新月を追って

響 あうる

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第1章

【17話】絶望の予感※(複数)

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 その日、敦志はいつものように昼休みを告げるチャイムと同時に教室を飛び出した。
 いつものように廊下ですでに佇んでいる依月がいて、すれ違おうとすると、その日は名前を呼ばれ、腕をつかまれた。そんなこと今までなかったから敦志は驚いて依月を見つめ返した

 二人の横をたくさんの生徒が通り過ぎていく。二人だけ静止ボタンを押されたようにしばらく見つめ合っていた。


「な…に?工藤」
「話があるんだ」
「今?後でじゃダメ?」

 敦志はチラリと通り過ぎていく生徒の背中を見た。早く行かないとパンが売り切れてしまう。


「悪い、今じゃなきゃダメなんだ」

 敦志はパンをあきらめ、依月の話を聞こうという姿勢になった。
 あまり話したことはなかったが同じ部活の同学年だ。あんなことはあったが、まだ信じていた。


「話ってなに?」
「…ここじゃなんだから…ついてきて」

 言われるままに前を歩く、依月の後をついていく。教室のある棟を離れ昼間人気の少ない体育館の方へ歩いていく依月。
 妙な不安に襲われたが敦志は依月は笹山たちとは違うと自分に言い聞かせた。
 あまり使われていない第2体育館へ足を踏み入れ、それでも歩みを止めようとしない依月にさすがに敦志は口を開く


「どこまで行くんだ?」
「もう少しだよ」
「ここじゃダメなの?」 

 体育館は古く、誰もいない。誰かに聞かれてまずい話だとしてもここなら誰にも聞かれる心配はない。
 これ以上奥に行ってもしょうがないじゃないかと思いながら尋ねると振り返って依月は


「ここがいいの?」

と尋ねた。
 出来れば、と思ったが返事をする前に依月は体育館の奥の扉の前に来ていた。
 そこは倉庫だった。体育の時に使う用具があるところで、普段は第1体育館で体育を行い、滅多にこちらに来ないため入ったことはないが想像はついた。
 振り返り手招きする依月に躊躇う敦志。立ち止まっていると依月が戻ってきて敦志の手を引いて扉の目の前まで連れて行った。


「入って」

 そういう依月に不安げに顔を向けるが事態は変わりそうもなく、敦志は錆びかけた重い扉を開いて中に入った。 
 中は長年の雨風で汚れた小さな窓から僅かに光が入ってきているだけで薄暗く、なんの匂いかわからないが空気が篭っている感じだった。
 足を踏み入れ、何か蠢くものを視界に捉え敦志は足を止めた。


―――なにか居た気がしたんだけど…

 隈なく室内に視線を向けていると突然高く積んだ跳び箱の影から人が出てきた。その姿を見るなり敦志は逃げ出そうとしたが、扉の前に依月が立ちはだかっていた


「そんなすぐ帰ろうとすんなよ~」

 後ろから羽交い締めされるように抱きつかれ、嫌がりもがきながら敦志は依月に助けを求めるような視線を向ける。


「工藤っ話があるんじゃ?!」
「話?そんなのいいから俺たちと楽しもうぜ」 


 ズルズルと奥へ引きずられていく、奥にはマットが敷いてあって敦志はそこに押し倒された。
 仰向けにされて天井を見たかと思うと、すぐさま上岡が敦志の腹部に馬乗りになり、抵抗する間もなく両腕を頭の上でまとめて押さえつけられる。
 

「や、めろっ」
「は?なんでだよ」

 抵抗して身をよじろうとするが、まるで効果もなく、片手で上岡がネクタイを外し、シュルッと抜いていく。
 その様子に敦志は、これからされる事が頭をよぎり顔を背ける。
 外したネクタイで手首を縛ると、制服のシャツのボタンを外し、前をはだけさせていく。
 露わになっていく日に焼けた肌と、乳首の色に上岡は熱いため息を吐いた。


「まじ…エロい」
「なっ…」

 敦志の頬にカアッと熱が集まる。やはり男なのに性の対象として見られていることに、言葉が出なくて唇がわなわなと震える。
 首筋に唇を寄せるとピクッと震えた。
敦志の反応に気をよくした上岡はそのまま、ツンと主張した胸の突起を摘んでやる。


「もう、硬くなってんじゃん」
「ちがっ」

 触って欲しかったか?と耳元に囁き、乳首を指で転がしてやると、敦志の繋がれた手首にグッと力が入る。
 上岡は指で摘み上げた突起を、チュッと吸い上げる。一度、口に含むとなかなか離してくれず、駆け上がる快楽に、敦志は腰を仰け反らした。


「あ!ぁ…」

 無意識に揺れる淫らな腰つきは、奥野がジッパーを下げて直に触れてやると一層、艶を増す。


「すごい…ぬるぬる……」
「あっ…」
「もしかして、好き?無理矢理されんの」
「そん、なわけ!っ…あ、ち…ちがっ」

 思わず否定するものの、半勃ちだった自身を握り込まれ扱かれると、まるで悦ぶような声をあげてしまい、敦志は震えた。
 心とは関係なしに身体が、覚え込まされた快楽を求めてしまうのだろう。敦志は、全てを振り切るように頭を横に振る。
 
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