下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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買い物袋がいっぱいになってしまったので、そのままカートを押し別館にあるフードコートまで来る。

「混んでますねぇ……もう少し歩いてもいいですか?」

「僕は平気なので」

奥にトンカツ屋やラーメン屋などたくさん立ち並んでいたが、夜の事もあるしとうどん屋に入る。

本日のおすすめが天ぷらうどんとミニ丼にサラダとドリンクもついて780円だったので、それを二つ頼み、雪翔はコーラ。自分はアイスコーヒーを頼んで来るのを待つ。

「あの……」

「雪翔は心配性ですね。誰かと来る時もありますよ?この前は海都が休みだったのでちょっと手伝いをしてもらいましてねぇ、御褒美にラーメン屋に連れて行ったりしましたから、何も気にすることもないですし、誰も何も言いません」

「良かったです。それと、お狐様って揚げ以外も食べるんですね……」

「やはり揚げが一番好きですけど、食べますよ?この千年で食の事情も変わったので、今では楽しみの一つです」

「他の人も?」

「ええ。そのうち皆さんと会えると思いますよ?夜は私、暫く忙しいので会わせられませんけど、時期がきたら自然に会えると思います」

「はい」

お待たせしましたとうどんが来たので温かいうちにと勧める。

ミニ丼はマグロの山かけになっていたので、先にそちらから食べ、少し温くなってきたのでうどんも食べ、最後にアイスコーヒーを飲む。

たまに飲むと美味しいが、やはりお茶が一番だと思う瞬間でもある。

雪翔も育ち盛りなのでぺろっと平らげて、コーラを飲んでいるので、少し落ち着いたかなと思い話を切り出す。

「明日からは卒業式まで休みで、その間に制服の採寸があるでしょう?」

「はい」

「下宿屋の奥に宮司さんの御宅があって、その奥に本殿と社務所があるんですけど……」


「そこに何かあるんですか?」

「下宿屋は神社の敷地内の古い長屋を改装して使わせてもらってるんです。なので月に一度、大学生たちから集めた酒代の残りを持って参拝に行くんですけど、今日宮司に挨拶だけ済ませましょうか」

「はい。なにかお菓子とか持っていかなくていいんですか?」

「帰りに買っていきましょう。そこにもお子さんがいらっしゃいますから。そこでなんですが、雪翔は朝早いでしょう?」

「はい」

「修行しません?」

「えっ?修行?」

「朝宮司は五時から掃除を一時間かけてしています。5時半からでいいのでお手伝いに行ってください。その時必ず参拝を忘れずに。鳥居の階段の方まで手が回らないようなのでそちらを手伝うといいでしょう。あ、毎日鳥居はくぐってくださいね」

「良いですけど、勝手にお手伝いとかしてもいいんでしょうか?」

「下宿屋の子だとわかっていれば何も言いませんよ。学校が始まるまでと言っておけば問題は無いでしょう」
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