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第1章 ファミレスの陰
第1話 最初の火種
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美香ちゃんとカフェでお茶した帰り道、私はひとりで駅に向かって歩いていた。
夕方の風が少しだけ冷たくて、さっきの会話がまだ胸の中に残っている。
「また、閉店なんだって。」
何気なく、美香ちゃんがそう言っただけなのに、私の中で“何か”がざわりと動いた。
私がバイトしていた店が、また一つ、無くなった。
それだけのことなのに、毎回、心の奥がひっそりと痛む。
「ねぇ秋ちゃん、もしかしてさ……あんた、“場所を浄化”する体質とかなんじゃない?」
笑いながらそう言った美香ちゃんの言葉が、なぜか頭から離れない。
きっと冗談だったんだと思う。
だけど私は、その冗談に笑えなかった。
私のせいじゃない。偶然だよ。
そう言い聞かせてきたけど、何度も何度も繰り返されるうちに、心の奥に染みついた疑問は、もう見て見ぬふりができなくなっていた。
思い返す——
あれは、私が高校一年生の春。
初めてのアルバイト先だった。
***
最寄り駅から徒歩10分のファミレス。
小さくて古くて、学生バイトが多いわけでもなくて、なんとなく人が定着していないような店だった。
でも、家から近かったし、時給もちょっとだけ良かった。
それだけの理由で、私はそこに応募した。
面接はあっさり通って、制服を渡されて、その翌週には初出勤。
バイトデビューにしては緊張よりも「やっとお金が稼げる」って期待のほうが大きかった。
だけど、それは出勤初日の厨房で、すぐに裏切られることになる。
「なに、遅っそ……使えねぇな」
——まだ何も教わってないのに。
先輩らしき男が、料理皿をカウンターに叩きつけるように置いて、私にだけ聞こえる声で呟いた。
その瞬間、胃の奥がキュッと縮まるような感覚がした。
店内に流れる空気が、何か変だった。
誰かが怒鳴れば、誰かが黙る。
声をかければ、返事がない。
笑い声ひとつ、聞こえない。
まるでそこに「居てはいけない空気」が漂っていた。
私はまだ、そこに“浄化”なんて言葉が関係しているとは思っていなかった。
ただ、そういう職場もあるんだって、自分に言い聞かせていた。
けれどあの時の私は、まだ気づいていなかった。
あの空気の重たさも、誰かの視線も、静かすぎる店内も——
全部、始まりだったってことに。
夕方の風が少しだけ冷たくて、さっきの会話がまだ胸の中に残っている。
「また、閉店なんだって。」
何気なく、美香ちゃんがそう言っただけなのに、私の中で“何か”がざわりと動いた。
私がバイトしていた店が、また一つ、無くなった。
それだけのことなのに、毎回、心の奥がひっそりと痛む。
「ねぇ秋ちゃん、もしかしてさ……あんた、“場所を浄化”する体質とかなんじゃない?」
笑いながらそう言った美香ちゃんの言葉が、なぜか頭から離れない。
きっと冗談だったんだと思う。
だけど私は、その冗談に笑えなかった。
私のせいじゃない。偶然だよ。
そう言い聞かせてきたけど、何度も何度も繰り返されるうちに、心の奥に染みついた疑問は、もう見て見ぬふりができなくなっていた。
思い返す——
あれは、私が高校一年生の春。
初めてのアルバイト先だった。
***
最寄り駅から徒歩10分のファミレス。
小さくて古くて、学生バイトが多いわけでもなくて、なんとなく人が定着していないような店だった。
でも、家から近かったし、時給もちょっとだけ良かった。
それだけの理由で、私はそこに応募した。
面接はあっさり通って、制服を渡されて、その翌週には初出勤。
バイトデビューにしては緊張よりも「やっとお金が稼げる」って期待のほうが大きかった。
だけど、それは出勤初日の厨房で、すぐに裏切られることになる。
「なに、遅っそ……使えねぇな」
——まだ何も教わってないのに。
先輩らしき男が、料理皿をカウンターに叩きつけるように置いて、私にだけ聞こえる声で呟いた。
その瞬間、胃の奥がキュッと縮まるような感覚がした。
店内に流れる空気が、何か変だった。
誰かが怒鳴れば、誰かが黙る。
声をかければ、返事がない。
笑い声ひとつ、聞こえない。
まるでそこに「居てはいけない空気」が漂っていた。
私はまだ、そこに“浄化”なんて言葉が関係しているとは思っていなかった。
ただ、そういう職場もあるんだって、自分に言い聞かせていた。
けれどあの時の私は、まだ気づいていなかった。
あの空気の重たさも、誰かの視線も、静かすぎる店内も——
全部、始まりだったってことに。
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