🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第5部『Resonant Fate(響命)』

第62話『FREEDOM(心を自由に)』 B Part

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 英雄ヒーローローダ・ファルムーンと女傑ヒロインルシア・ロットレン、加えて母胎ぼたいに居るヒビキが戦之女神エディウス軍に力を貸したフィスチノ討伐とうばつ劇。

 僧兵フィエロが現界げんかいさせた青のチャクラスロートチャクラ賢士けんしスオーラが再三に渡る復活を遂げ、心之剣クオレスパーダでフィスチノの顔面を刺し貫く壮絶そうぜつな幕切れ。

 然も魔神ラウムの力を借り強固に転じていたフィスチノの弱体化を見事果たしたのは、何とあの修道騎士副長ルッソと云う誰もが驚く余談おまけも付いた。

 ラウムを押さえ込んだのは、ローダとヒビキに依る共闘。
 そしての化け物相手にの活躍みせたルシアの功績こうせきが多大だったとはいえ、ロッギオネの連中が自ら成し得た結実。

 首と脳を貫かれたフィスチノ轟沈ごうちん
 断末魔を上げるいとますらなく、獅子の顔が恐怖にゆがんだ形で絶命した。

「さよならラウム。またの何処かで」

 ローダが白地の布に包んでいた金色の塊が散り逝く最期を迎えた。夜空に金のほたるが舞うのを哀愁あいしゅうただよう気分で葬送みおくるローダ。

 気がつけばかたわらに居た天女姿なるルシアの微笑ほほえみ。
 ローダは彼女に自分の上着を掛け、互いに穏やかな顔で苦労をたたえた。

 ルシアが命の器をさすり「ヒビキもお疲れ様」優しみ込めて声を掛けた母性の幸せに浸り切るのだ。

「──ローダッ!」
「ルシア様ぁ!」

 家族水入らずの処、さわがしくも心地好い若者達が駆け寄る。

 ローダの両手を痛い位につかみ上下へ振るフィエロ、感激の涙散らした。

 ボソリッと通常営業な文句「俺はお前の先輩じゃない」愛想あいそを再び捨てたローダの返事。嬉しくもどんな表情が適切なのか判らぬのだ。

 ルシアの目前、片膝立て祈りをささぐスオーラ。「ルシア様! リイナの手紙通りまるで桜陽旧日本巫女みこ様みたいに綺麗で、何しろ強くて感動しました!」と興奮あらわにまくし立てた。

 これには大層困り果て腰引けるルシア。「巫女様ァ!?」彼女の妹分リイナは、またもや在らぬうわさらしていた。

 ルシアの白地に赤をあしらった戦装束。確かに巫女を連想させるが、彼女自身が巫女を知らぬので如何どうにもならないのだ。

「処でスオーラ、君はどうして動ける?」

 ローダから素朴そぼくな投げ掛け。
 死のふち彷徨さまよ生還せいかん果たしたとはいえ、倒れる以前より能力増したスオーラに対する不思議を感ずる必然。

「あっ……嗚呼、ど、どうしてでしょう? そ、それが…わ、私にも良く判んなくって」

 極々当たり前なローダの質問。
 やけに狼狽うろたえ緑色の髪をいじり何故か苦笑にがわらいの顔をそむけたスオーラ。
 止せばいいのに答えを迂闊うかつにも紫の瞳を流した。

 トンッ。

 ──ンっ?

 少し強めに隣からひじで突かれたローダが怪訝けげんな顔色。
 わずかにほおふくらませたルシアと視線を絡め首をかしげた。

 この男、命幾許いくばくもなかったスオーラの心をさせる為、フィエロから愛のチカラハートチャクラ

 その創造性たるや、ルシアは痛く感動を覚えた。
 欠けたスオーラの魂は18年間の内、最もに違いないのだ。何しろ彼女の御霊みたまを恋がれたフィエロがおぎなった。

 初めてローダとひとつに成れた幸福過去へ想いせ、ルシア思わず独り黄昏たそがれ

「と、兎に角とにかく二人共お疲れ様。アナタ達の方が余程凄かったよ。──嗚呼、それにしても血と泥まみれね。可愛い顔が台無しじゃない」

 フィエロとスオーラの肩を緩やかに叩きねぎいの笑顔をルシアが手向たむける。少し大人な女性の品格にじむ仕草に二人の若者がたまらず火照ほてる。

「あ、シャワーじゃないですが一応湯浴みなら出来ますよ。ルシア様とローダ様も随分すすけていますし、一緒に行きますか?」

 スオーラの提案を耳にしたルシアの歓喜爆発、緑の瞳をきらめかせスオーラの両手を強く握り締めた。

「ええッ! お、御風呂在るのォッ!」

 目をうるませたルシアにスオーラ、これは口を滑らせたと正直うつむくが「行きましょう! 今直ぐ!」悠々自適ゆうゆうじてきにルシアがスオーラをあおる。

 例の避難所を兼ねた地下施設にルシア達を案内せざるを得なくなったスオーラ。
 確かに風呂場が存在した。6人ほどならまとめて入浴出来そうな湯船。

 されど所詮しょせんは避難所、男女を仕切ってない簡易的な物だ。申し訳程度なカーテンだけ、脱衣所もない。
 ルッソが英雄達に気を利かせたらしく、不幸中の幸いと云うべきなのか。他の利用客は遠慮させた。

 早い話がローダ、ルシア、スオーラ、フィエロ。4人の男女だけで入浴する事流ことながれ。
 ルシア、心僅かに引いたが目前の天国Paradise
 また、これも幸い。全身をおおい隠せるタオルは用意が在った。

 金髪の女神が腹をくくり、サッサと脱ぎ捨てタオルにその身をあずける。
 スオーラもルシアに従う。何せ血塗れ、泥まみれの賢士けんしだ。一刻も早く身体を清めたい気分は他の誰にも負ける気ない。

 女性陣二人、男共に先んじて「嗚呼…」「最ッ高…」と天国湯舟にその身を浸し始める。
 男と云うのはこんな時、開き直りに時間がかかるのもの。

 女風呂をのぞこうとするたわむれにきょうじる割、『いざかん』何故か足がすくむのだ。

「何やってるのよ、早くいらっしゃい」

 湯煙の中から木霊こだまするルシアの酷くな連れ出し。
 未来の夫、軽く頭を抱えた。

「ふぃ、フィエロ…だ、大丈夫。タオル巻いてるし……ね」

 正反対──。
 何とも清らかで羞恥しゅうち上擦うわずる声も混じえたスオーラの純ないざない。けれども往かねば男がすた雰囲気ふんいきかもし出す。

 地球上に於ける人間の性別アダムとイブ、女性達は甘い果実を取りへ先に出掛けた。男共も往かねば片手落ちと云うもの。

 ──ええいッ!

 此処は若さに先を往かれた。
 フィエロ、バシンッ! とタオルを巻いていざ楽園へ、湯煙の中に消え失せた。

 湯気──否、心が直視出来ないローダ。「フィエロ、うっわ。きたえてるのねぇ。すっごい身体」「お疲れ様フィエロ、きょ、今日は本当にありがと」女性イブ達の甘いささやき。

「──入るか」

 独り何だか馬鹿々々しくなってきた英雄の座、天を仰ぎポツリッとつぶやく。
 いそいそと騎士見習いの正装を脱ぎ捨てたローダがゆるりと湯煙の中に吸い込まれた。

 湯気が為した
 ローダが湯舟に向かった時、既に若い二人は違う個室へ別れていた。

 ギュッ。

「──ッ!?」
「遅いよ、

 タオル越しとはいえ、背後からよもやななる不意打ち。未来の妻に背中から抱かれ、耳元で温かな愛ささやかれ心が回った。

 もうひとつの個室では、スオーラがねぎらいの意味も込めフィエロの背中を流していた。
 姐御ルシアの遊び心が跳ねる程、確かにフィエロの背中は雄々おおしくスオーラの心に映えた。

 トクンッ……。
 心音しんおんが跳ね、自らの鼓膜こまく揺さ振る。

 ──私は今夜、この人から命を譲り受けた。

 最早如何どうにもならないスオーラの焦がれ。心の欠片を貰った今、二人は既にひとつなのだ。

「スオーラ、今日は御陰おかげで人間を捨てずに済んだ。ありがとう」

 ──えっ?

 自分が今から御礼を返そうと心決めた矢先、出鼻くじかれ、心大いに揺さぶられる。

 顔を向けず、背中で語るフィエロ。それは恥ずかしくて顔向け出来ぬ訳に在らず。
 漢らしさあふれた仕草。スオーラ、我慢出来ない想いつのり過ぎた。

「ふぃ…フィエロ、を守りたい。此方を向いて……御願い」

 かすかに震えたフィエロの肩。
 なれどフィエロ、静かにゆっくりと火傷のあとにじむ人懐っこい笑顔を彼女へ向けた。

 紫色の瞳──けれどこの人の前で品格紫色なんかむしろ捨てたい。
 スオーラがゆっくり瞳を閉じて、そのときを待ち焦がれる。

 武骨ぶこつだがなごやかなるもの、重なるのを感じ取れ、打ち寄せる幸福に涙こぼれた。
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