🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

文字の大きさ
100 / 171
第5部『Resonant Fate(響命)』

第46話『A Petal Becoming(和らぎの”華娩”)』 A Part

しおりを挟む
 黒騎士時代のマーダに斬り裂かれたAdoNorthアドノス島の再編。
 言い渡された出立は翌日。人護りし街並みでゆるりとした時、歩めるのは今宵。暫くしばらく壁無き璧外屋外、緊張強いられる旅路が続くのだ。

 若き男女に取って急ぎ過ぎた受胎じゅたい──。
 ルシアは女性の危うき日を敢えて狙ったとはいえ、未だ二人だけの触れ合い望み、既に命住まう器へ注いでも事成すに至らぬ思い無駄を交し合う悦びよろこびちた。

「ヒビキは今頃呆れているかも知れないね」

 互いの指絡ませ合い、同じ床上。再び終えた行為の余韻感じるルシア、彼氏の耳元でささやき注いだ。
 常日頃から繋がったヒビキの声、何も届かなかった思い語る。
 心の思い隠し事出来ぬヒビキは、親同士が臨んだ好意の形につぐんでいた。

『うん、まあ……これじゃ仕方ないよね、アハハッ』

 ヒビキらしいからかいの心根を勝手に汲み取った気分の二人である。

 ギュッ。

「ろ、ローダ?」

「本当に済まなかった。ルシア……君が普通の女の子でない。何となく気付いていたのに」

 珍しき彼氏からの熱き抱擁ほうよう、何も身に付けておらぬ胸いだかれルシア、思わず狼狽えた心音こころね
 途方なき言葉聞かされ一糸まとわぬ躰。彼氏の胸内、事後の煙草が如き艶めかしく|

「さ、流石に気付いてた? 云ってたよね『君はもっと凄い文明を知り往く筈だ』って」

 普通の女の子ではない──。

 それは自分がを語り、精霊達と語れる時点でさらしていた。
 然しそれは別の形、ヒトに在らずな話だ。ルシアが返した夢現ゆめうつつは、Fortezaフォルテザが世界の最先端を凝縮ぎょうしゅくした街並み、初めて覗いた時、ローダが無意識に意識飛ばした台詞だ。

「確信は無かった。だけど君が初めて俺を受け容れた夜、を浴びた思いがした。Fortezaフォルテザ市の街並み。あの時は気が付いたら俺の心が勝手に滑った」

 世界の粋を独占したFortezaフォルテザ、それすら届かぬルシアの本質を肌から滲むもので知った。言葉足らずなローダらしい建前。

「あ、あの時はす、凄く驚いたよ。心のぞかれた気分だった」
「ごめん……」

 ルシア、彼氏の見定め、恋する想い、隠した真実。様々な模様絡み合いみせた当時を振り返る。
 ローダはそんな愛しき彼女の金髪を撫で、誤魔化ごまかし入れた。

「良いの、何物にも代えがたい最高に綺麗な居場所を貴方が教えてくれたのだから」

 こそばゆい、然し尊く他に代えがないルシアの語り。ヒビキも屈託くったくなき笑顔手向けたと身勝手感じ、ほおが涙伝った。絡めた指へ真心込めた。

「ルシア・ロットレン、ヒビキ……。俺の思いが必ず二人を護り抜く、もう決してお前達を置いて独りでかない」

「う、うぅ……ローダッ! や、約束……だ…よ」

 きずな語るローダからの誠意せいい滲む言葉に、ルシアは緑の瞳ゆがませ歓喜の涙、心突き上がるのを最早止める気なかった。互いの気持ち抑え切れず誓いの接吻Kiss、深々と差し入れた。

 三人が揃ってさえいれば、荘厳そうごうんな花咲き乱れる至上の場所に成り得る想い。絡み合い正常な螺旋らせん描き夜の闇へ昇る絵が見えた気持描いて

 ◇◇

 丁度同じ頃合い──。

 扉の候補者、新月の裏側ルイス・ファルムーン。
 鍵の側室フォウ・クワットロと落ち着いた静かなる裏の螺旋をフォルデノ城、新しき王の寝床で描く。

 片足失ったルイスだが、弟ローダが復刻の深き眠りへ誘われた間、とうの昔に総てを取り戻していた。
 エドナ村での争い、ローダに撃たれルシアから炎の精霊帯びた流れ星の蹴り、受けて肩毎つらぬかれたじりきも自力で回復果たしたルイスマーダ驚異の回復力。

 ルイスはフォウへ秘密の片鱗へんりんを明かした。『マーダ時代、異能者から奪った創造の再生』だと。
 鍵の正室に依って拓かれたとおぼしき弟ローダの扉。
 彼と死闘演じた際も結局の処、ルイスはほぼ独り、己の力だけ用い全て成し得た。

 フォウ・クワットロは独り、さびしき想いにすさんだ。
 鍵の演じ手を仰せつかり、金色交えた特別な衣装さえ授かり最早No4でなくQuattuorクワットロ、ルイスのいしづえ成す最上位へのし上がった──そのつもりだった。

 彼女へ与えられた金色の武具。
 これらは人工知性体ナノマシン達を混ぜ込み造った特別な代物。
 使用者が異能開花すれば、武具が意志持ち得たか如く、持ち主の手を離れ仇へちゅう墜とすと聞いた。

 愛しきルイスの、抱かれた4番目が胸内で漆黒しっこくの神を見上げた。

「ルイス様! わ、私は貴方様の御力に未だ至れず。そ、それなのにこうして愛だけ独り占めする愚かしい女……」

 語尾濁しにごし、ルイスの胸内で彼女の体現と云うべき琥珀こはく色の涙流すフォウ無念の生き様。
 フォウ中途半端と云う名前を自ら引き裂き、せめて忠義の濡れた心臓をささげたいが如何様いかようにもならぬ苛立ちいらだち抱えた。

「フォウ! 君ほどの聡明そうめいな女性が一体何をそこ迄取り乱している。君は僕の想い全て、立派に応えているじゃないか?」

 慟哭どうこくするフォウをいつくしみ込めその涙、一滴たりともシーツへ落とさず、自分へ刻み落としたいルイスの優しさ滲み出た。

「で、ですが私はルイス様の鍵に成りたいのです! それが為せれば命さえ投げ打つのにぃ!」

 ルイスの胸を子供が駄々だだこねるが如く叩き悔やむフォウの悲しみ。弟の滾るたぎる刃を模倣コピーする方法で自分達が扉の正候補者と双璧そうへきである事を堂々示した。

 それでもフォウ自身に自覚がないのだ。ルイスの扉を自分が拓いた? 

 自覚無き力をどれだけ開花した処でに落ちない。
 何より、鍵のルシア・正室ロットレンに自分が相対出来るのか、まるで自信がないのだ。影でも構わない、ルイスを昇華させるのは私。望むものは其れそれだけなのだ。

「──ッ!? ンッ、ンッー!」

 フォウ、突如とつじょルージュ奪われ瞳見開く。引き続きへ落ちる接吻せっぷん
 ルイスの優しさ転じた憐れみの具現化と感じ、かえって心荒むすさむ。止めて欲しいがあらがえなき身体の切なさ。
 神なる男との上下逆転、ベッドへそのまま押し付けられた。自らを哀れんだ涙止まらぬむなしさ。

 ──私はルイス様の慰みなぐさみ者へやはり帰るしかないの!?

 我ながら思い上がりはなはだしき──ひと昔前なら、この配置で心満たされた。
 躰触れられるまじわり受け容れながら脳裏に浮かぶ金色の女、鍵の正室。

『フォウ! 言った筈だ。僕が君を鍵へ昇華させると! 君は心の奥から僕を受け容れてくれれば必ず成してみせる!』

 ──ッ! る、ルイス様……。

 声音こわねに非ずな心の声がフォウの魂揺さぶりかけた驚きの至福なるとき。フォウ・クワットロ、改めて野望秘めた男の成るべく心のかせ解いて甘んじ受けた。

 ──堕ちているのは僕の方なんだ。

 フォウへ女の憐み求め続けるルイスの本心。自分が彼女へ己を捧ぐ注ぐ逆位置を感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...