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翔平の旅
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パンフに書いてあるのを見ると、橿原神宮がお祀りしているのは、第一代神武天皇と皇后の媛蹈五十鈴媛命。
神武天皇は、天照大神の天孫・瓊瓊杵尊より四代目に当たり、正式には「神日本磐余彦火火出見天皇」と言うらしい。
皇后の媛蹈五十鈴媛命は、大物主命の御娘に当たる方だと書いてある。
「なぁ、俺ってさ、天照大神の話に出てきてたテチさんとかうずめさん、八意さんに加えて、咲耶さんや石長さん、まさかのニニギさんとも会ってるじゃん。ここって、ある意味日本の元祖っていうか、なんて言えばいいのか分からないけど、俺にとっても原点の場所に近いのかな?って少し思うんだ」
「まぁ、元々は神でも仲の悪い神がいて、喧嘩して島になったり何かしらの神になったりした奴もいるし、俺が死んで出来た全部で16の神がいて神武天皇まで続いてきたってことにはなるのかな……
お前だって祖先がいなけりゃ、今こうして生きてねーし、俺達は繋がりってもんを大事にするんだ」
「うん、いろんな犠牲になった神もいて、新しい命がまた産まれて、そして俺達がいるってすごく感じる。
俺、神気貰うよ。迷ってたけど頭ではわかってたんだ……。でもモヤモヤしたものがどこかにあって。
言葉でどう話したらいいのかわからないけど、ここまで来る時に、『なんで俺が』『どうして怖い思いをしなくちゃ』って、どうして?とかなんで?って思いながらあの山登ってた。凄く苦しかった。でもここに来て乗り越えてきてよかったって思うし、何も言わずに着いてきてくれてありがとう迦具土」
「あらたまってなんだよ……」
ぷいっと横を向いているが、少し頬が赤くなっているのがわかる。
いつもの迦具土の照れ隠しだ。
他も見て回ろうと言って周り、表参道の鳥居で待っていると、大天狗さんが「とてもいい顔になった」と頭に手を置いて笑ってくれる。
「八咫烏は?」
「あれは元々道案内じゃから、もう帰った。今日は山の家の方でゆっくりして、明日迦具土の術で帰ればいいだろう」
「ありがとうございます」
少し遠くに見える畝傍山の反対側に家があるということで送ってもらい、一晩ゆっくりとすごした後、自宅に帰って、祖父母と共に大国さんの社にお参りに行く事にした。
「決心は着いたのか?」
「はい。自分がどれだけ弱くて勇気がなかったのか分かりました」
「お前は元々強いぞ?自覚がないだけで……ま、無謀とも言うがな」
そう言って手のひらを額に当てられて数分、体がポカポカとしたかと思ったら、「終わったぞ」と言われ手を見ると、今まで見えていた緑色の膜が見えなくなっていた。
大国さんの話では、きっと体に馴染んだのだろうとの事だったが、今までよりも体が軽く感じるだけで、心配していたほどの違和感はない。
「これで、翔平も一人前だな。十七代目として、これからもよろしく頼む」
そう言われてから数日、何かが変わるのかと思いきや、これまでと同じく、家にご飯を食わせろと押しかけてくるわ、迦具土は更に『オカン』のように口うるさくなるわ、騒がしい毎日は変わらず春、大学に合格し、改めて、始まりの茅葺き屋根の家で、今まで関わりを持った神々も集まり、十七代目継承の儀式が行われた。
大学生になってもきっと俺は大国さんの子守りなのだろう。
(終)
神武天皇は、天照大神の天孫・瓊瓊杵尊より四代目に当たり、正式には「神日本磐余彦火火出見天皇」と言うらしい。
皇后の媛蹈五十鈴媛命は、大物主命の御娘に当たる方だと書いてある。
「なぁ、俺ってさ、天照大神の話に出てきてたテチさんとかうずめさん、八意さんに加えて、咲耶さんや石長さん、まさかのニニギさんとも会ってるじゃん。ここって、ある意味日本の元祖っていうか、なんて言えばいいのか分からないけど、俺にとっても原点の場所に近いのかな?って少し思うんだ」
「まぁ、元々は神でも仲の悪い神がいて、喧嘩して島になったり何かしらの神になったりした奴もいるし、俺が死んで出来た全部で16の神がいて神武天皇まで続いてきたってことにはなるのかな……
お前だって祖先がいなけりゃ、今こうして生きてねーし、俺達は繋がりってもんを大事にするんだ」
「うん、いろんな犠牲になった神もいて、新しい命がまた産まれて、そして俺達がいるってすごく感じる。
俺、神気貰うよ。迷ってたけど頭ではわかってたんだ……。でもモヤモヤしたものがどこかにあって。
言葉でどう話したらいいのかわからないけど、ここまで来る時に、『なんで俺が』『どうして怖い思いをしなくちゃ』って、どうして?とかなんで?って思いながらあの山登ってた。凄く苦しかった。でもここに来て乗り越えてきてよかったって思うし、何も言わずに着いてきてくれてありがとう迦具土」
「あらたまってなんだよ……」
ぷいっと横を向いているが、少し頬が赤くなっているのがわかる。
いつもの迦具土の照れ隠しだ。
他も見て回ろうと言って周り、表参道の鳥居で待っていると、大天狗さんが「とてもいい顔になった」と頭に手を置いて笑ってくれる。
「八咫烏は?」
「あれは元々道案内じゃから、もう帰った。今日は山の家の方でゆっくりして、明日迦具土の術で帰ればいいだろう」
「ありがとうございます」
少し遠くに見える畝傍山の反対側に家があるということで送ってもらい、一晩ゆっくりとすごした後、自宅に帰って、祖父母と共に大国さんの社にお参りに行く事にした。
「決心は着いたのか?」
「はい。自分がどれだけ弱くて勇気がなかったのか分かりました」
「お前は元々強いぞ?自覚がないだけで……ま、無謀とも言うがな」
そう言って手のひらを額に当てられて数分、体がポカポカとしたかと思ったら、「終わったぞ」と言われ手を見ると、今まで見えていた緑色の膜が見えなくなっていた。
大国さんの話では、きっと体に馴染んだのだろうとの事だったが、今までよりも体が軽く感じるだけで、心配していたほどの違和感はない。
「これで、翔平も一人前だな。十七代目として、これからもよろしく頼む」
そう言われてから数日、何かが変わるのかと思いきや、これまでと同じく、家にご飯を食わせろと押しかけてくるわ、迦具土は更に『オカン』のように口うるさくなるわ、騒がしい毎日は変わらず春、大学に合格し、改めて、始まりの茅葺き屋根の家で、今まで関わりを持った神々も集まり、十七代目継承の儀式が行われた。
大学生になってもきっと俺は大国さんの子守りなのだろう。
(終)
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