新月を追って

響 あうる

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第1章

【12話】終わらない悪夢※(複数)

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「うわーやらしーこれ保存」
「後で送れよ」
「分かってるって」
「俺にもくれよ」

 上岡が拗ねるような声でねだったときのことだった。


―――バタンッ

 突然の音に全員の視線はドアに注がれた。ドアには耳をヘッドフォンで塞いだ依月が呆然と立ち尽くしていた。


「あっや…見るなっ」

 大きく声を上げて顔を背ける敦志。ゆっくり、けれど突き上げをやめない外村の責めに甘い声が漏れてしまう。
 その光景にしばし唖然としていた依月は我に返ると一目散にドアから出て逃げていく。


「あいつっ…待て!」

 笹山がその後を全速力で追っていく。依月が戻らないことを願っていた敦志だったが、まもなく願いは打ち砕かれ、ドアが開くと笹山が依月を引きずるようにして連れてきた。


「どうする?」
「見られちゃったしな」
「お前、一年のなんだっけ?」
「い、依月です。工藤依月…」
「名前も女みてぇだが顔もなかなか…」

 笹山はくいっと依月の顔を持ち上げて品定めでもするように唇の端を釣り上げる。


「ちょっ笹山さんヤる気じゃね?」
「やべぇー…」

 そんな時にそんなささやきが聞こえてきたものだから


「やめろっ! 工藤…は関係ない…はず、だろっ」
「おーおー…誰に向かってそういう口を利いてんだ?」
「……なん、で…も…する、から」

 忘れものをしたのだろう、ただこの場に戻ってきてしまっただけなのに、そんな無関係で何も知らない依月に受け入れさせるのはあまりにも過酷なことだ。 



「なんでもする、ねぇ」

 笹山の飽きれたような呟きに目を向けると、上から下へ舐めまわすように見てきて敦志は思わず目を逸らす


「もう1巡すっか?」
「あ!なっに…」

 途端にグッと突き上げられ、何も考えられなくなった敦志の腰を引き寄せ、仰け反った首筋を舐めながら外村が笹山を睨んでくる。


「…ってのは冗談だけど」

  何も言わないが、まるで渡さないとでも言うような外村の眼差しに笹山は慌てて目を逸らした。
 笹山が否を口にすると興味をなくしたのか、外村は目を閉じて敦志の首筋や耳元に唇で触れていく


「あっぁ!ん、…は」
「ったく、俺も…もっとヤリてぇっーの」

 嗚呼、もうっと行き場のないフラストレーションで叫んだあと、笹山はガシガシと頭をかいて、はぁっとため息を吐いた。
 外村は自分が最後に抱くことにこだわっているようだった。どんなに喚いたところで、今日はもう敦志を抱く事はできないだろう。
 敦志に止められなければ、依月をヤッても良かっただろうに。


「…依月には何もしねぇ…その代わり、ここに座れ」
「やっ、いやだ!っあ…」

 と笹山は依月を敦志たちの真ん前に座らせた。外村と繋がった部分がよく見えるその場所に座らせたのだ。敦志の頬が怒りや羞恥に赤く染まる。再び始まった外村の突き上げとそれに伴う卑猥な音に敦志はただいやいやと首を横に振った。
 依月は頬を赤らめ俯いていたが、興味に勝てなかったのか時折視線をあげ、敦志の痴態を眺めた。


「あっはっ…あ、ぁ…」

 もはや敦志の陰茎は完全に勃起していたが、縛られていることで開放されず、ただただ汁を涙のように流していた。 


「イキたいのか」

 ため息のような吐息を外村に耳元で囁かれ、敦志の身体はぴくりと反応してしまう。それを見た外村は突然、依月に視線を向けこんなことを言い出した。


「依月、中西を気持ちよくしてやって」

 その言葉に依月は戸惑った。全く経験も知識もないのに突然、フルスロットルに振り切られてしまったのだ。理解が追いつかない。しかし既にはち切れんばかりに主張した敦志の陰茎は物欲しげに揺れている


「依月、手扱きしてやれよ」

 後ろから笹山がククッと笑った。依月は想像したのか、ゴクッと喉を鳴らし、意を決したようにゆっくりと敦志の陰茎に手を伸ばした。


「くっ…!?や…やめろっ」 

 陰茎を手に掴むと依月は、感じた事のない熱に目を細め、先端の割れ目を親指の腹で何度も擦ってやった。


「あっ…あぁ、は、ぁ…ん…んぅ…」

 陰茎への刺激に抑えきれなくなった敦志はガクガクと自分で腰を振り始めた。もはや外村が突いてやらなくても良いくらいだった。


「あ、あ、ぁ…おね…がっもぉ…」
「ネクタイ解いてやれ依月」
「あっあああぁっ…」

 再び依月は笹山に言われるままに敦志の陰茎を縛り付けるネクタイを解いた。瞬間、敦志は精液を放って意識を手放してしまった。白い粘液が敦志の腹を濡らし垂れていく。
 白いシャツから覗く、日に焼けた肌が白濁に穢れる様は見る者全ての欲望を掻き立てた。
 外村が体位を変えて敦志をベンチに横たえさせ、再び挿入して突き上げる。


「…ったく」

―――お前が1番、盛ってんじゃねーか


 笹山はボソッと呟いたきり、後に続く言葉は飲み込んだ。そう、なんとなく外村に逆らえないのだ。それにこんな事をしようと言い出したのも外村だった。
 依月は驚いていたが我に返ると、意識のないまま外村に揺さぶられている敦志の半開きの唇を眺めていた 。
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