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88.義兄から兄へ~レイヤードside
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そんな感じで魔法や色々な知識を叩き込まれ、魔具や道具を製作させられ、時々アリーと連れ立って3人で魔獣討伐で実戦を積む。
何度か命の危険を感じたり、実際に死ぬような怪我をする事もあったけど、そういう時はアリーの友達だと主張する精霊達が助けてくれた。
アリーが呼ぶ精霊はかなり高位の精霊ばかりだけど、正直各方面に突出したド変態ばかりでアリーが心配になった。
ちなみに光の精霊王と兄上は特に仲が悪くて、彼女と喧嘩する度に兄上は強くなっていくという副産物的成長を遂げた。
副産物と言えば数年後、義妹によるスパルタ講座のお陰でいつの間にか領内の魔獣をほぼ殲滅してしまった。
それだけに留まらず僕達を傷つけた魔獣限定、僕達がそれを仕留め損なう時限定で殺気立った無表情の幼女がどこかから仕入れた、やたら殺傷能力の高い攻撃用の魔具で淡々と討伐するっていうシュールな光景が繰り広げられる。
そのせいか魔獣自体が動物的本能で領に寄り付かなくなっていって、今ではグレインビル領は辺境の割りに安全な領となった。
アリーの功績は本人の希望で今なお秘密にしている。
というか、さすがに誰にも言えない。
薄々感じてはいるだろうけど、父上にも言っていない。
そんな感じで僕と義妹は1から関係を育んでいった。
順調だったと思う。
だけど当初の義妹はとにかく感情の起伏のない、人としてどこか不完全な乳幼児で、少しずつ心配する気持ちが膨らんでいったんだ。
そんな義妹だったけど、4才くらいになると体の成長と共に僕達ともまともに話せるようになって行動範囲も広がっていった。
ずっと自分で動きたがってたのもあってか気づくといない、なんて事が増えたから義兄としては喜ばしくも感じつつ、目を離せなくなった。
食欲、どちらかというと甘味に偏りがちだったけど、それも出てきて寝込むような熱を出すのも減っていくと、それにつれて好奇心や感情がやっとだけど少しずつ出てくるようになった。
完成まではいかないまでも母上の発作用の薬の目処がたって気が抜けたのも影響したのかもしれないけど、僕は人間味が出てきた事にほっとしていた。
そしてその頃には僕にとって義妹は妹になった。
四六時中一緒にいれば情も湧くし、何より本当はアリーがルナを1番気にかけていたんだと気づいたんだ。
アリーが自分で歩けるようになった頃から、屋敷にほど近いアリリアが咲く丘にあるルナのお墓の周りはいつ行っても季節の花が咲いてたし、今ではアリーが交配させた新種の花もたくさん混ざっている。
妹を想う兄の気持ちに寄り添って義妹を否定していた義兄の負の感情の全てを受け入れて、陰日向に僕達家族を守ろうとしてくれる。
何よりどこかの勘違い令嬢のような感情の押し売りだけは1度もせず、時間をかけて僕を兄にしてくれた。
僕が妹を受け入れてしばらくして、人前以外でも兄様と呼んで欲しいとお願いした。
その時の妹の笑顔はアリリアのように優美な笑顔だった。
ーーーー
「ねえ、兄様、聞いてる?」
膝に乗せた可愛い僕の妹が少しむくれて僕の頬を両手でつねっている。
もちろん痛くない。
そういう可愛らしい気遣いに癒される。
「ひょへんね、ひょひよんきいへるよ」
小さな手で頬が引っ張られているから間抜けな言葉になっちゃったけど、僕達が隠したせいで機嫌が悪いみたいだから仕方ない。
ごめんね、もちろん聞いてるよ。
困った顔をしてみたけど、仕草が可愛らしくてついつい笑ってしまう。
「もう!
僕は本気なんだからね!
1番の意趣返しを画策してるだけなの!
僕はちゃんと腹黒いんだから安心して兄様も協力して!」
確かにアリーの提案は1番の意趣返しだけど、結局誰も損をしないんだよ?
もちろんあの一家も。
それに腹黒いのは安心しちゃダメじゃないかな?
ちゃんと腹黒いって何なの?
突っ込みどころ満載すぎて思わず笑ってしまう。
すると可愛い妹は更にむくれて頬を膨らませてしまって、それがまた可愛らしさを誘ってきて思わずニコニコと形の良い頭をなで回してしまう。
いつの間にか頬を引っ張っていた手は僕の背中に回されて、僕の胸に顔をぐりぐり押しつけているんだけど、何かな、この可愛いのは。
「可愛いが過ぎる」
それは僕の台詞なんだけど、どこでそう思ったんだろ。
そもそも僕は父上に似ているし背もかなり伸びたから間違っても可愛い類いではないんだけど、妹の感性が時々心配になる。
「アリー、わかったよ、降参。
アリーのしたいようにしていいから、黙ってた事は許して?」
「ホント?!
なら許してあげる!」
バッと上がった顔は満面の笑みだ。
上から口調が更なる可愛さをかもし出す。
アリーの言うツンデレってこれかな?
「うん、本当。
許してくれてありがとう」
ついつい華奢な体を抱擁すると「えへへー、兄様大好き」と呟いてしがみついてくれる。
しばらくそうしていると小さな寝息が聞こえてきた。
色々ありすぎて疲れたんだろう。
むしろここまで体力もよくもった方かな。
体力も昔よりはついてきたけど、まだまだ油断はできない。
「おやすみ、僕の可愛い妹」
額に口づけて起こさないよう注意しながらアリーに用意された部屋まで運んだ。
なかなか増えないながらも妹なりに少しずつ重くなる体重にほっとしながら。
何度か命の危険を感じたり、実際に死ぬような怪我をする事もあったけど、そういう時はアリーの友達だと主張する精霊達が助けてくれた。
アリーが呼ぶ精霊はかなり高位の精霊ばかりだけど、正直各方面に突出したド変態ばかりでアリーが心配になった。
ちなみに光の精霊王と兄上は特に仲が悪くて、彼女と喧嘩する度に兄上は強くなっていくという副産物的成長を遂げた。
副産物と言えば数年後、義妹によるスパルタ講座のお陰でいつの間にか領内の魔獣をほぼ殲滅してしまった。
それだけに留まらず僕達を傷つけた魔獣限定、僕達がそれを仕留め損なう時限定で殺気立った無表情の幼女がどこかから仕入れた、やたら殺傷能力の高い攻撃用の魔具で淡々と討伐するっていうシュールな光景が繰り広げられる。
そのせいか魔獣自体が動物的本能で領に寄り付かなくなっていって、今ではグレインビル領は辺境の割りに安全な領となった。
アリーの功績は本人の希望で今なお秘密にしている。
というか、さすがに誰にも言えない。
薄々感じてはいるだろうけど、父上にも言っていない。
そんな感じで僕と義妹は1から関係を育んでいった。
順調だったと思う。
だけど当初の義妹はとにかく感情の起伏のない、人としてどこか不完全な乳幼児で、少しずつ心配する気持ちが膨らんでいったんだ。
そんな義妹だったけど、4才くらいになると体の成長と共に僕達ともまともに話せるようになって行動範囲も広がっていった。
ずっと自分で動きたがってたのもあってか気づくといない、なんて事が増えたから義兄としては喜ばしくも感じつつ、目を離せなくなった。
食欲、どちらかというと甘味に偏りがちだったけど、それも出てきて寝込むような熱を出すのも減っていくと、それにつれて好奇心や感情がやっとだけど少しずつ出てくるようになった。
完成まではいかないまでも母上の発作用の薬の目処がたって気が抜けたのも影響したのかもしれないけど、僕は人間味が出てきた事にほっとしていた。
そしてその頃には僕にとって義妹は妹になった。
四六時中一緒にいれば情も湧くし、何より本当はアリーがルナを1番気にかけていたんだと気づいたんだ。
アリーが自分で歩けるようになった頃から、屋敷にほど近いアリリアが咲く丘にあるルナのお墓の周りはいつ行っても季節の花が咲いてたし、今ではアリーが交配させた新種の花もたくさん混ざっている。
妹を想う兄の気持ちに寄り添って義妹を否定していた義兄の負の感情の全てを受け入れて、陰日向に僕達家族を守ろうとしてくれる。
何よりどこかの勘違い令嬢のような感情の押し売りだけは1度もせず、時間をかけて僕を兄にしてくれた。
僕が妹を受け入れてしばらくして、人前以外でも兄様と呼んで欲しいとお願いした。
その時の妹の笑顔はアリリアのように優美な笑顔だった。
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「ねえ、兄様、聞いてる?」
膝に乗せた可愛い僕の妹が少しむくれて僕の頬を両手でつねっている。
もちろん痛くない。
そういう可愛らしい気遣いに癒される。
「ひょへんね、ひょひよんきいへるよ」
小さな手で頬が引っ張られているから間抜けな言葉になっちゃったけど、僕達が隠したせいで機嫌が悪いみたいだから仕方ない。
ごめんね、もちろん聞いてるよ。
困った顔をしてみたけど、仕草が可愛らしくてついつい笑ってしまう。
「もう!
僕は本気なんだからね!
1番の意趣返しを画策してるだけなの!
僕はちゃんと腹黒いんだから安心して兄様も協力して!」
確かにアリーの提案は1番の意趣返しだけど、結局誰も損をしないんだよ?
もちろんあの一家も。
それに腹黒いのは安心しちゃダメじゃないかな?
ちゃんと腹黒いって何なの?
突っ込みどころ満載すぎて思わず笑ってしまう。
すると可愛い妹は更にむくれて頬を膨らませてしまって、それがまた可愛らしさを誘ってきて思わずニコニコと形の良い頭をなで回してしまう。
いつの間にか頬を引っ張っていた手は僕の背中に回されて、僕の胸に顔をぐりぐり押しつけているんだけど、何かな、この可愛いのは。
「可愛いが過ぎる」
それは僕の台詞なんだけど、どこでそう思ったんだろ。
そもそも僕は父上に似ているし背もかなり伸びたから間違っても可愛い類いではないんだけど、妹の感性が時々心配になる。
「アリー、わかったよ、降参。
アリーのしたいようにしていいから、黙ってた事は許して?」
「ホント?!
なら許してあげる!」
バッと上がった顔は満面の笑みだ。
上から口調が更なる可愛さをかもし出す。
アリーの言うツンデレってこれかな?
「うん、本当。
許してくれてありがとう」
ついつい華奢な体を抱擁すると「えへへー、兄様大好き」と呟いてしがみついてくれる。
しばらくそうしていると小さな寝息が聞こえてきた。
色々ありすぎて疲れたんだろう。
むしろここまで体力もよくもった方かな。
体力も昔よりはついてきたけど、まだまだ油断はできない。
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額に口づけて起こさないよう注意しながらアリーに用意された部屋まで運んだ。
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