秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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234.考察とそれぞれの理由は?

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「残念ですが、諦めます」

 とっても残念そうだけど、うん、それが良いと思う。
僕の精神衛生的にも。

 《バッチ来い電撃君(改)》の敵への撃退能力、ううん、レイヤード義兄様によって何度か改良されてて今や殺傷能力となってるそれはマックスレベルだもの。

「それよりも、なぜ私が新たに作った転移魔具を活用したと思ったんです?
どの程度のものなのかおわかりですか?」

 職人気質な人ってそういうのが気になるのは共通してるみたいだね。

「うーん····なかなか足取りを掴めないあなた達誘拐犯に手引きされ、今朝になって突然動いたらしい反王派貴族達とあの宰相夫人。
元王女って言うべきかな」

 暇だからひょろ長さんに考察を教え始める。
間違ってたら、今後の僕の対処にも影響しそうだしね。

 義兄様によってどこよりも安全なシェルターとなってた温室にいたのはお城の客人達と、遅れて大公。

 護衛で周囲を固められていた温室。
元軍人さんのゴードンお爺さんもそこにいた。

 僕のお耳に届いた3回鳴った魔笛の意味は、注意を怠らずに各自に戻れ。

 その中であの音が届いたのは僕と義兄様と大公。
大公は僕を自室へ戻るよう誘導したから、僕の持ち場はあのお部屋だろうね。
外に出て誰も止めなかったから、多分護衛さん達も聞こえていた。

 以上から推察できるのは、王城のに何かしらの敵がの数で現れた。
あの時移動させられないくらいには。

 数名程度の奇襲ならぶっちゃけ彼らの敵じゃないだろうし、慌てず騒がず処理してる。

 思い返せば僕達は知らず温室に誘導されてるんだよね。
最初に誘導したのはゴードンお爺さんだから、温室の前で会った時点で誰かしら侵入してたのは発覚してた?
そこは魔笛もあるからわからないし、些事だね。

 ならその数はどうやって入ったか、となれば外からの転移しかない。
まともに外から中に入るなら、それこそ国王達は慌てない。

 だってこの城の兵士や騎士はエヴィン国王の辺境将軍時代の部下が多いもの。
彼らはお互いに信頼関係も結べてるし、短時間で僕に魔笛が聞こえたから鎮圧も早かった。
となれば混乱するような内部の裏切りの可能性は極めて低い。

 とはいえ転移魔法はそうそう会得できないほどには高位魔法なんだよね。

 最低でもA級冒険者レベルの実力が必要だ。

 例えばベルヌはA級冒険者くらい実力はあるけど転移は使えない。
獣人さんにあるあるの魔法だけなら良くてB級、身体能力がその分高いから総合するとA級っていうやつだ。

 だとすればひょろ長さんの発明品である転移魔具を使って送り込んだって考えるのが妥当。
設置は場内にひょろ長さんほどじゃなくてもある程度魔法に長けた人が転移してしまえば簡単なように作ったはず。
あの狩猟祭みたいな大規模対応の魔具で国の魔術師が約20人くらいだよね?
それより少ない人数····大方転移できるひょろ長さんと、後はいても1人くらいでやったんだろうと考えれば、魔具で転移できても100人いかないくらいの人数かな。

 深夜から早朝に向けて王の寝所を狙って不意をつけば不可能ではない人数だね。

 本当はもっと大軍を移動させたかったんだろうけど、あの狩猟祭の時に使用してたくらいの大掛かりな魔具を誰かが抱えて転移で運ぶのは難しいもの。

 大きさ的にも魔具に込めた魔力の干渉作用的にもね。
運んでる最中にもしそれぞれが反発し合ってしまえば不安定な時空で大爆発したり、いつぞやの僕みたいに捻り潰されそうになる。

 あ、マジックバックに入れちゃえばって思った人もいるかな。
でも義兄様達の持ってるマジックバックって、市場には出回ってないんだ。
全部レイヤード義兄様のお手製だよ。

 下手に大容量にしたら手を入れた途端にズタズタに裂かれたり、それこそ入れた魔具なんかとの干渉作用で爆発するからね。
良い子は自作しちゃダメだよ。

 それくらい時空や空間に関する魔法は繊細かつ緻密で難易度が高い。
ひょろ長さんも無理だったでしょ。

 つまりひょろ長さんのレベルでは小型化と効率化をすこぶる両立した魔具は作れないって事だ。

 誘拐犯が手引きしたと言ってたのなら、恐らく誘拐犯達の顔を知る国王や重鎮達の誰かと対峙したのは間違いない。
だから彼らの転移先はお城の中でも王の居室には近い場所。

 それこそ転移魔具を使って中から奇襲でもかけなければ、朝のあんな時間から国王や宰相や側近がバタバタ僕達の前に現れない。

 あれから魔笛が聞こえるまでの短時間で城内の奇襲関係者達を鎮圧したのは日頃からの備えだろうな。
何せ国王自身が過去に小さかった僕から寝所で奇襲を受けてるし、訓練も怠っていなかったみたいだもの。

 1度ある事は2度も3度もあるものだって昔教えてあげたの僕だし。
あの時は半分以上嫌がらせだったけど、きっとあの時の経験が活かされたに違いない。

 感謝の気持ちを表していい加減僕に帰宅許可してくれないかな。

 あ、ここのところはもちろんひょろ長さんには秘密。
それっていつしたの?
3才でしょう、なんて言えないや。

 そして誘拐犯達は無傷。
僕とひょろ長さんが一緒にいる時に逞しさんとベルヌが合流したから少なくとも大怪我はしていない。

 ベルヌと逞しさんは魔具を使って早々に城を離脱したんじゃないかな?
その後ひょろ長さんが魔具を持ってこの仮のアジトに転移して、再びお城に戻ってきた。

 だから誘拐犯達は捕まらなかった。

 彼らの目的は何だろう?

 この3人の目的の1つは恐らく僕だ。
ルド様には見向きもしていなかった。
いや、来たのがマッドだったから?
いやいや、多分····うん、他の2人の反応からも絶対そうだね。
前回の誘拐も王子は正直不慮の事故みたいなものに過ぎない。

「反王派貴族達の目的はおわかりですか?」

 ひょろ長さんが僕が説明を端折りそうな気配を感じたのか初めて口を挟んだ。

「打倒、エヴィン国王!
国王なんか傀儡で十分!
俺達貴族こそが国を動かすべき優秀かつ高貴で至高の存在!
選民意識をくすぐる奴隷制度カムバック!
目指せ富国強兵!
甘い汁もたーんと寄こせ!
侵略戦争で国土も懐も潤そう!
····でしょ?」
「ぶふっ。
あっ失礼。
あまりにも、ふふ、言い方、ふふふ」

 そんなにおかしかった?

 で、君達誘拐犯は何で僕なのかな?
まだしばらく笑いがおさまりそうにない私達ひょろ長さんだけならわかるんだよね。
何せ変態狂魔法学者マッドウィザードだもの。

 うーん、彼らの再びの目撃はいつ頃からだっけ?

『ですがここ1年いかないくらいになってどうやらザルハード国を渡り、大きく回る形で河を渡り、北の諸国で目撃されるようになりました』
『貴殿がアドライド国より我が国への親善訪問をしたいと打診を受けた時期に我が国で誘拐犯らしき目撃情報がございましたから』

 あの猫っ毛な側近さんの言葉を思い出す。

 もしかして····。
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