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お茶会1
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近頃は忙しく、更新がばらついてしまい申し訳ありません!
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シラキは楽しまないと、と言うが、アロンは到底楽しめる心境にはなかった。
お茶会の席でネロシカとユラはやけに親しい様子で話し、他のメンバーも各々の話題で花を咲かせている。
黙っているのはアロンとーーアロイスである。
記憶間違いでなければアロイスはネロシカと仲がそれほどよくなかったはず。ならなぜここにいるのか?
しかも来ているにも関わらず先ほどから腕を組んで不機嫌な顔でそっぽを向いている。
やがてユラと話していたネロシカがアロン達の近くに来て座るとにっこりと笑った。
「前回のフェスティバル以来ですね。お元気ですか?」
「俺か?あ、ああ、まあ…元気だ」
アロンのぎごちない態度にもネロシカは笑顔を崩さなかった。ただ、優雅な笑みで「それはよかったです」と返した。その目がアロイスのほうへ向いた。
「アロンさんの近くにお座りになるのでしたらせめてお話しされてはどうですか?お父様に社交性を習ってこい、と言われませんでした?」
アロイスはジロリとした視線をネロシカに投げ、どこかいやそうに口曲げたあと表情とよく合ういやそうな声で言った。
「お前には関係ない。好きで来ているわけじゃないし、話しかけるな。不愉快だ!」
「まあ、こんな人ときょうだいだなんて。さて、アロンさん、こちらに来て一緒にお話ししましょ?」
「俺!?」
行ったとして何を話せばいいのかわからず、アロンが固まっていると、アロイスが立ち上がって背中を向けながら仁王立ちをした。
「アロンは僕と話す!お前は引っ込んでいろ!」
「酷いことを言いますね。私は主催側としてアロンさんを接待することになんのおかしさもありません。アロンさん、今日は場をお借りさせていただいてありがとうございます。とても素敵な温室ですね」
お茶会の場所は庭園にある温室の春エリアである。綺麗に咲き誇った花草と甘やかな香りが漂っており、お茶会の会場としては申し分なかった。
「いや、まあ……俺のじゃないけど」
「そうなんですか?市長さんからはこの庭園の全てはあなたのものだとお聞きしました」
「エルヴィスが?」
アロンはどこか意外そうにしたあと、照れを隠すように口もとを覆った。
「あいつ、テキトーなこと言いやがって……」
「ふふ、愛されてますね」
「………そ、そうか?」
その会話に少し離れて聞いていたユラがぴくりと反応した。そして笑みを作ってアロン達に近づいて来る。
「おっと、あのお嬢ちゃんが参戦しに来たぞ」
「おわっ!」
突然耳もとで響いた声にアロンが驚いた声を出した。
そういえば後ろにずっとシラキがいたのである。あまりにも静かすぎて忘れかけていた。
「お前……誰が来たって?」
「前見てみろよ」
アロンが視線を向けるとちょうど笑顔のユラと目が合った。
「………っ!」
アロンが慌てて視線をそらしてシラキの腕を引っ張り寄せた。
「お、おい!俺どうすればいい!?」
「自然体でいいんじゃ?そもそもお前があいつを怖がる意味がわからない」
「どう言う意味だよ!」
アロンがさらに焦っているとユラの声が響いてきた。
「アロンさん、ずいぶんとお元気のようですね」
「お、お前か……なんだ」
「あなたがあれほど酷いことをしていたにも関わらず、エルヴィスさんから見離されないなんて、やっぱり彼は優しいですね。アロンさんがそこまで愛されているなんてうらやましいです。わたしはこれまで高等な教育を受けてきたので、何かわからないことがありましたらぜひ聞いてください。これからはエルヴィスさんの妻として一緒に頑張りましょう?」
「おお、貶し&皮肉からのマウントだぜ?何か言い返せ」
「何を言い返せばいいんだよ!」
「そんなのこう言えばーー」
シラキが言い返しを伝授する前に「うるさい!この金魚のフンが!」という声が響いてきた。
パッと見やるとアロンの前に立っていたアロイスが腕組みをしながらユラの前に出た。
「あ、あなた……!」
「いつもネロシカの後ろについて回る金魚のフン風情が人間の真似をするな!高等教育を受けたなら人間とフンの違いをわきまえろ!クソ!」
「な、なっ……なんて!」
ユラが口をパクパクさせていると見かねたネロシカが立ち上がってアロイスの肩を軽く叩いた。
「いくら今日機嫌が悪いといってもそんな下品な言葉遣いはおやめなさい」
ユラは助けが来たことでハッとしてから笑みを浮かべた。
そうだ!今のわたしは市長の婚約者!つまりネロシカが引き入れたい人物になる!アロン、例えあなたにどんな助っ人が来てもわたしには敵わない!
ネロシカが自分の味方になるとわかるとユラは挑発気味な目をアロンに向けた。
暴言を吐いたのはアロイスなのに、なぜこのタイミングでユラが自分を見てくるのかわからず、アロンが不可解そうに眉をしかめているとシラキのおもしろがるような声が聞こえてきた。
「このアロイスはお前と仲がいいんだってな?」
「知っているのか?」
「ああ、このお茶会で粗相をしないようにみっちりと教え込まれたからな。特にこのアロイスという人はご一緒に誘拐されたこともあるとかないとか……」
「あったよ!思い出させんじゃねぇよ!」
「ははは!まあ、助けてくれるなら見ておこう。ネロシカときょうだいなら何かあってもこっちへの飛び火が少なくなる。むしろ油を注いでやってもいい」
アロンはジト目を向けた。
「お前性格悪いよな」
「頭がいいと言え。使いやすい人間を使って反撃させるのは賢い人間のやり方だ。覚えておけ」
「いらねぇよ、そんな知識」
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シラキは楽しまないと、と言うが、アロンは到底楽しめる心境にはなかった。
お茶会の席でネロシカとユラはやけに親しい様子で話し、他のメンバーも各々の話題で花を咲かせている。
黙っているのはアロンとーーアロイスである。
記憶間違いでなければアロイスはネロシカと仲がそれほどよくなかったはず。ならなぜここにいるのか?
しかも来ているにも関わらず先ほどから腕を組んで不機嫌な顔でそっぽを向いている。
やがてユラと話していたネロシカがアロン達の近くに来て座るとにっこりと笑った。
「前回のフェスティバル以来ですね。お元気ですか?」
「俺か?あ、ああ、まあ…元気だ」
アロンのぎごちない態度にもネロシカは笑顔を崩さなかった。ただ、優雅な笑みで「それはよかったです」と返した。その目がアロイスのほうへ向いた。
「アロンさんの近くにお座りになるのでしたらせめてお話しされてはどうですか?お父様に社交性を習ってこい、と言われませんでした?」
アロイスはジロリとした視線をネロシカに投げ、どこかいやそうに口曲げたあと表情とよく合ういやそうな声で言った。
「お前には関係ない。好きで来ているわけじゃないし、話しかけるな。不愉快だ!」
「まあ、こんな人ときょうだいだなんて。さて、アロンさん、こちらに来て一緒にお話ししましょ?」
「俺!?」
行ったとして何を話せばいいのかわからず、アロンが固まっていると、アロイスが立ち上がって背中を向けながら仁王立ちをした。
「アロンは僕と話す!お前は引っ込んでいろ!」
「酷いことを言いますね。私は主催側としてアロンさんを接待することになんのおかしさもありません。アロンさん、今日は場をお借りさせていただいてありがとうございます。とても素敵な温室ですね」
お茶会の場所は庭園にある温室の春エリアである。綺麗に咲き誇った花草と甘やかな香りが漂っており、お茶会の会場としては申し分なかった。
「いや、まあ……俺のじゃないけど」
「そうなんですか?市長さんからはこの庭園の全てはあなたのものだとお聞きしました」
「エルヴィスが?」
アロンはどこか意外そうにしたあと、照れを隠すように口もとを覆った。
「あいつ、テキトーなこと言いやがって……」
「ふふ、愛されてますね」
「………そ、そうか?」
その会話に少し離れて聞いていたユラがぴくりと反応した。そして笑みを作ってアロン達に近づいて来る。
「おっと、あのお嬢ちゃんが参戦しに来たぞ」
「おわっ!」
突然耳もとで響いた声にアロンが驚いた声を出した。
そういえば後ろにずっとシラキがいたのである。あまりにも静かすぎて忘れかけていた。
「お前……誰が来たって?」
「前見てみろよ」
アロンが視線を向けるとちょうど笑顔のユラと目が合った。
「………っ!」
アロンが慌てて視線をそらしてシラキの腕を引っ張り寄せた。
「お、おい!俺どうすればいい!?」
「自然体でいいんじゃ?そもそもお前があいつを怖がる意味がわからない」
「どう言う意味だよ!」
アロンがさらに焦っているとユラの声が響いてきた。
「アロンさん、ずいぶんとお元気のようですね」
「お、お前か……なんだ」
「あなたがあれほど酷いことをしていたにも関わらず、エルヴィスさんから見離されないなんて、やっぱり彼は優しいですね。アロンさんがそこまで愛されているなんてうらやましいです。わたしはこれまで高等な教育を受けてきたので、何かわからないことがありましたらぜひ聞いてください。これからはエルヴィスさんの妻として一緒に頑張りましょう?」
「おお、貶し&皮肉からのマウントだぜ?何か言い返せ」
「何を言い返せばいいんだよ!」
「そんなのこう言えばーー」
シラキが言い返しを伝授する前に「うるさい!この金魚のフンが!」という声が響いてきた。
パッと見やるとアロンの前に立っていたアロイスが腕組みをしながらユラの前に出た。
「あ、あなた……!」
「いつもネロシカの後ろについて回る金魚のフン風情が人間の真似をするな!高等教育を受けたなら人間とフンの違いをわきまえろ!クソ!」
「な、なっ……なんて!」
ユラが口をパクパクさせていると見かねたネロシカが立ち上がってアロイスの肩を軽く叩いた。
「いくら今日機嫌が悪いといってもそんな下品な言葉遣いはおやめなさい」
ユラは助けが来たことでハッとしてから笑みを浮かべた。
そうだ!今のわたしは市長の婚約者!つまりネロシカが引き入れたい人物になる!アロン、例えあなたにどんな助っ人が来てもわたしには敵わない!
ネロシカが自分の味方になるとわかるとユラは挑発気味な目をアロンに向けた。
暴言を吐いたのはアロイスなのに、なぜこのタイミングでユラが自分を見てくるのかわからず、アロンが不可解そうに眉をしかめているとシラキのおもしろがるような声が聞こえてきた。
「このアロイスはお前と仲がいいんだってな?」
「知っているのか?」
「ああ、このお茶会で粗相をしないようにみっちりと教え込まれたからな。特にこのアロイスという人はご一緒に誘拐されたこともあるとかないとか……」
「あったよ!思い出させんじゃねぇよ!」
「ははは!まあ、助けてくれるなら見ておこう。ネロシカときょうだいなら何かあってもこっちへの飛び火が少なくなる。むしろ油を注いでやってもいい」
アロンはジト目を向けた。
「お前性格悪いよな」
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「いらねぇよ、そんな知識」
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