下宿屋 東風荘 8

南の島のおじいちゃん

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「海に？誰か中に入るの？」

「いえ、沈めると言った方がいいのかもしれません。冬弥の天狐の術で棺となるものに結界を張りますから、魚に食べられることもなくただただ自然に骨になる時まで海に眠る……と言った感じですかねぇ」

「それがお爺さんの望み？」

「父上からはそう聞いています。手続きは私と夏樹でやりますし、何も問題はありません。
航平には一つだけお願いがあるのですが」

「何ですか？」

「那智を……よろしくお願いします」

「は、はい」

「さ、私達も食べに行きましょうか。雪翔は食べたことあるんですよね？」

「うん。ここの貝とかすごく美味しいんだよ。お爺さんが潜ってとってきてくれて、僕もとったんだ」

「狐の国ではそうやって語り継がれていきます。覚えててあげてください。それが何よりの供養ですから」