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鈴音いりす

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 次の日、隣の部屋から聞こえてきた目覚ましの音で起きた。まだ朝の六時……かなり早いけど、日和がこんな時間に起きようとしていたことに驚くと同時に、ため息が出そうになった。
 ……隣から物音一つ聞こえないのは何とも不安になる。
 とりあえず体を起こし、グーッと背伸びをする。昨日、宿題を終えてから日和が準備してくれた美穂学校の制服に目をやる。見慣れない制服だけど、今日から着るのは何となく違和感がある。
 まぁ、後で着替えるとして……気を抜くと目を閉じそうになるのをどうにかしたくて、とりあえず顔を洗いに行く。もしかしたらリビングのソファで寝てるかもしれないし、何なら「おっそい!」って怒られるかもしれない。
 まぁ……案の定、リビングには誰もおらず、顔を洗って目を覚ましてから、日和の部屋の前に戻ってきた。
 日和は入って起こせって言ってたけど……いや、さっき物音はしなかっただけで、今は起きてるかもしれない。
「おーい、日和? 起きてるか~」
「……」
「あのー、日和さん?」
「………………」
 扉の向こうからは物音一つ聞こえてこない。
「おーい、日和?」
 さっきよりも声を大きくして呼んでみる。
「…………」
 でも、何の返事も帰ってこない。このまま日和を起こさずに深鈴に怒られる方か、緊張を我慢して日和を起こすか……少しだけ迷って、後者を選ぶ。
「日和、入るぞ?」
「…………」
 最終確認のつもりでもう一度声を掛けて見るけど、やっぱり何の返事もない。
「はぁ……仕方ない」
 ドアノブを回して、部屋の中に入る。なんだかんだ、日和の部屋に入るのは、美風に帰ってきてからは初めて入る。
 部屋の中で聞こえるのは、スヤスヤ気持ちよさそうな眠る日和の寝息だけ。
 日和の部屋は俺の部屋と似たような感じで物は少ないから、その辺は気を遣わずに済みそうだけど……何というか、意識してなかったけど日和も女の子になってる。
 ブンブンと頭を振り、頬を強めに叩いて雑念を振り払う。
「おーい、日和。朝だから起きろ、遅刻するぞ」
 なるべく寝顔を見ないように近くから声を掛けてみる。
「すぅ……すぅ……んん」
「頼むから起きてくれ」
「すぅ…………んん……」
 一向に起きる気配を見せない日和。
「はぁ……おい、日和。起きろー」
 肩を叩いてみる。
「んん……す、ず?」
「違うけど、このまま寝てると深鈴に怒られるぞ」
「あ、れ……優也?」
「そうだ、朝だから起きろ」
「うわっ、優也!」
 急に日和が体を起こし、危うく頭突きを食らうところだった。
「って、あぁ……優也か。悪いわね、起こしにきてもらって」
「別にいいよ。それより、時間大丈夫なのか?」
「まぁ、早めに目覚ましセットしといたからね。鈴の前で強がりはしたけど、まぁ起きるのは無理って分かってたわ」
「初めから強がるな……」
「しょーがないでしょ。強がらなかったら鈴が家に起こしに来る。そうなればあの子、五時起きよ、かわいそうじゃない」
「五時起きは確かに……ってか、深鈴が起こしに来るのか」
「鈴にも家の鍵渡してるからね。あー、あんたにも後で渡すわ」
「いいのか?」
「いや、今はあんたの家でもあるんだし、自分の家の鍵を持つのは普通でしょ」
「まぁ、そうなんだけど……」
「そんじゃ、そういうことで……あんたも着替えてきたら? あたしも先に着替えるわ」
「んじゃ、そうするよ」
 日和の部屋を後にして、部屋で真新しい制服に袖を通す。
 制服を着ているというより、制服に着られているのも、新しい制服ならではと言うか、変な感じだ。
 俺の方が先にリビングに着いたみたいで、パンをトースターに放り込む。焼き上がる少し前になって、制服に着替えた日和がリビングへ入ってきた。
 髪は寝癖がついたままだけど……第一ボタンまでちゃんと留めて、リボンもちゃんとして、袖まくりもしていない……ちゃんと制服を着ていることに少し驚きはしたけど、深鈴が頭に出てきて納得した。
「朝ごはん、ありがとね」
「いいよ、これくらい」
「はいこれ、家の鍵。あたしが近くに居ない時に鍵を落としたら、鈴か夏姉の所に行けば鍵あるから」
「落とさないように気を付けるよ」
「ちなみに落としたら鈴にめちゃめちゃ怒られる」
「……落としたことあるんだ」
「中学の時にね。んで、秋には優しく怒られて、夏姉には呆れられた」
「……想像できる」
「でしょ。それ以来、更に気を付けるようにしたわ」
 頭の中で「ひよりん!」と怒る声や、「日和さん、次からは──」と注意重視に言う声、「日和ちゃん……」と言うため息なんかが簡単に再生された。
「パン、もうすぐ焼けるけど、その間に寝癖直した方がいいと思うぞ」
「……面倒」
「深鈴に何か言われるだろ」
「見つかったら鈴に直されて、髪結ぶところまでやってくれる」
「……昔と変わってないんだな。保護者みたいな感じ」
「まぁね。適当に直してくる」
 めんどくさそうに洗面所の方へのそのそ歩いて行った。
 数分して、髪を結んで目が覚めた様子の日和がリビングへ戻ってきた。
「そういえば、今更だけど日和って髪長いよな。昔はそこまで長くなかっただろ?」
「あー、切ってもいいんだけど、切るのも面倒だし。髪結べるならどんな長さでもいいから割と適当よ」
「髪って結びたいものなのか?」
「あたしは結ばないと何事もやる気が起きないってだけ。というか、ゆっくりパン食べてるけど、実は時間ピンチなの知ってた?」
「……マジ?」
「普通に歩けば間に合うけど……朝って散歩してるおばさんによく会うのよね」
「……つまり?」
「もう出ないとマズいことになる」
「それを先に言え!」
「いやーほら、あたしもゆっくり朝ごはん食べたかったし。いいかなーって」
「いいから早く行くぞ!」
「はいはい、あんた先に家出るのはいいけど、学校の場所知らないでしょ。準備してくるから三分待ってて」
 三分くらい経って、日和と慌てて家を出る。
 美風特有の風が吹いても、まだ少し暑いくらい。暑がってても仕方なく、制服の袖をまくった。
「……暑い」
「だよな」
「……やっぱり我慢できないわ」
「ん?」
「あ、ちょっと鞄持って」
「うん」
 俺に鞄を渡すと、袖を雑にまくってリボンも緩め第一ボタンを開けた。
「…………」
「何?」
「やっぱり日和は日和だと思って」
「でしょ。まぁ、鈴に制服直せーって言われるけど、祭りの準備で町の人に会う時に直すならって感じ」
「なるほど」
「それにしても……まさかあんたと同じ学校に向かうことになるなんてね」
「その節は申し訳なく思ってます」
「当たり前、そう思ってなかったらこの拳を──」
「──朝からそれは勘弁してくれ」
 学校に着くまでの間、何人かに声を掛けられて、お世話になってたおばさん達と、こっちに戻って来たことと、またよろしくお願いします。なんて挨拶をして別れる。商店街の方には知ってる人も多いし、今度挨拶に行こうと思った。
 学校に着き、日和に案内されるまま生徒会室の中へ入った。
「おはよう、ひよりん、ゆーゆー」
「はよー」
「おはよう、深鈴」
「ひよりんを連れてきてくれてありがとうね~。それと、ゆーゆーには退屈な話が続いちゃうけど、ごめんね」
「それはいいけど、後で職員室の場所だけ教えてくれるか?」
「はーい」
 それからは真面目な話が少し続く。祭りの話を中心に話しているせいか、そんな話が全校集会で……くらいの感覚で聞いてるけど、それよりも──
「──そうね、後から紙配って放送で説明するんだし、あたしからはここと……ここだけ話すわ」
 真面目な話を日和がしてることにも驚きだけど、真面目な姿が様になって見えるのもまた驚きというか、新しい発見だった。
 真面目な話を終え、二人に職員室まで案内してもらう。深鈴は別の先生に用事があるようで、担任の所までは日和に頼むことになった。
「沙耶せんせー、連れてきました~」
「橘さん、ありがとうね。朝から色々あるのに」
「いえいえ~。一緒に住んでるんだから、ついでみたいなものだし」
「書類と夏菜からの電話でそう聞いていたけど、本当に一緒に住んでるのね……って、ごめんなさい風見君。私は椎名沙耶、二年の担任で、夏菜とは幼馴染よ」
「あ、風見優也です。よろしくお願いします」
 夏姉を夏菜と呼んでいたのも、幼馴染ということで納得する。
「夏菜から昔のことも聞いてるから、気軽に何でも言ってね。とりあえず、何か質問はあるかしら?」
「いえ、特には」
「校内の案内は……橘さんに頼んでいい?」
「うん、任せて~」
 話している感じを見るに、椎名先生と日和も仲が良いようだ。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
 朝礼のチャイムが鳴り、椎名先生と日和の後ろを歩き、教室の前へやってくる。後で呼ぶから……と二人は先に中へと入って行った。
 教室の中から「転校生」という単語が聞こえ、緊張する。
「──風見君、入ってくれる?」
 教室のドアを開け、椎名先生の隣に立つ。
 見知った顔が三つあるだけで、緊張が少しだけ和らいだ。
「自己紹介、お願いします」
「えっと、風見優也です。よろしくお願いします」
 特に何かを言うでもないけど、一番無難な挨拶をして頭を下げる。
 教室内から拍手が起こり、窓側の一番後ろの席……千秋の横を指示され、席に着く。朝礼中だからか声には出さないけど、千秋が少しだけ笑ってくれ、緊張が一気にほぐれた。
 初日ということで、授業もなく午前中で終わるのか……と思っていたけど、朝礼が終わって全校集会があり、すぐに授業が始まった。
「優也さん、教科書……ないの?」
「あぁ、うん。授業って知らなくて」
「良かったら……どうぞ」
 机をくっつけて、真ん中に教科書を置いてくれる。
「ありがとう、千秋」
「いえいえ」
 千秋に授業がある理由を聞こうと思ったが、熱心に授業を聞く千秋には聞けず。
 日和の方を見ると、俺が見ているのに気付いたのか、先生の目を盗んで「ごめん、説明し忘れた」というように手を合わせていた。
 昼休みになり、購買に行く途中に日和から
「──祭りの準備のせいで、三日前から授業がなくなるから前倒しって感じ」
 と、急に始まった授業の意味を説明され、納得した。
 俺と日和が購買から戻ってくるまで、食べるのを待っていてくれた二人にお礼を言い、四人でご飯を食べ始める。
「というか秋、悪いわね。あたしのせいで迷惑かけて」
「いえいえ、迷惑なんかじゃないですよ」
「午後、ホームルームで祭りのこと話すけど、あたしと鈴はいないから、色々説明してあげてくれると助かるわ」
「はいっ」
 それから少しして、お昼ご飯を食べ終わった後、日和と深鈴が教室から出て行き、千秋と二人になる。それを見計らってなのか、さっきから気にしてた様子の……主に男子が俺たちの方に寄ってくる。
「なぁ風見、気になってたが綾羽さんと橘さんと、それから結咲さん、三人とどういう関係なんだ!」
「……いきなりだな」
 千秋の方をチラッと見ると、本を読んでるのか、こっちはスルーのようだ。
「あー、すまん。俺は佐々木、とりあえずこれからよろしくな」
「あ、あぁ……よろしく」
「で! どうなんだ!」
 うんうん、と周りの人も簡単に名前を言ってくれるものの、日和達との関係が気になるようで、俺の答え待ちらしい。
「日和と深鈴は昔からの幼馴染、千秋は色々あって話すようになったな」
 詳しいことは知らないけど、夏姉の所に住んでること含め、俺からは言わない方がいいだろうと誤魔化す。
「結咲さん結咲さん、色々って何があったの?」
 色々と誤魔化したのが気になったのか、佐藤さんだっけ……そう名乗った女子が千秋に話を振る。
「そ、そうですね……私がお世話になっている方と優也さんが知り合いで、その流れですね」
「へー、そうだったんだ。なるほど~」
 千秋は会話に積極的には混ざらないものの、その後も話を振られたら答えるのスタンスで昼休みを過ごした。
 チャイムが鳴り、ホームルームが始まる。プリントが配られ、内容に目を通していると全校放送が始まった。
『みなさん、こんにちは。美風祭実行委員長の綾羽深鈴です』
『副委員長の橘日和です』
 と二人して挨拶をすると、全員がスピーカーの方に注目する。
 深鈴が挨拶し、日和が連絡事項を淡々と伝えていく。各クラス話し合いを始めるように促され、クラスの中で話し合いが始まった。
「優也さん、祭りでやりたいこととか、決まってたりしますか?」
「いや、特に。クラスはともかく、日和達の実行委員とやらを手伝おうかと。二人に誘われてるんだよ」
「そうなんですね……私も手伝うとは言ってるんですけど、なかなか」
「夏姉のとこ、やっぱり忙しい?」
「祭りが近くなれば観光の方も増えて、お客さんが増えるので、忙しいですね」
「なるほどなぁ」
 美風って飲食店自体は少ないし、そりゃ混むよなと納得する。特集で紹介もされてたような気がするし。
「あ、夏菜さんから伝言なんですけど、優也さんもうちを手伝いませんか?」
「『MIKAZE』?」
「はい。休みの日は日和さんや深鈴さんに手伝ってもらっているんですけど、祭りが近くなると、お二人とも実行委員があるので……」
「俺も居候だし、日和に聞いてからでもいいか?」
「はいっ……登校初日なのに、すみません」
「それはいいんだけど……実行委員って、穂泉に行ったりするのかな」
「私も詳しいことは分からないですけど……行くことはあると思いますよ」
「そうだよな……近いうちに行ってみないと」
「……まだ行っていないんですか?」
「日和の宿題とか色々あって。でも、日和も深鈴も実行委員で忙しくなるそうだし、いつになるかなって感じ」
「……穂泉……もし良かったら、私が案内しましょうか?」
「……いいのか?」
「明日で良ければ、ですけど。平日は週に一度、お休みを貰ってるんですよ」
「案内してもらえるだけありがたいよ」
「それでは、明日ですね。任せてください」
 と、ありがたく案内してもらえることになり、千秋がホームルームに意識を向けたのに続いて意識を向けた。
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