秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

文字の大きさ
34 / 491

33.魔法誓約

しおりを挟む
「久しぶりだね、アリー。
バルトスも2日でアリーと会わせてくれるなんて思わなかったけど、ありがとう。
かしこまった挨拶なんていらないから、以前のように接して欲しいな。
しばらく見ない間に大きくなったね。
ルドルフがまた会いたがってたから、機会があれば会ってやって。
最近の体調はどう?」
「お久しぶりです、ギディアス様。
時々伏せってはいますが、季節の変わり目と違ってまだ落ち着いている方だと思います」

 ここは以前にルドルフ様達の訪問で使った部屋。
バルトス義兄様とギディアス様、護衛にシル様が転移してきてからの、話し合い。
ルドルフ様がいたソファに座ってもらって、僕達は対面に腰かける。
シル様は今回部屋の前で待機。
数年ぶりに間近で見る黒髪碧眼のギディアス様は随分凛々しくなってて驚いちゃった。
体格もガッシリしてて、少年の面影はほぼ無くなって大人の色気すらある。
彼が17才の時に義母様の葬儀に参列してくれて以来だから、3年ぶりだっけ。
背は兄様より少し低いくらいで変わってないけど、成長期の少年はこんなに変わるんだなぁと、あの大会の時と同じことを考えてしまった。

「ギディアス、アリーを見つめすぎだ。
減るからさっさと城に帰れ」
「減るって何が?
相変わらずだけど、鬱陶しくない?」
「ふふふ、ないですよ。
バルトス兄様はお久しぶりなギディアス様に私が緊張しないようにしてくれてるだけだと思います」
「····ナイス勘違いだね。
早速の本題だけど、君は大会の時に例の王子の背後の黒い靄を見たよね?」

 ナイス勘違いでしょ、ギディアス様。
でも鬱陶しいと思ったことは1度もないんだよ。
これくらい分かりやすい愛情表現じゃないと、僕には伝わらないだけなんだよ。

 それはそうと、嘘を見逃すまいとするように僕の目をガン見するのやめて欲しいな。

「薄い感じの黒っぽい靄は見ましたけど、目の錯覚かなって思ったくらい一瞬でしたよ。
見間違いかと思って王子をずっと見てしまったのがいけなかったみたいですが」

 さてさて、どう出る?
バルトス義兄様が言うように読唇術で見たなら、その先の呟きも解ったよね。

「アリー、本当にそう?
"んー····黒い靄····あぁ、そっか····"
君はそう呟いてた。
君には色々謎が多いけど、全て教えて欲しいわけじゃない。
ただ私は君が世間に思われてるような子供ではないと思ってるし、君の持つ知識は恐らくかなり危うい。
だからこそ、特に王族を警戒しているのも当然だろう。
だけど今回の件はザルハード国の内部抗争が絡んでいて危険なんだ。
何も知らないのに、君の事を守れない。
陛下も私もルドルフも、侯爵やバルトス、レイヤードを友だと思っている。
そんな友の家族であるアリーを私達王家も守りたいんだよ」

 うーん、やっぱり引き下がりそうにないかぁ。
ちらりと義兄様を見ると目で合図された。

「ギディアス様には、あの靄はどう見えましたか?
どうしてギディアス様には見えたんですか?
靄が精霊だったとして、建国の精霊だとどうして思われたんですか?」
「私には黒い靄にしか見えてない。
どうして見えるのかはわからないけど、昔から靄のような形で見える時がある。
靄の色や大きさは様々だ。
建国の精霊を連れているのだと王子が話した。
それで今まで見てきた靄は精霊だったのかと思ったんだ」
「····そうですか」

 おかしいな。
あの精霊さんは長く見積もっても100年くらい。
建国されたとされるのは500年前で、僕の記憶では300精霊さんとは属性が違うから単なる代替わりじゃない。
もちろんいくつか例外があるけど、こればかりは聞いてみないとわからない。
このまま秘密にしたまま聞き出すのは難しいかな。

「第3王子も精霊が見えるんですよね?
彼も精霊さんを連れているのですか?」
「そうらしい。
ただ私があちらに留学中に何度か会ったが、それらしい靄は見たことがないんだけどね」

とすると、第3王子は連れてるのかな?

「アリー、そろそろ私の質問にも答えて欲しいんだけど」

 ギディアス様が苦笑する。

「ここからは俺が話す。
····大丈夫だよ、アリー」

義兄様が僕を抱え上げてお膝の上に横向きに座らせて抱きしめながら背中をぽんぽんする。

「兄様、ギディアス様の前で恥ずかしい」
「気にするな、俺の天使」
「いや、私もどうかと思うよ」
「帰れ」

 義兄様、いつか不敬罪でしょっぴかれるよ?
そう思いながらも居心地の良さに顔が緩む。

「話す前に、魔法誓約書に署名した上で名にかけて誓え。
それが俺達の出す条件だ」
「そこまで重要な事····なんだね。
でもそんなに信用ない?」
「アリーの命に関わる。
父上も俺達兄弟もそれに関しては同じ事をしている。
信頼する家族であっても例外はない。
魔法や魔具で暗示をかけることも不可能ではないからな」
「なるほど、それだけ警戒してるのか。
わかった、そうするよ」
「よく考えているのか?
この魔法誓約は命を対価にしたものだ。
少しでも話した瞬間に心臓が止まる。
一国の王太子が侯爵家にする代物じゃない」
「言ったはずだ。
私はバルトスを友だと思っているし、その妹のアリーも守りたい。
君達がそれを要求するくらい、君達が隠してきたのは大事な秘密なんだと理解している。
多分そうなるかもしれないと思っていたから、護衛もシルだけにして、部屋の外に待機させたんだよ」

 ギディアス様はにっこり笑いかけた。
そして彼は何事もない顔で魔法誓約を行った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...