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第10部 壊れゆく過去・辿るべき未来
機体解説その②『EL97_LST エル・ガレスタ』
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──連合軍初の正式採用人型汎用兵器。型式番号EL97_LSTについて──
元・連合軍特殊空挺第一小隊所属『マリアンダ・デラロサ少尉』の乗機。機体色は白一色。
エル・ガレスタという名称はマリアンダの隊長であるアル・ガ・デラロサが勝手に付けた愛称である。
型式のELとLST、またマリアンダの旧姓:アルケスタの語呂と名付け親で後に夫となるアル・ガ・デラロサの語呂の掛け合わせだ。適当な割に中々のセンスが光る。
型式 EL97_LST
全高 11.97m(8m※1)
乾燥重量 5480kg
動力方式 電気モーター
搭乗人員数 1名
内蔵兵装 無し※2
※1頭部格納と脚部を曲げた状態
※2両腕に内蔵しているアンカー付きワイヤー有
──EL97_LST 共通の特徴──
初の試みであったED01-Rは試作機という言い訳こそあるが、ローコストを重視し過ぎて失敗に終わった。だが巨大人型兵器による他を圧倒するプロパガンダ的発想意識は根強く残る。
そこで今度こそ連合の威信を賭けた成功作とすべく、実に9700枚もの設計図とCGシミュレーターの結果、誕生したのがこの機体である。
ED01-Rの失敗は勿論教訓としており暴発の可能性を考慮し内燃機関と内部兵装を破棄。内部兵装は両手首の付け根から射出出来るアンカー付きワイヤーのみ。武器は手で握るか、何時でもパージ出来る物を装着する方式とした。
然し巨大な超電磁砲を握っても機体動作を保持する為、肥大化はどうにも避けられない課題として残る。この機体はあくまで空挺運用でなければ存在意義を失う。
そこで輸送時のみ頭部を半分程、機体胸部内に格納し、膝を折り曲げることでどうにか輸送可能とした。
またハイブリッド方式を破棄した為、内蔵バッテリー増加が必須となる。EL97のやたら張り出した大きな肩や脚部には、装甲板付きでパージ可能のバッテリーが内包してあるのだ。
此処でまた設計者の頭を大いに悩ませるのが人型兵器に於ける最大の泣き処、オートバランス機構だ。自分の駆動で歩く、走るを再現しようとしたED01-Rの思想を大きく転換。
基本移動動作をホバリングとした。機械を走らせるのでなく滑らすことで、機動性向上と、オートバランス機構に余り頼らない理想的人型が誕生したのだ。
また全身の至る箇所に小型ブースターを内包しており、地上落下中でも機体位置の微調整すら可能としている。
これだけ多くの機構を盛り込んだ為、当然コストが跳ね上がると思いきや、肝心な駆動系などは、これまでのモーター式兵器から流用しているので結果、量産に踏み切れた。
この方針転換は結果大成功を収め、空挺部隊に限らず各軍事拠点にも最適化されたEL97が配備されてゆく。その一部を以下の2例で紹介する。
──EL97_LST ファウナ姉専用機&親衛隊機の特徴──
頭部肩部などの関節部装甲を外し駆動用ワイヤー類が剥き出しと化している。またバッテリーも大幅に減らした。これで5480kg→4490kgの軽量化。
何故装甲を無視した思い切った軽量化に漕ぎ着けたのか?
これはファウナ姉から魔法による支援を受けられることを前提。攻撃を受けるのではなく避けることで対処するのだ。また隊長を任せられた彼女の趣味でもある。
ワイヤー類が剝き出しとなったことで、まるで血管や髪の毛を思わせる容姿へ変貌を遂げた。本物の巨神と生物を思わせる。神憑り感が寄り増した。
ファウナ・デル・フォレスタ姉の搭乗機は如何にも隊長機を思わせる金色。これを守護する親衛隊10機は赤い機体色だ。基本構造は隊長機も親衛隊機も同じである。
左腕側部に脱着可能で小振りな超電磁砲を装備。
当然機体から電力供給を受けなければならないが、軽量化によりバッテリーを削減している。
その代替えとして背中に太陽光パネルを敷き詰めた機体が5体。右腕側面に装着した細長く真ん中付近が120℃程折れ曲がったシールドに、やはり太陽光パネルを敷き詰めた機体が同じ数存在する。
尤もこの機体群、己の機体性能に頼るのでなく、ファウナ姉による魔法補助で多大な戦果を挙げられる。
重力を無視した呪文『重力解放』で飛行可能。ファウナ姉に至っては超電磁砲の銃口から『輝きの刃』を突き出す。
ファウナ姉のみ特筆すべき点は『蜘蛛の糸』をEL97の電子回路に直接繋ぎ、思考のみで運用できる点だ。
現時点で最強の人型兵器部隊と言って過言ではないだろう。
──EL97_LST キングハリド基地仕様の特徴──
サウジアラビアの超巨大軍事都市『キング・ハリド』の守備を担っている機体。攻勢ではなく守備に重きを置いた改修を施してある。自軍を守る為には自爆すらも厭わない。
初代EL97と異なる点──。
各装甲板を薄くし、ホバリング機構をより強化。機体色は薄茶系の迷彩色。砂粒を機体に入れぬ様、万全を喫した言わばEL97砂漠極地仕様である(5480kg→5070kgの軽量化)
機体が重くなるのを避けるべく、超電磁砲の様な兵装は排除。電熱によるヒートソードを主兵装としている。
砂漠という頼りない地盤へ敵が踏み込んだ処へ、強化したホバリング移動による一撃離脱を勘定に入れた。そのスタンスは決して間違っていない。
然しながらファウナ姉率いる魔導を駆使したEL97式に圧倒された。ヒートソードを突き立てる前に超電磁砲に撃たれ、装甲が薄いのも災いし大破する散々たる戦績を残した。
元・連合軍特殊空挺第一小隊所属『マリアンダ・デラロサ少尉』の乗機。機体色は白一色。
エル・ガレスタという名称はマリアンダの隊長であるアル・ガ・デラロサが勝手に付けた愛称である。
型式のELとLST、またマリアンダの旧姓:アルケスタの語呂と名付け親で後に夫となるアル・ガ・デラロサの語呂の掛け合わせだ。適当な割に中々のセンスが光る。
型式 EL97_LST
全高 11.97m(8m※1)
乾燥重量 5480kg
動力方式 電気モーター
搭乗人員数 1名
内蔵兵装 無し※2
※1頭部格納と脚部を曲げた状態
※2両腕に内蔵しているアンカー付きワイヤー有
──EL97_LST 共通の特徴──
初の試みであったED01-Rは試作機という言い訳こそあるが、ローコストを重視し過ぎて失敗に終わった。だが巨大人型兵器による他を圧倒するプロパガンダ的発想意識は根強く残る。
そこで今度こそ連合の威信を賭けた成功作とすべく、実に9700枚もの設計図とCGシミュレーターの結果、誕生したのがこの機体である。
ED01-Rの失敗は勿論教訓としており暴発の可能性を考慮し内燃機関と内部兵装を破棄。内部兵装は両手首の付け根から射出出来るアンカー付きワイヤーのみ。武器は手で握るか、何時でもパージ出来る物を装着する方式とした。
然し巨大な超電磁砲を握っても機体動作を保持する為、肥大化はどうにも避けられない課題として残る。この機体はあくまで空挺運用でなければ存在意義を失う。
そこで輸送時のみ頭部を半分程、機体胸部内に格納し、膝を折り曲げることでどうにか輸送可能とした。
またハイブリッド方式を破棄した為、内蔵バッテリー増加が必須となる。EL97のやたら張り出した大きな肩や脚部には、装甲板付きでパージ可能のバッテリーが内包してあるのだ。
此処でまた設計者の頭を大いに悩ませるのが人型兵器に於ける最大の泣き処、オートバランス機構だ。自分の駆動で歩く、走るを再現しようとしたED01-Rの思想を大きく転換。
基本移動動作をホバリングとした。機械を走らせるのでなく滑らすことで、機動性向上と、オートバランス機構に余り頼らない理想的人型が誕生したのだ。
また全身の至る箇所に小型ブースターを内包しており、地上落下中でも機体位置の微調整すら可能としている。
これだけ多くの機構を盛り込んだ為、当然コストが跳ね上がると思いきや、肝心な駆動系などは、これまでのモーター式兵器から流用しているので結果、量産に踏み切れた。
この方針転換は結果大成功を収め、空挺部隊に限らず各軍事拠点にも最適化されたEL97が配備されてゆく。その一部を以下の2例で紹介する。
──EL97_LST ファウナ姉専用機&親衛隊機の特徴──
頭部肩部などの関節部装甲を外し駆動用ワイヤー類が剥き出しと化している。またバッテリーも大幅に減らした。これで5480kg→4490kgの軽量化。
何故装甲を無視した思い切った軽量化に漕ぎ着けたのか?
これはファウナ姉から魔法による支援を受けられることを前提。攻撃を受けるのではなく避けることで対処するのだ。また隊長を任せられた彼女の趣味でもある。
ワイヤー類が剝き出しとなったことで、まるで血管や髪の毛を思わせる容姿へ変貌を遂げた。本物の巨神と生物を思わせる。神憑り感が寄り増した。
ファウナ・デル・フォレスタ姉の搭乗機は如何にも隊長機を思わせる金色。これを守護する親衛隊10機は赤い機体色だ。基本構造は隊長機も親衛隊機も同じである。
左腕側部に脱着可能で小振りな超電磁砲を装備。
当然機体から電力供給を受けなければならないが、軽量化によりバッテリーを削減している。
その代替えとして背中に太陽光パネルを敷き詰めた機体が5体。右腕側面に装着した細長く真ん中付近が120℃程折れ曲がったシールドに、やはり太陽光パネルを敷き詰めた機体が同じ数存在する。
尤もこの機体群、己の機体性能に頼るのでなく、ファウナ姉による魔法補助で多大な戦果を挙げられる。
重力を無視した呪文『重力解放』で飛行可能。ファウナ姉に至っては超電磁砲の銃口から『輝きの刃』を突き出す。
ファウナ姉のみ特筆すべき点は『蜘蛛の糸』をEL97の電子回路に直接繋ぎ、思考のみで運用できる点だ。
現時点で最強の人型兵器部隊と言って過言ではないだろう。
──EL97_LST キングハリド基地仕様の特徴──
サウジアラビアの超巨大軍事都市『キング・ハリド』の守備を担っている機体。攻勢ではなく守備に重きを置いた改修を施してある。自軍を守る為には自爆すらも厭わない。
初代EL97と異なる点──。
各装甲板を薄くし、ホバリング機構をより強化。機体色は薄茶系の迷彩色。砂粒を機体に入れぬ様、万全を喫した言わばEL97砂漠極地仕様である(5480kg→5070kgの軽量化)
機体が重くなるのを避けるべく、超電磁砲の様な兵装は排除。電熱によるヒートソードを主兵装としている。
砂漠という頼りない地盤へ敵が踏み込んだ処へ、強化したホバリング移動による一撃離脱を勘定に入れた。そのスタンスは決して間違っていない。
然しながらファウナ姉率いる魔導を駆使したEL97式に圧倒された。ヒートソードを突き立てる前に超電磁砲に撃たれ、装甲が薄いのも災いし大破する散々たる戦績を残した。
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