八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

文字の大きさ
82 / 103
お盆祭り

.

しおりを挟む
「あー、揉めるのはあとにして欲しいんだが……」

「何だと?俺はお前より死んでるんだぞ!」

「そこ、威張ることじゃないと思うんだけど」

「翔平まで!!!」

それでも、わぁわぁと叫んでいるふたりを無視し、今夜はここに泊まることになるのかとテチに聞くと、「あの状態では無理でしょう」と言われ納得する。

「夜に術で家まで送るつもりじゃ。それと……素戔嗚尊と大国!五月蝿い!夜のことを話し合わねばならんのじゃろう?」

「おっと、それそれ。この七夕祭は翔平や純平も知ってる天の川の話と同じだ。織姫と彦星の話は知ってるだろう?」

「うん。年に一回しか会えないんだよね。いつも曇ってて天の川って見た事ないけど」

「空の上ではちゃんと橋がかかってる。で、いつもの如く夜には妖共が活発化するんだ。特にこんなでかい神社の祭りともなれば、人の活気も凄いしな」

「俺たちであやかし退治か?」

「まぁな。迦具土と翔平、純平で回ってもらおうと思ってる。そうすると、うずめが踊ってる間テチ一人になるが、そこは怪力でなんとかしてくれ。素戔嗚尊は社に居ないといけないから、不本意だが俺が素戔嗚尊の警護。迦具土達は千本鳥居周りを頼みたい」

義父上ちちうえと呼べんのか!」

「誰が呼ぶか!今回も須勢理ちゃんがお願いって言ったからきてやったんだ!」

「迦具土、時間まで兄貴と神社見て回りたいんだけど」

「じゃあ、俺達だけ出るか?」

「俺も出る」

テチとうずめも出ると言って外に向かおうとすると、大国さんの悲痛な悲鳴が聞こえたが、勝手に喧嘩していてくれと、うずめさん達と共に外に出る。

出ると夕方近くになっており、もっと時間が経っているのかと思ったと言いながら、御朱印を貰い、歩いて周りを見ていく。

観光客も多く、みんなが写真を撮っているのを邪魔しないように進み、一通り見た後に食事をするのにお店に入って和食を堪能し、日が暮れてきたのを見計らってそれぞれの持ち場へと行って連絡が来るのを待つ。

「あ、俺たちの荷物置いてきたまんまだ」

「すっかり忘れてたけど、荷物もってあやかし退治は出来ないだろ?」

「迦具土、後で一緒に家まで運べる?」

「出来る。それより、うずめの踊りの音がまだ聞こえないな……」

遅いなと思っていると、テチがこちらに走ってきて、本殿の裏まで来てくれという。

しかも大声で……

いつもボソッとしか話さないテチの慌てぶりを見て、三人でテチの後について行く。

「大国さんと素戔嗚尊は?」

「今、社の中で出れない状態。俺一人ではうずめを傷つけてしまうかもと思い……」

神様のテチがこんなに焦って話しているという事は、うずめさんは大丈夫なんだろうか?

言われるままについて行き、出た場所は社の裏から少し離れた場所。

「あれって……」

「なんだ?仮面かぶって。ハロウィンじゃないぞ?」

「前に、爺ちゃんと見たことがあるんだ。他でも……仮面つけたやつは俺たちと同じように話してたけど、妖怪を食べて力をつけてるって聞いた。迦具土、同じ奴かな?」

「別モンだがよく似たものだ。但し今までのとは桁が違う……」

よく見ると、仮面を被った妖の後ろには縛られて意識のないうずめさん。

しかも、踊る前だったのか、あられもない姿で……

「増援ですか?」

しれっと話す話し方が祖父と見た男と似ているので同じにも見えるが、仮面の柄も、服装も全く違う。

「翔平と純平は後ろから援護しろ」

「迦具土は?」

「正面!」

テチはきっとうずめさんの救出だろうと、兄と鈴を媒介にして弓矢を作る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

死霊術士が暴れたり建国したりするお話

はくさい
ファンタジー
 多くの日本人が色々な能力を与えられて異世界に送りこまれ、死霊術士の能力を与えられた主人公が、魔物と戦ったり、冒険者と戦ったり、貴族と戦ったり、聖女と戦ったり、ドラゴンと戦ったり、勇者と戦ったり、魔王と戦ったり、建国したりしながらファンタジー異世界を生き抜いていくお話です。  ライバルは錬金術師です。  ヒロイン登場は遅めです。  少しでも面白いと思ってくださった方は、いいねいただけると嬉しいです。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~

御崎菟翔
キャラ文芸
​【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】 「選ぶのはお前だ」 ――そう言われても、もう引き返せない。 ​ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。 そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。 彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。 ​「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。 なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに! ​小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。 その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる―― ​これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。 ​★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』 この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中! https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858

処理中です...