八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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翔平の旅

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「翔平、纏っていた気のようなもの。落ち着いたようじゃな」

「え?そうですか?」

「最初は何かわからなかったぐらいの物で、神気でも無いから分からなかったが、今ならばわかる。本来お前が持っている力だな」

「力って……俺は大国さんの力を借りたり、鈴を媒介にして弓とか作れてただけなんで実は良く分かってなかったというか……なのに、神気を入れる話が来た時には自分の周りを包むみたいに、緑色の膜みたいなのがあって……」

「それじゃ!力の制御というのかの?それが出来ていなかったんじゃろう。修行して本来の力を引き出し、調整するものなのじゃが、お前は無意識にやっていた。今回、今まで置かれていた己の生活を離れ、自身で何か分かったのであろう?それで落ち着いてきておる」

「山登りしたから?」

「切っ掛けはそうじゃな」

「でも、まだ目的地についてないし。今日はどうやって行くんですか?」

「昼からバスじゃ」

「バス?は?バスってなんで?」

歩くんじゃなかったのかよ……

翌日、周りを見て歩きかながらバス停へ行き、バスに乗り込むものの、大天狗さんが人に見えているのかとても心配。

かなりバスで移動してから今度は電車で橿原神宮前駅まで。

歩くものだとばかり思っていたのでちょっと変な気分なのだが、相変わらず迦具土は改札ではなかなか通らずに、「ヒッ」と小さな悲鳴を漏らすのが面白いのか、大天狗さんも八咫烏も笑いをこらえるのに必死。

「いい加減慣れろよ」

「嫌なんだよ。持ってるものが吸い込まれるし出てくるし、掃除機なんて音はすごいわ、なんでも吸い込むわ、どんな妖怪かと思ってたんだからな?」

「まぁ、掃除機はそうかも……」

「しかもだな、洗濯機というのは婆さん曰く、手が荒れないから便利よねとか言ってたが、がたがたと動くし、今の時代は『でんき』というものでなんでも出来てしまう便利さはいいんだが、俺には中にやはり何かいるような気がしてならん!」

あー、そうだろうとも。

最初に自販機の中にも妖怪がいるとか言ってたもんなお前……

橿原神宮に着き、マップを見るとかなり広い。

最初に宝物館から見て周り、鳥居をくぐって表参道、外拝殿、内拝殿、本殿と進むと、大天狗さんと八咫烏は用事を済ませてくると言っていたので、その場で別れて迦具土とまだ見ていないところを見て回るが、修復されたのかとても綺麗だった。

途中の深田池で休みながらパンフレットを見て、一日で回りきれるんだろうか?と思いながらも、何故大国さんがここに俺を来させたのかが、何となくわかる気がした。

初代の天皇の神武天皇。

正史ともされる『日本書紀』で、日本建国の地と記された橿原。
天照大神 あまてらすおおかみ の血を引く神倭伊波禮毘古命 かむやまといわれびこのみこと(後の神武天皇)が、豊かで平和な国づくりをめざして、九州高千穂の宮から東に向かい、想像を絶する苦難を乗り越え、畝傍山うねびやまの東南の麓に橿原宮を創建をした。

この畝傍山と言うのが俺が通って来た山なのかはわからないが、八咫烏が神武天皇をここまで案内してきて、この神宮を作ったというのならば、一部は歩いてきたのだろう。

そして、第一代天皇として即位したのが紀元元年、今から2,600余年前。
日本の歴史と文化の発祥の地で、日本の原点と書いてあるパンフを見れば、橿原は、俺が今まで関わりのあった神様ととても縁が深い。
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