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下宿人
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そろそろみんな帰ってくる頃だろうと思いながら、来週新しい子が入ることは、明日の朝にでも言えばいいかと思い、仮眠をとる。
「冬弥様、お時間でございます」
「ん?あぁ、もうそんな時間かい?」
時計をみるともう夜の八時を回っていた。
身支度を整え、姿を消して外に出る。
やはり、まだ1月。
ちらほらと雪がちらついてきている。
「寒いねぇ。お前達みんな付いておいで」
みんなを連れ、那智の社まで飛ぶ。
正確には屋根の上を伝って行くのだが、姿を消さずとも素早いので人からは見えはしないだろう。
「久々に来ましたけど、何だか雰囲気が変わりましたねぇ。そう思いません?」
「やっと来たか。兎に角社の中に来てくれ」
「何をもてなしてくれるんでしょうねぇ?」
那智の後に続きながら社の中へと入る。
狐たちが宴の支度をしてくれているが、もてなされる謂れもない。
「こちとら忙しいんでねぇ、早く本題に入ってもらえませんか?」
「そう急くな。だいたい話はわかっているのだろう?」
「さぁ?」
「相変わらずだな」そう言い、狐に酌をさせて酒を煽る。
那智は普段はスーツ。今は着物ではあるが、どちらかと言うと何にでも拘っている。
着物の柄から帯まで。男性ものよりではあるが、中性的な感じの顔立ちなので女性用を着ても違和感はは無い。
「それにしても、今日は艶やかですねぇ?」
「そう見るお前の目がおかしくなったんじゃないのか?」
「そうですか?」
「着流しなど、いつまで着ているつもりだ?もっとしっかりと……」
「はいはい。そこまで。これでも、気は使ってるんですよ?人様の社に行く時はね?」
「もっと気を使え!」
「分かりましたよ。それで話しは?」
「冬の神社だ」
「那智……何がしたいんです?」
「私の知っている奴がそろそろ落ち着きたいと。勧めたら必ず降りると思うのでな」
「那智の配下の社が二つ。戦争でもしたいんですか?」
「まさか……」
「ですよねぇ?それに、降りませんよ?珠は私が持っていますからねぇ。それが無いことには力は大きくもなりませんし」
「その珠を渡しては貰えんか?」
「駄目です。これには爺さんの力も宿っているし、その前の狐の力も宿ってる。狐五人分くらいですかねぇ?珠を7つ集めるんだったら、これと後2つで済みますよね?」
「何が言いたい?」
「那智でしょう?爺さんを襲わせたのは。それに、秋彪の狐も……そんなに位が欲しいのですか?」
「貴様には分かるまい!」
「頭冷やして、自分の社を見てみることですね……」
そう言って社を出る。
前迄は澄んだいい空気だったが、かなり淀めいている。このまま放置していれば那智自身も仙から見放されかねないだろう。
それになにかおかしな匂いもするし、那智が進んでそのように他の狐と関わるのもおかしい。
しかも、目付きと言葉遣いもおかしい。
仕方なく、秋彪の元へと見舞いがてら酒を飲みに行くと、床に臥せっていた。
「秋彪?」
「入ってくれるか?動けないんだ……」
「社もボロボロですねぇ……」
「奇襲だよ……」
「いつ?」
「夕刻に突然。俺じゃまだ力が足りなくて……この有様!」
秋彪の狐達も神酒をと持ってくるが、大分と傷ついている。
「お前達も傷を治すことに専念しなさい。出ているだけでも力を使うでしょう?」
そう言って自分の狐の中で、癒しの能力の強いものを半分だし、秋彪を優先に治させる。
「いいよ。またいつ来るかわからないし……」
「私の狐たちですよ?この位じゃぁ何ともならないです。秋彪も寝ながら聞いて下さい。今日来たのは悪狐だけですか?」
「野狐もいたけど、その中に臭いが……香の臭い」
「那智のでしょう?」
「___何でっ!」
「あいつの狐が来たからさっき話を聞きに行ったんですよ。聞くつもりで行ったら、社の周りは淀んでいた。そして爺さんの珠を渡せと……これでわかるでしょう?」
「あの珠には五つ分程度の珠の価値がある。多少弱いが俺にもわかる」
「ふむ。秋彪はまだ神通力は弱いが、曲がりなりにもこの社の後継者だ。珠はちゃんと自分の中ですよねぇ?」
「当たり前だ!爺さんからもそうしろって言われてたし、爺さんは力は弱かったけど色々と教えてくれたんだ……だから!」
「落ち着きなさい。私も爺さんには世話になりましたからねぇ。那智が言うには、何でも新しい狐を冬に据えたいようで……戦争するつもりかとは一応聞いておいたんですが」
「何て?」
「する気は無いみたいみたいな事は言っていましたよ?ただ、見ていないからわからないかもしれませんけど、あの淀み……いきなりできたとは思えないんですよ。それに、那智の様子もおかしいですからねぇ。少し調べてみます」
「どうやって?」
「その為には秋彪に早く良くなってもらわないと。今日はこの子達を置いていきます。いいですね?」
「……分かった。借りは必ず返す」
「お前達、秋彪に2匹と後は狐達の方も頼むよ。粗相のないようにね」
それだけ言い社を後にする。
秋彪の社は秋だ。
他の社よりも木々が多い。それを利用して社周りに結界を張る。
誰か侵入すればすぐに分かるだろう。
春の周りに位置している神社が多いので、距離はあるが行き来するのに左程苦にもならない。
夜道を歩いても良かったが、寒いので走って自分の社まで帰る事にした。
「冬弥様、お時間でございます」
「ん?あぁ、もうそんな時間かい?」
時計をみるともう夜の八時を回っていた。
身支度を整え、姿を消して外に出る。
やはり、まだ1月。
ちらほらと雪がちらついてきている。
「寒いねぇ。お前達みんな付いておいで」
みんなを連れ、那智の社まで飛ぶ。
正確には屋根の上を伝って行くのだが、姿を消さずとも素早いので人からは見えはしないだろう。
「久々に来ましたけど、何だか雰囲気が変わりましたねぇ。そう思いません?」
「やっと来たか。兎に角社の中に来てくれ」
「何をもてなしてくれるんでしょうねぇ?」
那智の後に続きながら社の中へと入る。
狐たちが宴の支度をしてくれているが、もてなされる謂れもない。
「こちとら忙しいんでねぇ、早く本題に入ってもらえませんか?」
「そう急くな。だいたい話はわかっているのだろう?」
「さぁ?」
「相変わらずだな」そう言い、狐に酌をさせて酒を煽る。
那智は普段はスーツ。今は着物ではあるが、どちらかと言うと何にでも拘っている。
着物の柄から帯まで。男性ものよりではあるが、中性的な感じの顔立ちなので女性用を着ても違和感はは無い。
「それにしても、今日は艶やかですねぇ?」
「そう見るお前の目がおかしくなったんじゃないのか?」
「そうですか?」
「着流しなど、いつまで着ているつもりだ?もっとしっかりと……」
「はいはい。そこまで。これでも、気は使ってるんですよ?人様の社に行く時はね?」
「もっと気を使え!」
「分かりましたよ。それで話しは?」
「冬の神社だ」
「那智……何がしたいんです?」
「私の知っている奴がそろそろ落ち着きたいと。勧めたら必ず降りると思うのでな」
「那智の配下の社が二つ。戦争でもしたいんですか?」
「まさか……」
「ですよねぇ?それに、降りませんよ?珠は私が持っていますからねぇ。それが無いことには力は大きくもなりませんし」
「その珠を渡しては貰えんか?」
「駄目です。これには爺さんの力も宿っているし、その前の狐の力も宿ってる。狐五人分くらいですかねぇ?珠を7つ集めるんだったら、これと後2つで済みますよね?」
「何が言いたい?」
「那智でしょう?爺さんを襲わせたのは。それに、秋彪の狐も……そんなに位が欲しいのですか?」
「貴様には分かるまい!」
「頭冷やして、自分の社を見てみることですね……」
そう言って社を出る。
前迄は澄んだいい空気だったが、かなり淀めいている。このまま放置していれば那智自身も仙から見放されかねないだろう。
それになにかおかしな匂いもするし、那智が進んでそのように他の狐と関わるのもおかしい。
しかも、目付きと言葉遣いもおかしい。
仕方なく、秋彪の元へと見舞いがてら酒を飲みに行くと、床に臥せっていた。
「秋彪?」
「入ってくれるか?動けないんだ……」
「社もボロボロですねぇ……」
「奇襲だよ……」
「いつ?」
「夕刻に突然。俺じゃまだ力が足りなくて……この有様!」
秋彪の狐達も神酒をと持ってくるが、大分と傷ついている。
「お前達も傷を治すことに専念しなさい。出ているだけでも力を使うでしょう?」
そう言って自分の狐の中で、癒しの能力の強いものを半分だし、秋彪を優先に治させる。
「いいよ。またいつ来るかわからないし……」
「私の狐たちですよ?この位じゃぁ何ともならないです。秋彪も寝ながら聞いて下さい。今日来たのは悪狐だけですか?」
「野狐もいたけど、その中に臭いが……香の臭い」
「那智のでしょう?」
「___何でっ!」
「あいつの狐が来たからさっき話を聞きに行ったんですよ。聞くつもりで行ったら、社の周りは淀んでいた。そして爺さんの珠を渡せと……これでわかるでしょう?」
「あの珠には五つ分程度の珠の価値がある。多少弱いが俺にもわかる」
「ふむ。秋彪はまだ神通力は弱いが、曲がりなりにもこの社の後継者だ。珠はちゃんと自分の中ですよねぇ?」
「当たり前だ!爺さんからもそうしろって言われてたし、爺さんは力は弱かったけど色々と教えてくれたんだ……だから!」
「落ち着きなさい。私も爺さんには世話になりましたからねぇ。那智が言うには、何でも新しい狐を冬に据えたいようで……戦争するつもりかとは一応聞いておいたんですが」
「何て?」
「する気は無いみたいみたいな事は言っていましたよ?ただ、見ていないからわからないかもしれませんけど、あの淀み……いきなりできたとは思えないんですよ。それに、那智の様子もおかしいですからねぇ。少し調べてみます」
「どうやって?」
「その為には秋彪に早く良くなってもらわないと。今日はこの子達を置いていきます。いいですね?」
「……分かった。借りは必ず返す」
「お前達、秋彪に2匹と後は狐達の方も頼むよ。粗相のないようにね」
それだけ言い社を後にする。
秋彪の社は秋だ。
他の社よりも木々が多い。それを利用して社周りに結界を張る。
誰か侵入すればすぐに分かるだろう。
春の周りに位置している神社が多いので、距離はあるが行き来するのに左程苦にもならない。
夜道を歩いても良かったが、寒いので走って自分の社まで帰る事にした。
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