下宿屋 東風荘 8

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
81 / 90
浮遊城の水盆

.

しおりを挟む
「雪翔、遊んでるならこれも航平に持って行ってくれ。団子だ。狐達が喜ぶ」

「うん、わかった」


お皿を受け取り、一本ずつ配ってから自分のお皿の上にも置き、おにぎりが焼けるまで夏樹の所に行く。

「夏樹さん」

「おお、ちゃんと食べてるか?」

「うん。那智さんが焼き係になると、航平ちゃんが大変なことになるなーって思って、お爺ちゃん達の狐達も出してもらったの」

「あー、那智はああいったの好きだからな。バーベキューだっけ?いつも島でやってたし」

「手際いいのに、海鮮類しか料理できないなんてなんだか不思議」

「だろ?ま、南は海鮮が多いから仕方ないけど、航平は肉もちゃんと食ってるのか?」

「食べてるよ?下宿では色んなものでるから」

「那智に任せておくと魚ばかりになりそうでな」

「わかる気がする……。夏樹さんは料理しないの?」

「するぞ?狩りに行ったりした時は鳥も猪も捌くし、猪鍋はちょっとこだわりがあるんだ」

「なんだか意外。文官て、狩りとか苦手なイメージがあるから」

「普通はな?俺は京弥と一緒に、父上と叔父上に散々連れ回されたから叩き込まれたよ。魚や貝は島の爺様にみんな教わったんだ。那智もやれば出来るんだが、獣は昔から嫌がってたな」

「んー、僕も嫌かな?」
しおりを挟む

処理中です...