嫌われていた竜は、人間として生きていきたい

黒胡鴨

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第一章

第二話 新たな生活

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 翌日からリオは、ベイジ、レインと共に村を案内される。家を出ると、整備された道が視界に入る。三人は道なりに歩いていく。少し歩くとよく行く商店に到着する。すると、店の奥から。

「あら、いらっしゃい。今日はレインちゃんと一緒にお使いかい?」
「こんにちは、おばさん。今日は違うんだ。村を案内しているんだ」

 おばさんの視線がリオに向く。

「その子が、アルの言ってた子ね」

 おばさんがリオの目の前に立つと、頭に手をのせ撫で始める。

「はじめまして、リオちゃん。私はリテアよ。リテアおばさんと呼んでくれていいよ」
「リオです、よろしくお願いします、リテアおばさん」

 紹介が終わると三人はその場を離れる。その後も村での知り合いやお店をリオに案内していく。

「よし、これでだいたい案内する場所は終わりかな」
「おにいちゃん、とっておきの場所は?」
「あ、そうだね家族なんだし教えておこうか」
「とっておきの場所?」
「わたしとおにいちゃんだけが知ってる場所」

 レインがリオの手を握り引っ張る。引っ張られながらついていくと自宅の後ろにある狭く子供しか通れなさそうな隙間を通っていくと、少し開けた、石造りの壁に囲まれた場所が現れる。真ん中には大きな木が生えており木の葉っぱが屋根代わりになっていた。隙間からは陽の光が差し込み、心地良い風が吹いていた。

「ふふふ、ここが私たちのとっておき」

 自慢げな表情を浮かべるレイン。リオはその場所を見ると木の傍まで歩いていく。

「何でかわからないけど、懐かしい感じがする」

 周りを見渡していると。

「あ、やばい! ローガンのおっちゃんに手伝いを頼まれているんだった。えっと二人は――」
「私もついていくよ」
「レインもてつだいする」

 三人は急いでその場所を離れローガンの仕事場に向かう。仕事場の近くまで来ると、建物の中から金属を叩くような音が聞こえてくる。ベイジが扉を開けると、茹で上がりそうな熱気が漏れ出す。奥には大柄な男性がおり、大槌で鉄を叩いてた腕を止める。

「ごめん、おっちゃん」
「おう、やっと来たか。ん? お前さんは?」

 リオに視線が向く。

「えっと、リオです」
「ああ、お前さんがリオかローガンだよろしくな」

 ローガンは手を出すと、リオと握手を求めリオも握手に答える。

「ベイジ、道具は外に準備してっからいつもどおりお願いな」

 ベイジがもう一つの扉に向かい開けると庭に出る。そこには、斧と薪割りに使ういくつもの原木がおいてあった。

「さて、やるか。レインは割った木を集めてくれ」
「うん、わかった」

 ベイジは原木を設置して、斧を持ち上げ、振り下ろし薪を割り始める。慣れた手付きで次々割っていく。リオはその光景に気になるようで凝視していた。レインは薪を一箇所に集めていった。
 すると、ベイジの手が止まり、リオの方を向く。

「リオもやってみるか?」

 ベイジはリオの視線気づいていた。

「おっちゃんに見られたら怒鳴られるだろうけど、今は鍛冶の作業に忙しいだろうからな。一回だけなら大丈夫だろ」

 リオは首を小さく縦に振ると、ベイジから斧を受け取る。ベイジより小さい体で、斧を振り上げ、一気に振り下ろす――。
 その瞬間、地面が揺れるほどの轟音が響く。振り下ろした場所は、薪を割るどころかその下の地面をも割っていた。斧も刃の部分は砕け見る影もなくなっていた。ベイジとレインの二人は唖然としていた。

「な、なんだ、なんだ! お前ら無事か!?」

 ローガンが扉を蹴り開け、焦った表情で庭に出てくる。現場が目に入る。

「なんじゃこりゃ!?」

 ローガンの表情が固まる。少しの間、呆然とすると、三人に視線を向ける。ベイジが慌てた状態で説明をし始める。

「なるほどな、こんな小さい女の子がやったとはりかいできねぇが。怪我がなくてよかった。片付けは俺がやるから、とりあえず家に帰りな」

 そう言われると三人はその場を離れ家に戻る。夕方になり家にアルグレードが帰宅する。アルグレードは三人をテーブルに集める。

 
「手伝いの時の事はローガンに聞いた」
「あのときは、俺がやらせようとしちゃったから――」
「すまんのう、今はリオと話をしたいのじゃ」
「ご、ごめんなさい!」

 リオが顔を下に向け大きめな声で謝る。

「責めるわけじゃ無いんじゃ。ただ一つ聞きたいのじゃが、君は何者なんじゃ」

 アルグレードは真剣な表情のままリオに問いかける。

「わからないです……」

 真剣な表情を向け続けていたアルグレードだが、にこやかな表情に変わっていく。

「そうか、わかった。まずは怪我がなかったようじゃし。この話は終わりじゃな」

 リオの頭がゆっくりと上がる。

「いいの……?」
「わからないんじゃ、しょうがないからの。とりあえず、また起きないように気をつけてもらえばええかのう」

 アルグレードが腰を上げる。

「今日は三人共疲れたじゃろ。早めに寝て、明日みんなでローガンのところに謝りに行くとしよ」

 その日は言われるとおりに子どもたちは、早めに眠りについた。翌日、ローガンの家に行き、四人は謝罪をする。ローガンはアルグレードに時々世話になっていたため、謝罪を受け取りこの出来事は解決した。
 そんな出来事から、五年が経った――
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