秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

文字の大きさ
202 / 491

201.婚約関係色々~ギディアスside

しおりを挟む
「なんだ、ルドの本当に話したかったのはそっちかい?
学園が休みの日とはいえ、朝から私の所に来るから変だと思ってたよ。
もう父上の承認もおりて、早朝便でこちらからの書簡は送り返した」
「それでは····」
「お陰様で私の宙ぶらりんになっていた婚約は本日付けで無事円満解消されたよ」

 そう、こちらからの何度目かの打診の末、やっと私とイグドゥラシャ国の王女の婚約が解消された。
1つ条件を出されちゃったけどね。

「晴れて自由の身になった感想は?」

 ルドも年頃の男子だね。
本当にいつぞやの浜辺のアリーと同じ顔だよ。

「何も変わらないよ。
元々折々の手紙くらいでしか交流してなかったからね。
約10年という婚約期間はあったけど、会ったのが数年前のほんの30分だけだから。
しかもその時にお互い意向確認して婚約を解消する方向性になったからね。
何かが変わる方が無理かな」

 途端にスン、とした顔になるところもいつぞやの浜辺のアリーと同じだね。

「そうか。
そんなものなのか」
「····そんなつまらなさそうにしなくても····。
そうそう、今回の件と交換条件でね。
イグドゥラシャ国の末の王女が急きょ留学する事になったんだ」
「····随分急だな」

 ふふ、面倒そうな顔に変わったね。
私も婚約解消の書簡と共にその件を依頼された時は同じ顔をしていたかもしれない。

「今のアドライド国はイグドゥラシャ国周辺の国々と外交も良好で交易も盛んだからね。
少し前のザルハード国じゃないけど、ずっと好戦的にやってたあちらとしては、気づけば周りが敵国だらけなんじゃないかな」
「なるほど、友好国アピールか。
我が国への交易ルートの開放も今のところ順調なようだし、このまま友好国であり続けてくれればいいのだが····」

 これまでの我が国の南の辺境領との争いや、あの誘拐事件の関与の疑わしさから考えればルドが顔をしかめる気持ちも少しわかる。
アリーが巻き込まれたせいでレイヤードから距離を取られたのも内心大きいはずだからね。
まあ最終のやらかしはうちのトップ達だけど。

「名ばかりの婚約でこちらからはここ数年何度も解消を打診してしまったからね。
それくらい我が国の外交が10年前と比べて良好だって事なんだけど。
婚姻を結んで自国から出て行く王女よりも、末の王女を留学にやってあわよくばうちの第2王子を婿にしたいのかもしれないよ?」
「え、俺?!
いや、確かにあの国がすんなり解消するとは····兄上?
何かあるのか?」

 お、気づいてくれた?
思惑もなくあの国がこちらからの要望を聞くわけないんだよ。

「これは最近仕入れた情報だけどね。
あちらの国の王太子はここ何年か体調が優れないみたいでね。
正妃を母親に持つ子供は王太子と私の元婚約者殿なんだ。
そして2人は第1、第2王位継承者だ。
今回留学するのは10年ほど前に市井で見つかった継承権を認められていない王女だよ。
前国王の御落胤という噂がある」

 継承権を持たない王女ならうちの第2王子をあてがわせるのに都合が良いだろうね。
あの国は我が国への敵対感情が強いようだし、けれど友好国という立場を覆すには我が国の諸外国との良好な関係があちら的には脅威だ。

 それにこの何年かであの国の継承権保有者で唯一の男子だった王太子が何かしらの病にかかったらしく、元婚約者の周辺環境が大きく変わりつつある。
女王擁立となるのか、このまま王太子が持ち直すのか····。
情勢としては滅多に擁立されない女王よりも男子である王太子に軍配はある。
今のところは。
我が国としては知った事じゃないけど、婚約解消に時間がかかったのもある意味仕方ないと納得はしてしまうよ。

「····随分訳ありじゃないか?」
「ま、噂だよ、噂。
年は問題児達と同じだから、頑張ってね、ルド」

 学園での留学生達への対応は第2王子であるルドに任せてある。
ある程度の国内外の情勢は頭に入れて対処してもらわないとね。

「しかも問題児がまた3人になるのか····。
いや、まだ問題児かどうかわからないよな。
まあ新学期が始まってまだそんなに経ってないし、編入生も珍しくはないし。
2学年ならまだこれからだから俺が卒業までの間フォローすれば環境には馴染むだろう」

 うん、それにしてもうちの弟はやっぱり面倒見がいいね。

「末の王女に関しては今年14才であちらの国でも未成年だった事もあって社交の場に出た事がないらしい。
どんな子なのかはわからないけど、後見人としてはそうなってくれるのを願うばかりだ。
来月にはこちらへ留学してくる」
「わかった」

 さて、ここからのルドの反応が気になるね。
どこぞの浜辺のアリーと同じ顔にならないようにしないとね。

「それとね、ルド。
ヒュイルグ国からある書簡が届いたんだ」
「ヒュイルグ国?
グレインビル領と大河を挟んだあの国か?
落ち着いてたはずだが····まさかまた仕掛けてきたのか?!」
「ルドの心配は最もだけど、関係は良好だし今も継続して小さな小競り合いも起きていないよ」

 かつて何度も侵攻を仕掛け、辺境であるグレインビル領によってその度に退けられてきたのがヒュイルグ国だ。

「なら、一体何が····」
「ヒュイルグ国国王がアリアチェリーナ=グレインビル侯爵令嬢との婚約を内々にだけど打診してきた」
「········は?」

 あ、ルドが固まっちゃったね。

「元々ね、国王が王太子ですらない王子だった頃、そして王太子になった時の2度打診してきてたんだ。
でもその時はまだあの子の体調があまりにも不安定だったし、成人もまだずっと先の幼い子供だからって話そのものを無かった事にしたんだ」
「それじゃあ今回も····」
「今回は仮にも国王という立場で、アリーの成人までもう1年もないからね。
ねえ、ルド?
今何を思ってる?」

 弟の顔から表情が抜け落ち過ぎてて表情が読めないなあ。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...