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431.新入り騎士
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「よく眠っている」
「少しは安心してくれたみたいだね」
誰か人が入ってきた気配を感じて、少しだけ意識が浮上する。
僕のそんな少なからずの変化を感じたのか、体毛と着ぐるみに包まれた僕の体を、止まっていた手が優しく撫でる。
後者の声の主は、この美人騎士様か。
確かに、安心したんだと思う。
彼女の実力はもちろんだけれど、僕の危惧する不測の事態に陥った場合、動ける人がいると思えると、肩の力が幾らか抜けた。
からの彼女が僕にかけた回復魔法、からの甘いクッキー。
抗えない睡魔が、僕を猛攻撃するのも頷ける。
それに逃亡生活中、あまり深く眠れていなかったツケが、今になってきてるみたい。
眠っている僕の下には、筋肉質だけど、柔らかな女性特有の太ももを相変わらず感じる。
クッキーをモグモグしながら寝落ちしたと、自覚せざるを得ない。
「妃殿下もこの子のイタチな癒し効果で、ずっと張り詰めていたものが和らいだんだろうね。
深く眠り始めたから、魔法で睡眠を更に補助しておいたよ」
「明日からはこの教会がどう動くかわからないからな」
うんうん、化粧で隠してたけど、目の下にはクマさんがいたもの。
僕の愛らしい僕のイタチ姿が、役に立って良かった。
「それにしても、こちらは収穫無しというべきか、今あったと言うべきか……」
それにしても、もう1人のハスキーなお声は誰かな?
視線を感じるから、僕が逃走中だって知っている可能性が高い。
女性の声ではあるんだけど、何となく、魔法で声を変えているように感じるんだ。
今は獣の姿だからかな?
変ではないんだけど、耳に残る声の余韻と、実際に話す声に……違和感?
あの僕のお顔をずっと見てた聖騎士の人と同じく、姿や声を魔法で変えてるのかな?
目を開けて魔眼でこっそり視れば、誰だかわかるけど……。
「キュイ~」
しまった!
僕の体をゆっくり、優しく撫でてくれる手があまりにも気持ち良くて、うっかり声が漏れちゃったよ。
この手と睡魔が僕の瞼にガッチリとロックをかけている。
むぅ……意識が沼に沈んでしまいそうに混濁していく。
「今のは……寝言だろうか?
イタチの鳴き声とも違うような……」
ギクッ。
鋭いな。
「ふふっ、可愛いからいいんじゃないかい」
美人騎士の言う通りだ。
僕は今、とってもキュートなイタチ様だ。
可愛いは正義だ。
__ガチャ。
「仕方ないよ。
本物のイタチじゃないんだから」
なんて思っていたら、ドアが開く気配と同時に、新たな女性の声が登場だ。
この人の声もやっぱり違和感がある。
そろそろ睡魔に勝利して、目を開けるべきかな?
少なくともこの人達のお話から察するに、彼女達には僕の正体がバレているみたいだし。
1人はロアン=リュドガミド前公爵なのは間違いない。
髪や目の色も含めて、中性的で美人な外見はそのままだった。
彼女が王妃と面識があって、その伝手で護衛騎士としてここへ赴いている事自体は不思議じゃない。
だってアドライド国の筆頭公爵家だし、長生きしている魔属だもの。
他国とのコネクションがあるのが普通だ。
それに何かを感じ取っていたからか、息子に爵位は譲っていて、自由に動ける身の上だもの。
となると彼女と気安く話す残りの2人は、アドライド国の人間て事になる?
「場所が場所だからと、魔法を使わずに探していたら、まさか王妃と一緒にいるなんてね。
流石だよ」
ため息混じりにそう言いながら近づいてきたと思ったら、唐突な浮遊感。
でも手慣れた様子で僕を抱き上げるこの腕に、怖さは感じなかった。
それどころか、僕を絶対に落としたり、傷つけたりしないって直感してしまうこの腕は……。
思わず抜けていた力を体に入れる。
重い瞼をこじ開けようと気合いを……。
「今はしっかり眠って、体を休めて。
可愛い……」
あれあれ、頭に手がかざされたと思ったら、意識が沼に沈んでいく?
これは……魔法……。
「起きていたのか?」
「疲弊していたんだろうね。
体の方は半分以上眠っていた……」
新入り騎士2人の声が遠くで聞こえた気がした。
「少しは安心してくれたみたいだね」
誰か人が入ってきた気配を感じて、少しだけ意識が浮上する。
僕のそんな少なからずの変化を感じたのか、体毛と着ぐるみに包まれた僕の体を、止まっていた手が優しく撫でる。
後者の声の主は、この美人騎士様か。
確かに、安心したんだと思う。
彼女の実力はもちろんだけれど、僕の危惧する不測の事態に陥った場合、動ける人がいると思えると、肩の力が幾らか抜けた。
からの彼女が僕にかけた回復魔法、からの甘いクッキー。
抗えない睡魔が、僕を猛攻撃するのも頷ける。
それに逃亡生活中、あまり深く眠れていなかったツケが、今になってきてるみたい。
眠っている僕の下には、筋肉質だけど、柔らかな女性特有の太ももを相変わらず感じる。
クッキーをモグモグしながら寝落ちしたと、自覚せざるを得ない。
「妃殿下もこの子のイタチな癒し効果で、ずっと張り詰めていたものが和らいだんだろうね。
深く眠り始めたから、魔法で睡眠を更に補助しておいたよ」
「明日からはこの教会がどう動くかわからないからな」
うんうん、化粧で隠してたけど、目の下にはクマさんがいたもの。
僕の愛らしい僕のイタチ姿が、役に立って良かった。
「それにしても、こちらは収穫無しというべきか、今あったと言うべきか……」
それにしても、もう1人のハスキーなお声は誰かな?
視線を感じるから、僕が逃走中だって知っている可能性が高い。
女性の声ではあるんだけど、何となく、魔法で声を変えているように感じるんだ。
今は獣の姿だからかな?
変ではないんだけど、耳に残る声の余韻と、実際に話す声に……違和感?
あの僕のお顔をずっと見てた聖騎士の人と同じく、姿や声を魔法で変えてるのかな?
目を開けて魔眼でこっそり視れば、誰だかわかるけど……。
「キュイ~」
しまった!
僕の体をゆっくり、優しく撫でてくれる手があまりにも気持ち良くて、うっかり声が漏れちゃったよ。
この手と睡魔が僕の瞼にガッチリとロックをかけている。
むぅ……意識が沼に沈んでしまいそうに混濁していく。
「今のは……寝言だろうか?
イタチの鳴き声とも違うような……」
ギクッ。
鋭いな。
「ふふっ、可愛いからいいんじゃないかい」
美人騎士の言う通りだ。
僕は今、とってもキュートなイタチ様だ。
可愛いは正義だ。
__ガチャ。
「仕方ないよ。
本物のイタチじゃないんだから」
なんて思っていたら、ドアが開く気配と同時に、新たな女性の声が登場だ。
この人の声もやっぱり違和感がある。
そろそろ睡魔に勝利して、目を開けるべきかな?
少なくともこの人達のお話から察するに、彼女達には僕の正体がバレているみたいだし。
1人はロアン=リュドガミド前公爵なのは間違いない。
髪や目の色も含めて、中性的で美人な外見はそのままだった。
彼女が王妃と面識があって、その伝手で護衛騎士としてここへ赴いている事自体は不思議じゃない。
だってアドライド国の筆頭公爵家だし、長生きしている魔属だもの。
他国とのコネクションがあるのが普通だ。
それに何かを感じ取っていたからか、息子に爵位は譲っていて、自由に動ける身の上だもの。
となると彼女と気安く話す残りの2人は、アドライド国の人間て事になる?
「場所が場所だからと、魔法を使わずに探していたら、まさか王妃と一緒にいるなんてね。
流石だよ」
ため息混じりにそう言いながら近づいてきたと思ったら、唐突な浮遊感。
でも手慣れた様子で僕を抱き上げるこの腕に、怖さは感じなかった。
それどころか、僕を絶対に落としたり、傷つけたりしないって直感してしまうこの腕は……。
思わず抜けていた力を体に入れる。
重い瞼をこじ開けようと気合いを……。
「今はしっかり眠って、体を休めて。
可愛い……」
あれあれ、頭に手がかざされたと思ったら、意識が沼に沈んでいく?
これは……魔法……。
「起きていたのか?」
「疲弊していたんだろうね。
体の方は半分以上眠っていた……」
新入り騎士2人の声が遠くで聞こえた気がした。
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