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335.ギラギラ、ギラギラ
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「でもかなり前に井戸は枯れたと聞いたわ」
ジェン様の言葉に頷く。
「恐らく井戸を確認した時期と、天候の問題ではないかと」
「そうか、雨量····」
わあ、ウィンスさん当たりだよ!
ハッとした時のお耳がピコッと跳ねたの見逃さなかったんだからね!
僕の顔を見てにこっと微笑む優しげなお顔の虎耳様····素敵か!
後でこそっとそのお耳様とお尻尾様にブラッシングをさせてくれないかな?!
「はい。
私も雨量ではないかと考えています」
心のなかでは身悶えしつつも、ちゃんとお話をする僕ってえらいと思う。
従兄様が何だか心配そうなお顔で僕を見てるのはどうしてかな。
もふもふ衝動に突き動かされるかもしれないって思われてる?
僕はTPOをわきまえたもふり好きだよ。
『アリー、どうして雨と井戸の水が関係するの?
井戸に雨の水が貯まるから?』
闇の精霊さんの疑問は可愛らしいね。
いつの間にか肩から王子の前腕に腰かけてた闇の精霊さんの背中を指でそっと撫でた王子は、理由がわかってるんだろうな。
微笑ましそうなお顔で闇の精霊さんを見てるもの。
「井戸の水は地下水から汲み上げます。
アドライド国は春から夏にかけて雨の量が増えるので、その時期は井戸水の水量も大抵は増えるんです」
だから井戸は雨水を貯めてるわけじゃないんだよ。
僕も闇の精霊さんに軽く微笑んでおこっと。
照れたように笑う手のひらサイズの精霊さんはとっても可愛いよ。
「という事は報告した時期は恐らく晩秋から冬頃、それも雨があまり降らなかった年だったという事ね。
私が幼かった頃で以降の報告はなかったから、きっと枯れ井戸として放置されていたのね」
「恐らく」
ジェン様の言葉に頷く。
虎耳様に興奮したせいか喉が渇いたから、残ってた炭酸水を飲もうとコップに手を伸ばす。
闇の精霊さんと間接キス?
そんなの僕は気にしな····。
「どうぞ、お嬢様」
セバスチャンがさっと飲みかけのコップを取り下げ、ニーアが冷えた炭酸水の入った新しいコップをすかさず差し出してくれた。
「ありがとう、ニーア。
ふぅ、冷えてて美味しい」
一口飲んでからほうっと息を吐く。
「あら、色っぽい」
「駄目だから、シュレジェンナ嬢。
悪魔が降臨するから、駄目だから」
僕を見て頬を弛めるジェン様と、そんなスーパーモデルに何故か警戒の声を出す従兄様。
悪魔なんていないよ?
きょとんとして小首を傾げてしまう。
「あら、食べちゃいたいわ」
「駄目だから、シュレジェンナ嬢。
魔王が降臨したら終わるから、駄目だから」
魔王なんていないよ?
何が終わるの?
ついきょろきょろと見回して魔王がいるのか確認してしまう。
「ふふふ、それでアリーちゃん?
話の続きを聞かせてくれるかい」
おっと、うっかり次期当主の2人のやり取りに意識が向いてしまってた。
カイヤさんに軌道修正されるままに、話を続ける。
「ここに来てから仲良くなった使用人さん達に聞いてみたら、ここ何年か冬場のファムント領の天候が雨だった事が多かったらしいです。
それなら春先の今頃でも井戸から水は汲めるんじゃないかと思ってニーアに行ってもらいました。
以前にセバスチャンが母様とバルトス兄様とで行った事があったので、古井戸も泉も詳しい場所を知っていたんです。
ただ、それでもまだ雨の量が少ないせいか温泉の独特の臭いはしていますが」
「アリー、つまり味や臭いは天候次第で変わるってことかな?」
従兄様も井戸水に興味津々だね。
「恐らく井戸の場所より山手側の温泉成分の強い、つまり温泉の臭いの強い生まないの泉のお水が山すそに向かって下っていく時に周りの地下水と合わさってそこまで臭いのきつくない弾ける水が井戸から汲み上げられるんだと思います」
「不安定供給だから商品化は難しいかしら」
ジェン様のお顔が難しいものに変わる。
「プレミアム供給という手もあるね。
供給が少なければ付加価値が上がるし」
従兄様の提案は代打案としては悪くない。
ただ温泉街のコンセプトにもよると思うんだ。
プレミアム供給は貴族や平民でも富裕層向けならいいんだよ。
でもこの領の温泉街のコンセプトはたくさんの人の流動を目指している。
貴族や富裕層よりも平民の数の方が圧倒的に多いからね。
それに貴族や富裕層は飽きが早いんだ。
「従兄様の案も視野に入れつつ、井戸を作り直してみてはいかがですか?
かなり古い井戸のようですし、報告された当時の時点で既に長らく放置されていたはずです。
山中にあるので地元の人達もあまり立ち入らなくて、数十年単位でメンテナンスもずっとされずにいたようですから井戸に欠陥ができたか、もしくは十分な地下水を得られるほど穴を掘れていないかで枯れた状態になりやすいんだと思うんです」
「そうだね。
アリーちゃん、この弾ける水は恐らく冷泉が地下を通って山すそへ向かううちに臭いが濾過されつつ、雨水や地下水とうまく合わさって弾ける水になったんだよね?」
「私はそう思っています」
「それならこの領地の売りになる。
温泉や温泉玉子だけじゃなく、他にもこの領地にしかない売りがあたっ方が良いだろう?
この弾ける水は売れるよ」
「という事はそこを手直しすればそれなりの水量を確保できて、安くても大量に売りにできて観光業だけじゃなくて卸売業でも領収をあげられる事ができるようになるかもしれない····」
僕とカイヤさんの言葉に思案し始めた次期領主のジェン様の目はとってもギラギラだ。
ついでに僕達グレインビルの人間と闇の精霊さん以外の人達の目もギラギラだよ。
皆で色々事業提携するようになりそうだね。
王子の目もギラギラだから、ザルハード国も何かしら絡むのかな?
何だかお部屋が暑い。
皆の熱気が燃えたぎっているから?
ジェン様の言葉に頷く。
「恐らく井戸を確認した時期と、天候の問題ではないかと」
「そうか、雨量····」
わあ、ウィンスさん当たりだよ!
ハッとした時のお耳がピコッと跳ねたの見逃さなかったんだからね!
僕の顔を見てにこっと微笑む優しげなお顔の虎耳様····素敵か!
後でこそっとそのお耳様とお尻尾様にブラッシングをさせてくれないかな?!
「はい。
私も雨量ではないかと考えています」
心のなかでは身悶えしつつも、ちゃんとお話をする僕ってえらいと思う。
従兄様が何だか心配そうなお顔で僕を見てるのはどうしてかな。
もふもふ衝動に突き動かされるかもしれないって思われてる?
僕はTPOをわきまえたもふり好きだよ。
『アリー、どうして雨と井戸の水が関係するの?
井戸に雨の水が貯まるから?』
闇の精霊さんの疑問は可愛らしいね。
いつの間にか肩から王子の前腕に腰かけてた闇の精霊さんの背中を指でそっと撫でた王子は、理由がわかってるんだろうな。
微笑ましそうなお顔で闇の精霊さんを見てるもの。
「井戸の水は地下水から汲み上げます。
アドライド国は春から夏にかけて雨の量が増えるので、その時期は井戸水の水量も大抵は増えるんです」
だから井戸は雨水を貯めてるわけじゃないんだよ。
僕も闇の精霊さんに軽く微笑んでおこっと。
照れたように笑う手のひらサイズの精霊さんはとっても可愛いよ。
「という事は報告した時期は恐らく晩秋から冬頃、それも雨があまり降らなかった年だったという事ね。
私が幼かった頃で以降の報告はなかったから、きっと枯れ井戸として放置されていたのね」
「恐らく」
ジェン様の言葉に頷く。
虎耳様に興奮したせいか喉が渇いたから、残ってた炭酸水を飲もうとコップに手を伸ばす。
闇の精霊さんと間接キス?
そんなの僕は気にしな····。
「どうぞ、お嬢様」
セバスチャンがさっと飲みかけのコップを取り下げ、ニーアが冷えた炭酸水の入った新しいコップをすかさず差し出してくれた。
「ありがとう、ニーア。
ふぅ、冷えてて美味しい」
一口飲んでからほうっと息を吐く。
「あら、色っぽい」
「駄目だから、シュレジェンナ嬢。
悪魔が降臨するから、駄目だから」
僕を見て頬を弛めるジェン様と、そんなスーパーモデルに何故か警戒の声を出す従兄様。
悪魔なんていないよ?
きょとんとして小首を傾げてしまう。
「あら、食べちゃいたいわ」
「駄目だから、シュレジェンナ嬢。
魔王が降臨したら終わるから、駄目だから」
魔王なんていないよ?
何が終わるの?
ついきょろきょろと見回して魔王がいるのか確認してしまう。
「ふふふ、それでアリーちゃん?
話の続きを聞かせてくれるかい」
おっと、うっかり次期当主の2人のやり取りに意識が向いてしまってた。
カイヤさんに軌道修正されるままに、話を続ける。
「ここに来てから仲良くなった使用人さん達に聞いてみたら、ここ何年か冬場のファムント領の天候が雨だった事が多かったらしいです。
それなら春先の今頃でも井戸から水は汲めるんじゃないかと思ってニーアに行ってもらいました。
以前にセバスチャンが母様とバルトス兄様とで行った事があったので、古井戸も泉も詳しい場所を知っていたんです。
ただ、それでもまだ雨の量が少ないせいか温泉の独特の臭いはしていますが」
「アリー、つまり味や臭いは天候次第で変わるってことかな?」
従兄様も井戸水に興味津々だね。
「恐らく井戸の場所より山手側の温泉成分の強い、つまり温泉の臭いの強い生まないの泉のお水が山すそに向かって下っていく時に周りの地下水と合わさってそこまで臭いのきつくない弾ける水が井戸から汲み上げられるんだと思います」
「不安定供給だから商品化は難しいかしら」
ジェン様のお顔が難しいものに変わる。
「プレミアム供給という手もあるね。
供給が少なければ付加価値が上がるし」
従兄様の提案は代打案としては悪くない。
ただ温泉街のコンセプトにもよると思うんだ。
プレミアム供給は貴族や平民でも富裕層向けならいいんだよ。
でもこの領の温泉街のコンセプトはたくさんの人の流動を目指している。
貴族や富裕層よりも平民の数の方が圧倒的に多いからね。
それに貴族や富裕層は飽きが早いんだ。
「従兄様の案も視野に入れつつ、井戸を作り直してみてはいかがですか?
かなり古い井戸のようですし、報告された当時の時点で既に長らく放置されていたはずです。
山中にあるので地元の人達もあまり立ち入らなくて、数十年単位でメンテナンスもずっとされずにいたようですから井戸に欠陥ができたか、もしくは十分な地下水を得られるほど穴を掘れていないかで枯れた状態になりやすいんだと思うんです」
「そうだね。
アリーちゃん、この弾ける水は恐らく冷泉が地下を通って山すそへ向かううちに臭いが濾過されつつ、雨水や地下水とうまく合わさって弾ける水になったんだよね?」
「私はそう思っています」
「それならこの領地の売りになる。
温泉や温泉玉子だけじゃなく、他にもこの領地にしかない売りがあたっ方が良いだろう?
この弾ける水は売れるよ」
「という事はそこを手直しすればそれなりの水量を確保できて、安くても大量に売りにできて観光業だけじゃなくて卸売業でも領収をあげられる事ができるようになるかもしれない····」
僕とカイヤさんの言葉に思案し始めた次期領主のジェン様の目はとってもギラギラだ。
ついでに僕達グレインビルの人間と闇の精霊さん以外の人達の目もギラギラだよ。
皆で色々事業提携するようになりそうだね。
王子の目もギラギラだから、ザルハード国も何かしら絡むのかな?
何だかお部屋が暑い。
皆の熱気が燃えたぎっているから?
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