと関係あるから行ってたんですよね?」
「そうだ。俺の渡した鈴を鳴らせば八百万の神とまでは行かなくても、八部衆位は来てくれるだろうと思ってな」
「は?」
「いいから聞け。まず、この五重塔だが、ここにしたのには訳がちゃんとある。ここの法隆寺の七不思議ってのは半分は当たりなんだよ。蜘蛛の巣はできてるから外すがな」
「えーと、俺にわかるように話して貰えるとありがたいんですけど」
「だーかーらー!この法隆寺自体が結界って事!建て方が普通に見えるだろ?だが、いくつか修復してあるとはいえ、聖徳太子の怨霊がこの法隆寺から出ないように周りが固められてるんだ。この五重塔のてっぺん見たか?」
「あ、長い変なのついてたやつかな?」
「変とか言うな。あれは九輪と言うのに四つの鎌が付けられているんだが、七不思議のひとつでこの九輪が上がったり下がったりすると言われている。俺も見た事はないが、今のパン……パン……書き物だ!あれには鎌は雷避けとも書かれていてあながち嘘ではない。で、噂の一つとして怨霊よけとも言われているが、これは迷信とされてる」
ここまではいいか?と言われたので、何となくだがわかったと首を縦に振る。
「まぁ、俺達神は人の作り上げた世界にあまり関心はなかったんだがな、仏教とかいうのがやってきて、仏像だのなんだの増えてくるし、寺院や社は増えてくるしで上……俺たちの住むところだが、神の配置など忙しくなった。それに、こういったものは管轄外だったんだが、俺を含め色々な神も祭り上げられるようになって、今では道真のような人神というの迄できたもんだから、国産みの俺としてはとても忙しい」
「おい、逸れてる!」
「迦具土、お前も知ってるだろう?この俺の忙しさを!!!」
忙しさアピールしたかったのか?
「仕方ない、儂が話そうかのぅ」
そうしてください八意さん!
「昔起こったことは学校で習ったと思うのじゃが覚えておるかな?」
「えーと、ちょっとだけ……」
「ふむ!」
ふむ!はいいからわかりやすく話してくれ……
「夢殿は見てきたと思うが、何角形だったか覚えておるか?」
「えーと……」
「本当に見ただけじゃのぅ。八角形じゃ!八角堂とも言われるが、元々、八角形の御堂というのは、鎮魂堂・仏堂とか言われておるんじゃが、その名の通り、聖徳太子の鎮魂の為にあるのじゃよ。聖徳太子の怨霊が怖いと永きにわたってその姿も布に包まれ出されなんだ事は聞いたの?」
「はい」
「仏像の光背についてももう聞いて知ってると思うが、あれは怨霊を封じるために頭にぶっ刺したと言うのも、まぁ、本当じゃ」
ぶっ刺すとか言うな!
「その理由は様々あるが、昔蔓延した疫病や崩壊した建物など、聖徳太子の呪いでは無いかと言われ、このままでは法隆寺が崩壊するとまで恐れた僧達が急いで作ったものが夢殿……そして誰にも見せず封印をして布で包み、鎮魂してきた。それが救世観音であり夢殿なのじゃ」と、紙を見ながら話してくるので、全部は覚えてないのか?知恵の神様!と叫びたくなるのをちょっと我慢する。
やはり力が強いのか、そーっと重箱を重ねて風呂敷で包み、お茶だけ新しく配り直している。
「あらあらテチさん、私がするから座っててくださいな」
「いえ、食事のお礼に手伝いくらいさせて下さい」
「ちょっと聞いた?翔平も見習いなさいね?」
「俺かよ!」
「だって、最近は迦具土君ばかりがお手伝いだもの。受験だから仕方ないけど、お風呂掃除もサボったでしょう?」
「あー、ごめん。忘れてた」
「ね?もう、直ぐに忘れるんだから。ほほほ」
そのあと袋から煎餅やあられなどを出して、「お茶請けにと思って持ってきたんだけど不格好ねぇ」と言いながら袋を開けている姿はいつもと変わらない。
「あー、祖母殿。おやつは後で」
食うんだ!
「ちょっと状況が変わってな。祖父母殿にはここに今日はいてもらおうと思う。夕飯は俺のとこで頼んでおいたから、簡単なものは持ってこさせれるんだが」
「一日ここって、出たらダメなの?」
「今日一日だ。祖父母殿にはやってもらいたいことがある」
「婆ちゃん達歳なんだからこき使わないでって前にも言ったと思うんだけど」
「いやいや、ここにいれば安全だし、祖母殿は意外と動じないから、けが人の手当てをしてもらおうと思ってな」
「そうなの。もう隣の部屋で何人かの神様が寝てるのよ?ちょっと見てくるわね」
まてまてまて!
けが人とか何?
そんな話聞いてないんだけど……
祖母が出て行って襖が閉まってから、「でだ!」と話し始めるので、「ちょっと待って!」と話を遮る。
「俺達に興福寺とか東大寺とか色々見に行かせてたのとかなんなんですか!?ここと関係あるから行ってたんですよね?」
「そうだ。俺の渡した鈴を鳴らせば八百万の神とまでは行かなくても、八部衆位は来てくれるだろうと思ってな」
「は?」
「いいから聞け。まず、この五重塔だが、ここにしたのには訳がちゃんとある。ここの法隆寺の七不思議ってのは半分は当たりなんだよ。蜘蛛の巣はできてるから外すがな」
「えーと、俺にわかるように話して貰えるとありがたいんですけど」
「だーかーらー!この法隆寺自体が結界って事!建て方が普通に見えるだろ?だが、いくつか修復してあるとはいえ、聖徳太子の怨霊がこの法隆寺から出ないように周りが固められてるんだ。この五重塔のてっぺん見たか?」
「あ、長い変なのついてたやつかな?」
「変とか言うな。あれは九輪と言うのに四つの鎌が付けられているんだが、七不思議のひとつでこの九輪が上がったり下がったりすると言われている。俺も見た事はないが、今のパン……パン……書き物だ!あれには鎌は雷避けとも書かれていてあながち嘘ではない。で、噂の一つとして怨霊よけとも言われているが、これは迷信とされてる」
ここまではいいか?と言われたので、何となくだがわかったと首を縦に振る。
「まぁ、俺達神は人の作り上げた世界にあまり関心はなかったんだがな、仏教とかいうのがやってきて、仏像だのなんだの増えてくるし、寺院や社は増えてくるしで上……俺たちの住むところだが、神の配置など忙しくなった。それに、こういったものは管轄外だったんだが、俺を含め色々な神も祭り上げられるようになって、今では道真のような人神というの迄できたもんだから、国産みの俺としてはとても忙しい」
「おい、逸れてる!」
「迦具土、お前も知ってるだろう?この俺の忙しさを!!!」
忙しさアピールしたかったのか?
「仕方ない、儂が話そうかのぅ」
そうしてください八意さん!
「昔起こったことは学校で習ったと思うのじゃが覚えておるかな?」
「えーと、ちょっとだけ……」
「ふむ!」
ふむ!はいいからわかりやすく話してくれ……
「夢殿は見てきたと思うが、何角形だったか覚えておるか?」
「えーと……」
「本当に見ただけじゃのぅ。八角形じゃ!八角堂とも言われるが、元々、八角形の御堂というのは、鎮魂堂・仏堂とか言われておるんじゃが、その名の通り、聖徳太子の鎮魂の為にあるのじゃよ。聖徳太子の怨霊が怖いと永きにわたってその姿も布に包まれ出されなんだ事は聞いたの?」
「はい」
「仏像の光背についてももう聞いて知ってると思うが、あれは怨霊を封じるために頭にぶっ刺したと言うのも、まぁ、本当じゃ」
ぶっ刺すとか言うな!
「その理由は様々あるが、昔蔓延した疫病や崩壊した建物など、聖徳太子の呪いでは無いかと言われ、このままでは法隆寺が崩壊するとまで恐れた僧達が急いで作ったものが夢殿……そして誰にも見せず封印をして布で包み、鎮魂してきた。それが救世観音であり夢殿なのじゃ」と、紙を見ながら話してくるので、全部は覚えてないのか?知恵の神様!と叫びたくなるのをちょっと我慢する。
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