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340.前世の海外温泉巡りと後輩さんとの思い出
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「ねえ、ニーア。
せっかく2人が用意してくれたんだから、ちょっとだけ水着を着て入っても····」
「それはまた別の機会になさって下さい。
今日はハイエナのような狐が口を開けてお嬢様を狙っていますから」
え、何それ?
ハイエナなの?
狐なの?
イタチの方が食料にされそうじゃない?
他ならぬセバスチャンとニーアがお針子にモードチェンジして作ってくれたのに、やっぱり駄目みたい。
それは貴族用に作ってる施設の方で使いなさいって義父様や義兄様達からも通信用魔具できつめに約束させられちゃったから仕方ないか。
あ、家族とはほぼ毎日連絡してるよ。
もうそろそろお仕事が一段落するから、レイヤード義兄様がここに来るって言ってた。
バルトス義兄様はギディアス王太子の婚約者が決まりそうなのと、その人が今度この国に来るからっていう事で来られないのが残念だけど。
イタチの姿でならって事で大衆温泉施設の利用を許可されたから、家族の気が変わらないうちに入る事にしたんだ。
セバスチャンは僕がお願いした服を作ってくれてるから、今日はニーアだけ連れてる。
どちらかというと連れられてるけど、連れてる。
多分帰る頃には出来てるんじゃないかな。
使う日が楽しみ。
大衆温泉施設はファムント邸からそこそこ離れてるから、途中まで僕の愛馬のお馬さん3兄妹の末っ子ちゃんと移動したよ。
ちなみに馬車じゃない時の3兄妹は生まれた順に乗る事にしてる。
乗る頻度が偏ると拗ねちゃうところがまた可愛いんだよ。
移動中は温泉街予定地だけじゃなくファムント領内が少しずつ整備される事で今は雇用が生まれてるなっていうのを感じてた。
でもこのままだとどこかで頭打ちしそうだから、やっぱり温泉街から外れた場所にも何か必要だね。
で、温泉街予定地に入ってからは徒歩。
道はもう舗装されてたから、後は店舗関係の建築だね。
僕は未完成の街並みをニーアのアナウンス付きで堪能してたら、突然カツアゲされそうになったんだ。
ニーアに怪我がなくて良かった。
どうでもいいけど、多分彼はお忍びで来たんだよね?
忍んでなかったけど。
異母兄の偵察?
あの子分と2人だけで来たのかな?
何事もなく帰れるといいけど、あの差別発言はいただけないね。
しかも最後は愚民だったし。
この辺りは元々廃村すれすれの場所だし区画整理されて建物が一新されてる途中だから、営業してる宿屋さんはほぼないんだ。
人が多いけどそれは男女共に働き盛りの人ばかりだし、今は隣国からの流民だっている。
色々な意味で今日は野宿にならないといいけど。
それより街並みも随分変わって来たみたい。
僕がスケッチした絵を参考に足湯スポットなんかもできてた。
ちなみに街の景観は和の要素は少なめで洋の趣きが強いかな。
前世の僕は中学生以降を海外で学生してそのままそこで働いてたから海外生活の方が実は長かったんだ。
もちろん海外の温泉も巡ってる。
学生時代にウマの合った同郷の後輩さんが当時娘さんの難病を治すのに薬の研究開発しててね。
ヨーロッパに活動拠点を移した事もあって、ヨーロッパ方面の温泉巡りもしたよ。
後輩さんも僕と同じ、ううん、僕より年下だったのに気づいたら一緒に卒業したからもっと凄い。
ほら、海外の学校には飛び級制度があるでしょう。
それを最大限利用して医師免許をさくっと取ったら、目的は果たしたとばかりにヨーロッパ行っちゃうんだもの。
頭が良くて芯のぶれない女性だったよ。
口はとっても悪い腹黒冷血漢なようでいて、実はとっても面倒見が良いから調子に乗って1ヶ月くらいお家にホームステイさせてもらっちゃった。
それこそ道はローマに繋がってるとばかりに地続きだから、温泉好きな僕はヨーロッパを巡ったよ。
もちろんステイ中は僕がまだ幼い娘さんの体調管理しながら温泉に一緒に連れてったりもした。
向こうは水着を着て男女混浴なのが当たり前だから一緒に入るのに性別の違いは大した問題じゃないんだ。
ちなみに後輩さんはシングルマザーだけど長く付き合ってたパトロンみたいな、恋人みたいな、旦那さんみたいなパートナーがいたからね。
僕は彼女とはそういう関係じゃなかったから、誤解しないでね。
まあその時の日本と海外の経験が生まれ変わったこの世界でも活かされてるんだと思ってる。
今回の温泉もそう。
あちらの世界での和の要素の強いカイヤさんの母国、ジャガンダ国と違ってアドライド国は完全なる洋だからね。
カイヤさんもジェン様も僕にアドバイザーを求めたのは、カイヤさんだとどうしても和に偏るからじゃないかな。
当然だけどジェン様が次期領主として作っていくのはファムント領の独自の温泉文化だもの。
もちろん僕の提案するのがあちらの世界の諸外国の温泉を参考にしてるのは秘密。
どのみち僕が描くのはラフ画だから、肉づけして形にするのはこの領の領主であるジェン様パパと次期領主のジェン様だ。
ジェン様パパには近々ブラシを進呈するついでにちょこっとブラッシングさせてもらう予定なんだ。
「へへへ」
「お嬢様?」
「はっ、何でもないよ!」
あ、あぶない。
ブラッシングを妄想してニヤニヤするイタチなんて気持ち悪いよね。
※※※※※※※※※
後書き
※※※※※※※※※
いつもご覧いただきありがとうございます。
後輩さんは下の作品に出てくる蓮香です。
188話・189話の手術を担当した先輩の話、206話で荒れた天候の中、船でちゃんぽん飲み比べした話は前世でのアリーとのお話です。
やっとこの小話書けました。
《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語
せっかく2人が用意してくれたんだから、ちょっとだけ水着を着て入っても····」
「それはまた別の機会になさって下さい。
今日はハイエナのような狐が口を開けてお嬢様を狙っていますから」
え、何それ?
ハイエナなの?
狐なの?
イタチの方が食料にされそうじゃない?
他ならぬセバスチャンとニーアがお針子にモードチェンジして作ってくれたのに、やっぱり駄目みたい。
それは貴族用に作ってる施設の方で使いなさいって義父様や義兄様達からも通信用魔具できつめに約束させられちゃったから仕方ないか。
あ、家族とはほぼ毎日連絡してるよ。
もうそろそろお仕事が一段落するから、レイヤード義兄様がここに来るって言ってた。
バルトス義兄様はギディアス王太子の婚約者が決まりそうなのと、その人が今度この国に来るからっていう事で来られないのが残念だけど。
イタチの姿でならって事で大衆温泉施設の利用を許可されたから、家族の気が変わらないうちに入る事にしたんだ。
セバスチャンは僕がお願いした服を作ってくれてるから、今日はニーアだけ連れてる。
どちらかというと連れられてるけど、連れてる。
多分帰る頃には出来てるんじゃないかな。
使う日が楽しみ。
大衆温泉施設はファムント邸からそこそこ離れてるから、途中まで僕の愛馬のお馬さん3兄妹の末っ子ちゃんと移動したよ。
ちなみに馬車じゃない時の3兄妹は生まれた順に乗る事にしてる。
乗る頻度が偏ると拗ねちゃうところがまた可愛いんだよ。
移動中は温泉街予定地だけじゃなくファムント領内が少しずつ整備される事で今は雇用が生まれてるなっていうのを感じてた。
でもこのままだとどこかで頭打ちしそうだから、やっぱり温泉街から外れた場所にも何か必要だね。
で、温泉街予定地に入ってからは徒歩。
道はもう舗装されてたから、後は店舗関係の建築だね。
僕は未完成の街並みをニーアのアナウンス付きで堪能してたら、突然カツアゲされそうになったんだ。
ニーアに怪我がなくて良かった。
どうでもいいけど、多分彼はお忍びで来たんだよね?
忍んでなかったけど。
異母兄の偵察?
あの子分と2人だけで来たのかな?
何事もなく帰れるといいけど、あの差別発言はいただけないね。
しかも最後は愚民だったし。
この辺りは元々廃村すれすれの場所だし区画整理されて建物が一新されてる途中だから、営業してる宿屋さんはほぼないんだ。
人が多いけどそれは男女共に働き盛りの人ばかりだし、今は隣国からの流民だっている。
色々な意味で今日は野宿にならないといいけど。
それより街並みも随分変わって来たみたい。
僕がスケッチした絵を参考に足湯スポットなんかもできてた。
ちなみに街の景観は和の要素は少なめで洋の趣きが強いかな。
前世の僕は中学生以降を海外で学生してそのままそこで働いてたから海外生活の方が実は長かったんだ。
もちろん海外の温泉も巡ってる。
学生時代にウマの合った同郷の後輩さんが当時娘さんの難病を治すのに薬の研究開発しててね。
ヨーロッパに活動拠点を移した事もあって、ヨーロッパ方面の温泉巡りもしたよ。
後輩さんも僕と同じ、ううん、僕より年下だったのに気づいたら一緒に卒業したからもっと凄い。
ほら、海外の学校には飛び級制度があるでしょう。
それを最大限利用して医師免許をさくっと取ったら、目的は果たしたとばかりにヨーロッパ行っちゃうんだもの。
頭が良くて芯のぶれない女性だったよ。
口はとっても悪い腹黒冷血漢なようでいて、実はとっても面倒見が良いから調子に乗って1ヶ月くらいお家にホームステイさせてもらっちゃった。
それこそ道はローマに繋がってるとばかりに地続きだから、温泉好きな僕はヨーロッパを巡ったよ。
もちろんステイ中は僕がまだ幼い娘さんの体調管理しながら温泉に一緒に連れてったりもした。
向こうは水着を着て男女混浴なのが当たり前だから一緒に入るのに性別の違いは大した問題じゃないんだ。
ちなみに後輩さんはシングルマザーだけど長く付き合ってたパトロンみたいな、恋人みたいな、旦那さんみたいなパートナーがいたからね。
僕は彼女とはそういう関係じゃなかったから、誤解しないでね。
まあその時の日本と海外の経験が生まれ変わったこの世界でも活かされてるんだと思ってる。
今回の温泉もそう。
あちらの世界での和の要素の強いカイヤさんの母国、ジャガンダ国と違ってアドライド国は完全なる洋だからね。
カイヤさんもジェン様も僕にアドバイザーを求めたのは、カイヤさんだとどうしても和に偏るからじゃないかな。
当然だけどジェン様が次期領主として作っていくのはファムント領の独自の温泉文化だもの。
もちろん僕の提案するのがあちらの世界の諸外国の温泉を参考にしてるのは秘密。
どのみち僕が描くのはラフ画だから、肉づけして形にするのはこの領の領主であるジェン様パパと次期領主のジェン様だ。
ジェン様パパには近々ブラシを進呈するついでにちょこっとブラッシングさせてもらう予定なんだ。
「へへへ」
「お嬢様?」
「はっ、何でもないよ!」
あ、あぶない。
ブラッシングを妄想してニヤニヤするイタチなんて気持ち悪いよね。
※※※※※※※※※
後書き
※※※※※※※※※
いつもご覧いただきありがとうございます。
後輩さんは下の作品に出てくる蓮香です。
188話・189話の手術を担当した先輩の話、206話で荒れた天候の中、船でちゃんぽん飲み比べした話は前世でのアリーとのお話です。
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