🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第2部『Candidate selection(候補者の選択)』

第15話『Exciting thoughts(心躍る想い)』 B Part

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 戦いの傷を癒すいやすべくアマンを下山途中のローダ一行。
 合流したジェリド・アルベェラータを含む5名を、鮮明な生配信liveで観ている者が世界に数人存在する脅威きょうい

 ローダ達の上空に昆虫程の大きさしかないドローンを飛ばし、それ経由でモニターを見つめる二人が世界水準の技術力Technologyを欲しいままに残したフォルテザに居を構えている。

「──ローダ君でしたか? まさか女性を救出すべく能力を支配下に置くとはいやはや……これは驚きました」

 金髪金縁きんぶち眼鏡の男性が自身の頭を平手で小突いて認識の甘さを自己指摘しながら苦笑。
 フォルテザを仕切るヴァロウズNo2の学者、ドゥーウェンの反応である。

Masterドゥーウェン、愛とは人を動かす要因の内、最大手に近しいのではありませんか?」

 同じ映像を視聴中、長耳エルフ族の最高位ハイクラス──ハイエルフの女性ベランドナが掛け替えなき笑顔で促すうながす

「愛……愛ですか。私残念ながらその手のに天でうといんですよ」

 愛と報酬を同価値に捉えとらえ苦笑いする学者の浅慮浅知恵。要はなぞ最初ハナから度外視どがいししている。

「ま、兎も角ともかくあの候補者について俄然がぜん興味が湧きました。ベランドナ、貴女の言う通り力の根源こんげん再精査さいせいさしたくなりました」

 ほくそ笑むドゥーウェン。
 主人の発言に笑顔を絶やさぬベランドナの余裕。
 随分気になる物言い加減。ローダ達の敵役かたきやくだけでない裏が在りそうな態度。

「──が、とは言え此処Fortezaを私が死守するのに何ら変更ありませんよ。何しろ気にすべき相手はResistance反乱分子達だけではないのですから。然しはどうなされるつもりやら……」

 これまた怪し過ぎる言い回し。

 敵の所在はアドノス島内部のみに非ずあらず、彼は明確に気安く告げた。
 外から来た存在、興味あれど手放しで味方と判定するには情報が未だ足らないのだ。
 加えて『先生』とは一体誰を指しての意味であろうか。

 ◇◇

 アマンの森からエドナ村付近へ随分戻ったローダ一行。

「大丈夫、もう術の圏外です。此処なら治癒ちゆの奇跡が行使こうし出来ます」

 リイナ・アルベェラータが緩んだ表情で自分が仕掛けた術式の跡地を覗きのぞき見る。「ふぅ……」と溜息ついたのは全身継ぎ接ぎつぎはぎだらけのガロウ・チュウマだ。

 そこら辺の見てくれだけなら彼が斬り裂いたダークエルフに似通ってしまった皮肉。出血こそ止まり掛けたが全身を駆け巡る苦痛は未だ引かない。

 髭面ひげづら侍風情さむらいふぜいをジェリドが優しく地面に置いた。流石に『ガハハッ』と笑い飛ばす放り投げる酷い遊戯ゆうぎをする気はない。

 戦の女神エディウスに仕えし法衣姿のリイナが寝かしたガロウの上でさも意味あり気ないんを切る。僧侶そうりょが死人を葬送そうそうするあわれな儀式に見えなくもない。

戦の女神エディウス神よ、この者にどうぞ貴女様の御慈悲ごじひを。湧き出よ──『生命之泉プリマベラ』」

 印を結んだ右手をガロウの胸元へ静かに置く神の代行者。エディウス神を自分に降ろして代わりに奇跡を行使こうしするリイナ。

 少女の掌から温かな何かが注がれる気分にガロウが浸る。術式の名称通り、命の泉がリイナから滾々こんこんと湧き出す様な錯覚さっかく陥るおちいる

 生命之泉プリマベラとは術を掛けられた当人の生命力を引き出す切欠きっかけに過ぎない。ガロウ全身の細胞達に投げ掛け、分裂の超活性を引き起こす空恐そらおそろしい御業みわざなのだ。

「おおっ!」

 相も変わらず愛想あいそ不足な顔で遠巻きに見ていたローダさえも驚きの声を上げずにおれない。
 致命傷と殆ど同義なガロウの外傷が瞬くまたたく間にふさがるのだ。素面しらふでいられる訳がなかった。

 ──リイナ、生命之泉プリマベラを使ったの? 誰に?

 未だ眠り姫を演じるルシア、例え目を閉じたままでも状況から憶測おくそくするのは如何どうにか熟せる。
 されどガロウが重傷を負ったのは彼女が気絶した後の話だ。

 然し恐らくガロウがそれを受けてる、想像足り得るは在るのだ。何しろ自分を運んだのは紛うまごうことなきローダである。
 ならば自ずおのずと消去法を用いるだけ。今なら自分が不意に起きても誰も大して気にも留めぬ筈。

「……ンッ」

 我ながら白々しい寝起きの声を上げてみた。さも眠たげにゆるりとルシアが目を開いた。

「──ッ!?」


 待ち構えていた様なローダの黒い瞳孔どうこうと視線がかち合う辱めはずかしめ
 然もあろうことか自分が空寝そらねしてたのを見透かしたが如き心の声を伝えた者が『起きたかルシア』とは如何どうにも解せない。

「な、何だか妙にさわががしかったから」

 赤い顔をらしてルシアが嘯くうそぶく
 我が言わがことながら片腹痛い。目覚ましの切欠はそこら中に転がってたのだ。
 抱かれても赤ん坊の様にスヤスヤ寝ていた自分が恥ずかしい事この上ない。

「……」
「え……」

 ひたすらルシアを見つめ続けるローダ固まる。起きたのだから言わずもがな、汲んで読んで欲しい思い空気があるのだ。

「あ、あの……お、降ろして欲しいんですけど」
「あ、嗚呼……済まない」

 文句を伝えようやくローダの呪縛ベッドから解放され両脚で地面に降り立つルシアが何とも気まずい。『有難う』を伝え切れないもどかしさ。

「あ、ルシア御姉様。ようやく御目覚めですね」

 託児所でのに続いて、またもや含み笑いを絶やさず近寄って来た妹分リイナ

 一応気遣いきづかいなのか想い人ローダに聴かれぬよう、ルシアの金髪を手で押し退けのけ小さな声で耳打ちし始める。

「随分気持ち良さそうに寝てましたねぇ……。ローダさん、御姉様を助けるためすっごく凄く頑張ったんですよ。全身ボロボロなのに」

 ──っ!?

 思わず再びローダの方を見やるルシアの驚く様。
 ローダはルシア達を気に留めない感じで完治かんちしたガロウの身体を物珍ものめずしそうな顔で覗きのぞき込むだけ。

「えっ?」
「えっ、じゃないですよ」

 全く以って白々しいしらじらしい態度を押し通すルシアの下手な演技。

 そう……重々じゅうじゅう承知の筈だ。鍵の女ルシアとて薄れ逝きそな意識の中で、決死に動いた候補者ローダを忘れる訳がないのだ。
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