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427.違和感だらけ
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「可愛らしい鼠でしょう」
王妃がお膝に乗せた僕の脇に両手を差しこみ、入ってきた女性騎士に正面を晒す。
騎士はお茶と軽食を乗せたワゴンを押して中に入って来てたみたい。
気持ち良く撫でられて、うとうと微睡んでいた僕は、そこで改めて女性騎士の桃色の目と目を合わせる。
「……イタチ、ですね?」
着ぐるみを着た僕は、重力に従ってぷらんとしていれば、青髪に中性的な印象を与える彼女は、戸惑うように僕のイタチな正体を明かす。
でも戸惑っているのは、イタチがここにいるからか、僕がここにいるからか、イタチな僕だからか、どれなんだろう?
それにしても、簡素ながら護衛騎士スタイルの彼女も格好良いね。
「イタチ?
でもこの子の毛は、白いわよ?」
「ええ、白いイタチですね。
珍しいので、毛皮にしますか?」
「キュイ?!」
何と?!
突然の毛皮の提案に、思わず全力拒否!
ブンブンと首を横に振る。
戸惑うのは止めたのかな。
いたずらっ子な微笑みも、それはそれで絵になる。
この手の美人さんはお得な顔立ちだ。
「嫌みたい」
「キュイキュイ!」
王妃の言葉に、ブンブンと首を振って肯定だ。
「ふ、そうですね。
ちゃんと人の言葉を理解する、賢いイタチは大事にしておきましょうか」
僕のキュートさに、美人騎士も笑みを溢した。
王妃が再び僕をお膝に乗せると、騎士は人差し指で僕の頭を撫でてくれる。
賢いイタチだって!
これは天才イタチで生計を立てられるかも?!
「キュイキュイキュイキュイ!」
腰に手を当てて、胸を張る。
「よくできました」
「キュイ~」
王妃の手の平マッサージ!
癖になりそう。
「いいなあ。
ほら、お菓子があるんだよ。
こっちに来て、食べるかい?」
「キュイキュイ!」
腰のポーチから紙に包んだクッキー出てきた!
1枚を受け取って食べてみる。
クッキーはサクサクしてて、湿気ってない。
てことは、ポーチは収納魔鞄みたいだね。
それにこのクッキーのお味には覚えがある。
これは伯母様が息子である従兄様に卸している健康クッキーだ!
栄養満点なんだよ!
「ほら、こっちにおいで」
「キュイキュイ!」
1枚食べ終わると、手を差し出された。
柔らかなお膝から、筋肉質で引き締まった腕に抱えられ、騎士は王妃の対面に座る。
「餌づけされてしまったわ」
「このクッキーが特別なだけですよ」
「紅茶を淹れるわ。
鼠……イタチも飲めるかしら?」
「キュイキュイ!」
わーい、美人揃いのティーパーティーだね!
それにしても、侍女か世話役の1人も寄越さないから、王妃がワゴンのティーカップに自分で注ぎ始めちゃった。
本来ならこの美人騎士様がお茶を準備するべきなんだろうけど……。
クッキーを頬張りつつ見上げれば、桃色の目とぶつかる。
僕を労るような、子を見守る親のようなお顔。
「どうかした?」
再び頭を撫でてくれれば、気怠い体が少し軽くなる。
回復魔法だ。
確実に僕の正体がわかっていて、付き合ってくれてるんだろうな。
「イタチには少し熱いかもしれないわね」
特に返事はせず、クッキーをもぐもぐしていれば、王妃がそう言って注いだお茶を魔法で冷まして置いてくれた。
ワゴンのカップは5客あるから、きっと明日まではこの部屋で勝手にやってろっていう意味かな。
少なくともこの教会の中での、王妃という立場の低さが窺い知れる。
チラッと見ただけだった、側妃の後ろ姿を思い出す。
あの時の側妃は、僕に背を向けていたんだ。
彼女の向かうテーブルには、お菓子もティーセットも、全て2つずつ。
だから即座に王妃がいないって判断したんだよ。
もしくは、僕を除け者にしようとしたか。
だけどこの可能性は低い。
それならと僕が帰ってしまう理由になるからね。
これまでの教会側や、勅書を発行した側妃の対応からして、僕を意図してここに留めたい理由は確実にある。
そんな側妃は後ろ姿だけでも、かなり着飾っていたし、むしろドレスは夜会で着用するような、この世界の貴族の中では、露出度が高い部類だった。
襟ぐりの深さや袖のほとんどないドレスだってくらいは後ろからわかるもの。
神官や侍女、聖騎士が大体10人ずつ侍っていたから、教会の中での立場は、王妃よりあるんじゃないかな。
違和感だらけの教会。
そして予想では、ザルハード国の貴族社会においても、王妃の立場は建前の上でも守られていないような気がしてならない。
だって王妃はこの対応を普通に受け入れているように感じるんだ。
王妃がお膝に乗せた僕の脇に両手を差しこみ、入ってきた女性騎士に正面を晒す。
騎士はお茶と軽食を乗せたワゴンを押して中に入って来てたみたい。
気持ち良く撫でられて、うとうと微睡んでいた僕は、そこで改めて女性騎士の桃色の目と目を合わせる。
「……イタチ、ですね?」
着ぐるみを着た僕は、重力に従ってぷらんとしていれば、青髪に中性的な印象を与える彼女は、戸惑うように僕のイタチな正体を明かす。
でも戸惑っているのは、イタチがここにいるからか、僕がここにいるからか、イタチな僕だからか、どれなんだろう?
それにしても、簡素ながら護衛騎士スタイルの彼女も格好良いね。
「イタチ?
でもこの子の毛は、白いわよ?」
「ええ、白いイタチですね。
珍しいので、毛皮にしますか?」
「キュイ?!」
何と?!
突然の毛皮の提案に、思わず全力拒否!
ブンブンと首を横に振る。
戸惑うのは止めたのかな。
いたずらっ子な微笑みも、それはそれで絵になる。
この手の美人さんはお得な顔立ちだ。
「嫌みたい」
「キュイキュイ!」
王妃の言葉に、ブンブンと首を振って肯定だ。
「ふ、そうですね。
ちゃんと人の言葉を理解する、賢いイタチは大事にしておきましょうか」
僕のキュートさに、美人騎士も笑みを溢した。
王妃が再び僕をお膝に乗せると、騎士は人差し指で僕の頭を撫でてくれる。
賢いイタチだって!
これは天才イタチで生計を立てられるかも?!
「キュイキュイキュイキュイ!」
腰に手を当てて、胸を張る。
「よくできました」
「キュイ~」
王妃の手の平マッサージ!
癖になりそう。
「いいなあ。
ほら、お菓子があるんだよ。
こっちに来て、食べるかい?」
「キュイキュイ!」
腰のポーチから紙に包んだクッキー出てきた!
1枚を受け取って食べてみる。
クッキーはサクサクしてて、湿気ってない。
てことは、ポーチは収納魔鞄みたいだね。
それにこのクッキーのお味には覚えがある。
これは伯母様が息子である従兄様に卸している健康クッキーだ!
栄養満点なんだよ!
「ほら、こっちにおいで」
「キュイキュイ!」
1枚食べ終わると、手を差し出された。
柔らかなお膝から、筋肉質で引き締まった腕に抱えられ、騎士は王妃の対面に座る。
「餌づけされてしまったわ」
「このクッキーが特別なだけですよ」
「紅茶を淹れるわ。
鼠……イタチも飲めるかしら?」
「キュイキュイ!」
わーい、美人揃いのティーパーティーだね!
それにしても、侍女か世話役の1人も寄越さないから、王妃がワゴンのティーカップに自分で注ぎ始めちゃった。
本来ならこの美人騎士様がお茶を準備するべきなんだろうけど……。
クッキーを頬張りつつ見上げれば、桃色の目とぶつかる。
僕を労るような、子を見守る親のようなお顔。
「どうかした?」
再び頭を撫でてくれれば、気怠い体が少し軽くなる。
回復魔法だ。
確実に僕の正体がわかっていて、付き合ってくれてるんだろうな。
「イタチには少し熱いかもしれないわね」
特に返事はせず、クッキーをもぐもぐしていれば、王妃がそう言って注いだお茶を魔法で冷まして置いてくれた。
ワゴンのカップは5客あるから、きっと明日まではこの部屋で勝手にやってろっていう意味かな。
少なくともこの教会の中での、王妃という立場の低さが窺い知れる。
チラッと見ただけだった、側妃の後ろ姿を思い出す。
あの時の側妃は、僕に背を向けていたんだ。
彼女の向かうテーブルには、お菓子もティーセットも、全て2つずつ。
だから即座に王妃がいないって判断したんだよ。
もしくは、僕を除け者にしようとしたか。
だけどこの可能性は低い。
それならと僕が帰ってしまう理由になるからね。
これまでの教会側や、勅書を発行した側妃の対応からして、僕を意図してここに留めたい理由は確実にある。
そんな側妃は後ろ姿だけでも、かなり着飾っていたし、むしろドレスは夜会で着用するような、この世界の貴族の中では、露出度が高い部類だった。
襟ぐりの深さや袖のほとんどないドレスだってくらいは後ろからわかるもの。
神官や侍女、聖騎士が大体10人ずつ侍っていたから、教会の中での立場は、王妃よりあるんじゃないかな。
違和感だらけの教会。
そして予想では、ザルハード国の貴族社会においても、王妃の立場は建前の上でも守られていないような気がしてならない。
だって王妃はこの対応を普通に受け入れているように感じるんだ。
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