八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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翔平の旅

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結構進んできたが、本当に自分はついて行ってるだけだなと情けなくもなる。

でも、ほんとに苦しくて、こんなの登れない、歩けない、無理だと思うところも、神様であれば飛んですぐに着くのに同じように歩き登ってくれている。

なのに、弱音の一言もない。

自分は……

気持ちも何もかも弱い。

子供だからとか、人だからとか、そんなのは関係なく、だだ、気持ちや精神的に弱い。

それがわかるととたんに悔しくなり、何かに八つ当たりしたくなる……

こんな気持ちになったのは初めてかもしれない。

ここから後半、自分が自分でなくなるのではないかと不安にもなるが、そんな事、迦具土にも言えない……

「ここが頂上?」

何とか登りきって聞くと、更にこの峰沿いに歩くと言うが、落ちたら終わり……

左右どちらを見ても崖。

捕まるところはどこにもない。

それでも前に大天狗さんと八咫烏。

真ん中に俺、後ろに迦具土と挟んでくれているので、そこは安心できる。

「おい、ちょっとペース落としてくれ」

「どうかしたか?」

「俺達は良いが、そんなに早く人である翔平は歩けねーだろ?」

「おお、すまんかった。ちょっと座ろうか」

地べたに腰を下ろし、後どのくらいかと聞くと、あと一日頑張れば着くと言う。

「ここから下っていくんだが、登りと同じように鎖などもついておる。儂らは簡単に降りれるが、かなりきつい。平気かな?」

「正直……登る時も怖くて、足が震えて……でもここまで来たんで頑張れるだけ頑張ってみます」

そうか?と短く返事をした後に、そろそろ行こうとまた歩き出す。

それでも夕焼けはとても綺麗で、こんなに高いところから見るのはもう無いだろうと思うと、ここまで頑張って登ってきたご褒美のように思えてくる。

「綺麗だろう?」

「はい、とっても」

「箱で写したらいいんじゃないか?爺さん達に見せられるだろ?」

「あ、そっか。太陽は無理だとしても景色くらいは撮れるかな?」

リュックから携帯を出して写真を何枚か撮り、閉まってから野営の準備をする。

レトルトの食事には飽きはしたが、それでも食べ物があるだけで有難い。

交代で眠り、緩やかな道を選んでくれたのか順調に山から降りていくが、やはり急高配と言うより、断崖絶壁に近い岩を鎖をつかみながら降りないといけない。

ある意味ロッククライミングのような気がしないでもないが、気を抜くと滑り落ちる可能性だってある。

ゆっくりと降りながら、足をかける所、手をつく所など慎重に選んで降り、一体誰が鎖などつけたのだろうとふと疑問に思う。

「もう少しで金峯山寺じゃ」

「でも、ここまだ山の中……」

「もう吉野には着いておる。所々にあった立て札を見ておらんのか?」

「え?」

そんなのあったっけ?

ひたすら歩くことと足元の確認ばかりで、景色を見る余裕も無かった。

「まだあの山は先があるが、一先ずこの金峯山寺が目的地。さ、夕刻までに着くように歩こうか。街に着いたら儂は人と変わらぬ姿に変えるが、八咫烏は姿見えぬようにするから安心していい」
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