🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第2部『Candidate selection(候補者の選択)』

第11話『Trap Set by the Darkness(漆黒の仕掛けた罠) 』 A Part

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 アマン山中にて勃発ぼっぱつした新たなる争いの火種。

 ルシア・ロットレンは赤髪の女武術家と相まみえる。本来狙いさだめてた嗄れ声の主ダークエルフに届かぬ無念。

 一方、ガロウ・チュウマを待ち受けていた者。ガロウと等しく東洋の刀を背負った男。眼と刀が纏うまとうオーラだけ青みがかった剣客風情ふぜい

 どちらせよすこぶる嚙合いかみあい過ぎる者同士。な運命すら感じる組合せ。最早もはや殺り合うより他なき現状。

「──ガッ!」

 突如とつじょ──いや寧ろむしろ迂闊うかつと言うべきコボルトの介入かいにゅうを赦すガロウ。例え目前の剣士が醸しかもし出す殺気に心とらわれてたとはいえ、玄人くろうとな兵士にしては甘過ぎると言わざるを得ない。

 ズバッ! キンッ!

「な、味方毎!?」
「……失せろ犬が」

 小柄こがらな剣士が瞬時に抜き放った大太刀おおたち。小さいコボルトすら上から叩き斬るには背丈が幾許いくばくか足りぬ。
 無論最上段から振り下ろせば良いだけの話だがされどこの男。
 大太刀の先を地面にわせる下段からの斬り上げ一太刀で、鬱陶うっとうしい犬族コボルトを両断した。

 それだけに留まらず、勢いそのままガロウの胸元まで刃を届ける。ガロウ、抜刀済とはいえ嫌な気分で剣を交えた。

そんその大太刀、桜陽おうひの刀じゃなかんど無いな
「当然だ、島国のが握る刃と同じ括りくくりにするな」

 髭面ガロウが相手の背丈より長い大太刀を指差す。
 大太刀の剣士、喰って掛かる態度が大なりなりこそ小さいが己の出身地のを引き合いに出す。

 ガロウがつばを地面へ一吐き、赤色の刀を両手で握り、頭上迄柄を持ち上げる。交わる武器毎敵を両断する得意の構え。

「最上段『蜻蛉の構えとんぼのかまえ』──貴様、さては示現じげん使いか」

「ハンッ! そいそれはまたわぜっか随分話じゃ。『関ヶ原Battleof除け口SEKIGAHARA』確かに憧っるあこがれるが900年も昔話ぞッ!」

 どちらが先に仕掛けるか?
 暫くしばらく構えたままの姿勢で心中だけの争いを続ける両者。

 示現流じげんりゅう──。
 嘗てかつて桜陽おうひ日本陽出流国と呼ばれていた頃。薩摩さつま地方の地侍じざむらいがこぞって用いた愛した必殺の剣。

 ガロウの剣は似て非なる紛いまがい物だと自ら捨てる。
 一撃必殺こそ同じだが我流を極めるべく研鑽けんさんを重ねた結果、滾るたぎる刃を手中に収めた。

 ガサッ!

「──フンッ!」

 英雄ローダも遂に最初の敵と遭遇そうぐう
 黒い皮鎧を纏うまとうコボルト3人が木陰こかげから姿現す。
 もりを槍の如く突き出し相手の頭を狙い打つ。我ながら力の乗った良い一撃だと推測した。

 ガンッ!

「な、何だと?」

 コボルトが牙を食い縛り銛の突出に対抗。
 きばに真正面から当り弾かれるローダの一撃。歯で鉾先ほこさきを相殺するとは全く以って想定外。

 ──此奴本当にただの犬族コボルト? 狼男ワーウルフの間違いじゃないか?

 想像以上な敵の強靭きょうじんぶりに狼狽うろたえるローダ。兎も角ともかく彼の戦いも火蓋ひぶたを切った。

 ルシア、ガロウ、ローダ。それぞれ取り合えずな相手処が割り当てられた。然し未だ手の空いてる者が居る。それも強力な飛び道具を持ったヴィランだ。

「グヘヘ……貴様等全部ぜ~んぶ俺様の方から見えてんだよなぁ」

 黒過ぎるが独り愉悦ゆえつに浸る。『全部』の意味が怪し過ぎる。敵味方意に介さず全て打ち滅ぼすと言わんばかりな物騒加減ぶっそうかげん

 ズギューンッ!
 ズギューンッ!
 ズギューンッ!

 語りあおったそばから放たれる赤い熱線。ローダ、ルシア、ガロウ──或いあるいは相対する味方の巻き沿いぞいいとわない外道なやり口。

 だがその何れも見えない何かに弾かれ失せる。
 驚き怒りに震える闇の森人ダークエルフ女間違いない、あの修道女シスター風情ふぜい金髪ルシアがとっくに仕掛けた風の精霊に寄る護り。

「ヘッ! ざまあねぇな!」
「飛び道具……弱者らしい」

 味方にさえさげすまれるダークエルフのオットォン。赤髪の女武術家、大太刀の剣士。何れも接近戦のみを良かれとするやから

 ──ケッ! お、俺様がぁ。この俺様だけがマーダ様に盾突たてついたあの女を殺れる! 精々せいぜい今の内に踊ってな!

 オットォン、暫く口を閉じる。彼なりの狙い処が在るのだ。

「おぃ手前テメェッ! 武術家なんだろッ、何だそのなりは!」

「何言ってんだか全然ぜんっぜん判んない。私は託児所の保育士シスターが本業。今日だって貴方達さえ来なければ子供達と遊べていたんだから!」

 バッ!

 黒いヴェールとマントを脱ぎ捨て相手に投げつけるルシア。カチューシャヘアバンドだけ頭に残し白一色の修道服に一瞬で着替えたその様は武道僧モンクさながらといった処。

 その流れで黒タイツを履いた悩ましい脚で踏み込む。敵の動き潰しつぶしに掛かる踏み蹴りストンピング。後退して避けた自分を不覚と感ずる敵の女。

 美麗びれいが過ぎる武道僧モンク。然も語るまでもなく彼女は腕っぷしだけの女性ではない。

「風の精霊達よ、私に自由の翼を」
 ──ローダ闇の住人ダークエルフと相手させる訳にはいかない!

 風音がルシアの金髪を通り抜ける。何者にも劣るおとる気ない落ち着いた凛々しきりりしき声音こわね
 されどルシアの心中決して穏やかでなかった。
 自分の機動力を活かし総てを蹴散けちらす。彼女は増長ぞうちょうし過ぎていた。
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