秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

文字の大きさ
393 / 491

392.弛むお顔と高笑い

しおりを挟む
「それにしても、ヒュイルグ国での活躍に続き、あなたのアイデアはどうなっているのかしら?」

 すっと目を細めて流し目をする艶女はロウリュウからそう時間が経ってないだけに、頬がまだ赤みがあって色っぽいね。

 僕も少しは色っぽく成長したはずなんだけど、背が低いせいか皆まだまだ子供扱いなんだ。

 まああちらの世界じゃ、まだ中学生だもの。
子供扱いも仕方ない。

 それに家族に子供扱いされるのも……たくさん甘えられるから実は好き。
今までの反動なのか、自分でもびっくりするくらい甘えたくなって困っちゃう。

 あんまり酷いなって自分でも思った時はメンテナンスの終わったタマシロ君でイタチになって甘えるよ。
動物なら変じゃないでしょう?
家族も少し大きめのポケットがついた服を着てくれてたりするから、よく籠城してるんだ。

 でもムササビ禁止命令はまだ解けないのがつらい。
ムササビ飛行は無期限延期中で、さすがに泣いた。

 せっかくコルクマットを完成させたのに。

「ずっとお部屋にこもって生きてきておりますもの。
本に口伝、それにグレインビル領には獣人の方々も含め、あらゆる方が過去流れ着いておりましてよ。
沢山の方々のアイデアが点在しておりますの。
私はただ点と点を線で結んで丸投げ、良くて資金援助で先行投資をするだけでしてよ」
「そうでしたわね。
それにしても、本当にそれだけかしら?」
「というと?」
「あなたがこの領に来て、新たに作った物の幅が広すぎましてよ?」

 何だかこちらを探ってない?
でも確かにこの領に来てから色々やったかも?

「弾泉水はもちろん、今や貴族向けの温泉施設で必ずオーダーされる弾ける果実水。
その素で作る柔らかなパンも早速ガウディ令息がアフタヌーンティーに取り入れて弾ける果実水と共に王都で流行らせておりますわ」

 とか思ってたら、艶女が列挙し始めた?!

 でも従兄様のカフェについてはそうなんだよね。

 酵母菌について情報を解禁した途端、うちの料理長に突撃訪問して色々聞き出してたから、多分最初から計画してたんじゃないかな?

 後日、義母様によく似たお顔でありがとうって言われたのを思い出して、思わず緩んだお顔でへへへ、と笑っちゃった。

 従兄様のカフェでアフタヌーンティーにひと口サイズのパンを出すようにしたら、お店は連日満員御礼。

 温泉街では主に玉子サンドを中心としたお総菜パンが大流行中で、温泉玉子バージョンと普通のゆで卵バージョンの2種類を作ってるよ。

 温泉玉子のウケはやっぱり鼻の良い獣人さんになる程悪いんだけど、玉子サンドにするとそこからまた好みが分岐するんだって。
面白いね。

「まあ、もしかしてガウディ令息のお顔を思い出したのかしら?
アリーがあの方のお顔を心底好きなのはわかりますけれど、弛み過ぎでしてよ」
「はっ、そんなに?!」

 僕一応令嬢なのに、変態みたいなお顔はまずい。
慌てて引き締める。

「それくらいなら大丈夫でしてよ。
よろしいですこと?
ご家族と私以外に見せてはいけませんのよ。
どこぞの馬の骨が食べようとしてはいけませんもの」

 え、馬が骨なの?!
スケルトンの馬……ある意味会ってみたいかもしれない。

「注意なさって。
それでどこまで話したかしら。
そうそう、ここ、第2の温泉街計画地の貴族向けリゾートホテルだけでなく、平民達でも気軽に入れるサウナ。
リゾートホテルは状況によっては延期も視野に入れているでしょうが、庶民向けのドーム型のテントサウナはすぐにでも稼働できますでしょう。
今はこちらに入っているのは温泉を冷ましたものですけれど、冷泉を引く作業に取りかかっておりますわよね」
「弾泉水の水源地である冷泉も含めてあの付近の整備もあと数ヶ月で終了とはお聞きしましたわ」

 サウナテントの増産と、大衆浴場とかで使ってるマグマプレートの浴槽を作ってる時にどうしても出る砕石は手頃な大きさの物を集めて取っておいたんだって。

 サウナストーンとしていくつか混ぜて使うみたい。

 溶岩プレート焼き肉っていうのも多国籍カフェで出し始めたらしくて、商魂逞しいけど、嫌いじゃない。
それにあのプレート使うと余分な脂が落ちてヘルシーでいいよね。

 火山地帯の多いオギラドン国やブランドゥール国出身のカンガルーさんと白虎さんが商会長を務めるチャガン商会とアボット商会も溶岩プレートを売り出すって言ってた。

 南と西の諸国にも火山性の温泉はあるから、そのうち温泉ムーブメントが起こるかもね。

「温泉街の共同出資の多国籍カフェではジャムを弾泉水に溶かして大流行中ですし、大衆浴場の売り子が扱うコルクで作った簡易のクーラーボックスとコップも好評だとか」
「ええ。
お陰様でうちの領に大量に保管していたコルク栓が順調に減っておりますの」

 これに関してはうちの領収がまた跳ね上がったから良かったと思ってるよ。
コルクマットを思い出すとムササビ飛行への渇望が爆発しそうだから最近は考えないようにしているけど。

「売り子が着ている水着も問い合わせが殺到してコード伯爵が嬉しい悲鳴を上げておりましたわ。
アリーと素材に拘って作った苦労が報われると高笑いしておりましてよ」
「た、高笑い?
あのコード伯爵が、ですの?」

 シルバーグレイな髪がよく似合う、とっても落ち着いた紳士なお爺さんだよね?!
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

処理中です...