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   第三章  勇者パーティの没落

  6  勇者ガイルの証言

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 フバイ帝国は二つの王国を皇帝が統治する国家だ。
 勢力図で言うと、エルドラド、フルールの順になっている。わたしの母国であるフルールをまず攻めいった魔王軍は、戦略的には理にかなっている。それは、シンプルに……。

 まず、弱い王国から確実に滅ぼしていく。

 という兵法に通じている。
 それでもフルール国は軍事力では弱いが、個人の戦闘力で言ったら、勇者アフロ様の右にでる者はいない。他の勇者様よりも郡を抜いて“強い”のだ。したがって、わたしもアーニャさんもミルクちゃんも、アフロ様とともにパーティを組んでいるわけだが……。

 はぁ……わたしは最近、心配でたまらない。

 ラクトくん、いまごろ何をしているのだろう。
 ああ、なんでいなくなったとたんに、気になってしまうの?
 こんな気持ち、生まれて初めて……。
 そんな惑いと憂いを引きずりながら歩くわたしは、宮殿からでるとき、他の勇者様から声をかけられているアフロ様を見かけた。
 
「おーい! アフロ~」

 なんて言って手を振りながら走ってくる可憐な少女。いや、少年か。
 彼はエルドラドの勇者であるガイル様。
 見た目は、紫色したゆるふわのボブヘアにバイオレットの瞳。笑った顔なんか美少女のように可愛いが、圧倒的なスピードと瞬殺的な風魔法で敵を倒す戦闘スタイルは鮮やかである、と評判だ。仲間にしているパーティの面子もバランスがよく取れていた。
 
 敵の攻撃を引き受けるディフェンダーの戦士。
 みんなの傷を癒すヒーラーの僧侶。
 敵を弱体化、または味方を強化する魔法使い。
 攻撃魔法を担当する魔法使い。
 
 そのように構成され、しかも性別はみな男であるのも特徴だ。
 あ……。
 そう言えば、他にも男ばかりの勇者パーティがあったはずだが、今日はいないみたい。何かあったのだろうか? 大きい勇者に髭の生えた僧侶、それと太った戦士というメンバー構成だったような……。
 首を振って探しているわたしの隣で、ミルクちゃんとアーニャさんは、ガイル様のパーティの男性たちと交流を深めていた。アフロ様以外の異性と話す機会はほとんでないので、若干緊張していた二人だったが、しばらくすると、満更でもなく冒険の話に花を咲かせている。
 一方、アフロ様は右手を軽く掲げ、「おお!」と言ってガイル様に挨拶をしている。彼とは帝都で勇者として活躍するようになってから知り合った友達でありライバルなことを、私はよく知っている。
 
「よっ、ガイル! おまえは相変わらず可愛いな。本当に男か?」
「ん? やだなぁ、アフロ……あっちで確認しちゃう?」
「ちょっ、無理だ。俺はそういう趣味はない」
「うふふ……あ、そんなことよりフルール大変だな」
「ああ、西の砦は屈強な戦士たちで堅固なはずなのに……」
「たしかにねぇ……あっ! そう言えば、風の噂だけど」
「ん? なんだぁガイル?」
「デカブツの勇者いたよね、知ってるだろアフロ?」
「ああ、あのキングトロルみたいなやつだろ? そいつがどうした」

 死んだらしい、とガイル様は低い声で言った。

(え? あの大きな勇者様……亡くなったの?)







 


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  ここまで読んで頂きありがとうございます。
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  などなど、どんな内容でもかまいません。
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